産業懇談会【メールマガジン 産懇宅配便】 第161号 2015.10.30 発行

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平成27年10月度(第161号) 目次
【27年9月度 産業懇談会(水曜第1G)模様】 9月16日(水) 12時00分〜14時00分
【27年10月度 産業懇談会(水曜第2G)模様】 10月14日(水) 12時00分〜14時00分
【名古屋いちばん物語】 No.77
【11月度産業懇談会開催日程】
【12月度産業懇談会開催日程】
【お知らせ】
【コラム】
コラム1 【保健師からの健康だより】 No.139
コラム2 【「ほん」のひとこと】 No.84
コラム3 【苗字随想】 No.161
【27年9月度 産業懇談会(水曜第1G)模様】

テーマ: 『 大塚家具の事例から考える自社株問題 』

日  時:平成27年9月16日(水) 12時00分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 2階 曙の間
参加者:28名

スピーカー:
安藤 教嗣
(あんどう きよつぐ)
税理士法人 名南経営 常務理事

安藤 教嗣氏

■ 大塚家具騒動の主な経緯

H26.1 ききょう企画 (大塚家の資産管理会社)にて、勝久氏陣営の役員解任
H26. 7 大塚家具 久美子氏 代表取締役解任
勝久氏  代表取締役会長が社長兼務
H26.12 大塚家具 平成26年度の業績の下方修正発表(赤字転落)
H27. 1 大塚家具 久美子氏 代表取締役社長就任
勝久氏  代表取締役会長
H27. 3 大塚家具 定時株主総会において、勝久氏の「株主提案」否決(36%)
久美子氏「会社提案」可決(61%)
勝久氏陣営 取締役退任

■ 数字からみる大塚家具
 久美子氏が社長を務めた平成22年から25年の4年間と、その前後に勝久氏が経営をとった平成21年度と26年度の2年間の数字を、損益計算書から比較してみる。
 「売上」は横ばいもしくは微減で推移し、2人の間に大きな差は見られない。一般的に、久美子氏は安売りを推進しているイメージがあるが、「粗利益率」は実は久美子氏の4年間の方が高い。経営方針に大きな違いが見て取れるのが「広告費」である。勝久氏はより積極的に広告を打っていた。「営業利益」「経常利益」の利益面では、久美子氏は黒字転換に成功している。
 貸借対照表からは、自己資本利益率が74.2%あり、極めて強固な財務体質であることが分かる。金融機関からの借り入れもなく無借金経営である。
 注目すべきは「配当金」である。毎年約7億4千万円の安定配当を出しているが、これは平成25年度を除き、当期純利益を大幅に上回る金額だ。
 なお、本年3月の株主総会で、株主提案で2倍、会社提案で3倍とする増配案が提出される見通しが立ったため、その直前に株価が急騰した。

■ 大塚家具の特徴
 創業者の勝久氏が、ここまで会社を成長させた理由は、大きく2つあると言われる。
 1つは、卸売業者を介しての仕入れが一般的であった時代に、「直接買い付け」を築き上げ、流通の無駄を省いたことだ。2つ目は販売面において「会員制」を導入し、「1人の担当者による丁寧な接客」と「実売価格表示」を徹底したことだ。
 但しこの販売・接客スタイルに対する考え方は、勝久氏と久美子氏の最大の相違点となっており、また世間でも意見の分かれるところである。

■ 大塚家具の事例から考えさせられる問題

Q1. 会社法上、会社は誰のものか?
A1. 法律上は株主である。
Q2. 家族であれば揉め事は稀にしか起こらないのか?
A.2 ニュースになるのは上場会社の場合だけであり、現実は揉めない場合の方が少ない。
例えば、遺言のない相続の約7割が何かしらの揉め事があると言われている。
Q3. 会社の株式(議決権)は誰に持たせるべきか?
A3. 将来の争いを避けるという意味で、理想は会社の後継者1人に纏めるべきだろう。
但し、後継者以外の相続人への権利の侵害対策や、相続税対策を考慮に入れる必要があるので、最終的なバランスが大切である。
なお、議決権のない株式発行の活用なども有効な手段と思われる。

■ 事業承継問題
 経営者の6割以上が、事業承継の必要性は認識しつつも、十分な取り組みを行なっていないのが実態である。これは、経営者が会社内及び家庭内での影響力の低下を嫌うため、出来る限り「先延ばしする」心理的要因が作用していることが、確認されている。
 中には、自分の子供より会社の方が大切・かわいいと思う経営者も存在する。 また、総務省の統計によると、家事相談(相続)件数は平成元年の約5万件から、平成22年度は約18万件と激増している。個人の権利を主張する風潮が反映されてのことだろう。
 相続に関しては、遺言を作成することが望ましい。遺言がなければ、相続人全員での話し合いが必要になるし、現実には配偶者が口を出してくることが多く、こうなると余計にややこしくなる。

■ まとめ
 会社として、事業承継で問題を抱えることはマイナスの影響でしかない。何よりも精神的な負担が大きすぎるというのが当事者の声だ。家族だから平等に分配する、ということであれば、揉める可能性を将来に残すことを忘れてはならない。


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【27年10月度 産業懇談会(水曜第2G)模様】

テーマ: 『 日本を取巻く世界の酪農環境と乳製品市場の今後について 』

日  時:平成27年10月14日(水) 12時00分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間
参加者:21名

スピーカー:
佐藤 雅俊(さとう まさとし)
雪印メグミルク株式会社 中部統括支店長

佐藤 雅俊氏

1.雪印メグミルクの沿革
 雪印乳業は、2000年の食中毒事件、グループ子会社による2002年の牛肉偽装事件の二つの不祥事によって事業再編が必要となり、様々な事業分割を行った。その後、2003年に設立された市乳事業を行う「日本ミルクコミュニティ」と乳製品事業を行う「雪印乳業」が、2009年に経営統合、2011年に合併して現在に至る。
 雪印の創業は、関東大震災後の1925年、酪農家を苦境から守るために「農民による、農民のための生産組織」として誕生した「北海道製酪販売組合」が前身で、創立者の一人である黒澤酉蔵氏が唱えた、健康な土地を造り、健康な国民を育てたいとの「健土健民」の精神が、雪印の社会的存在意義となっていた。その創業の精神をしっかりと受継いだ、現在の雪印メグミルクの企業理念は、「消費者重視経営の実践」「酪農生産への貢献」「乳(ミルク)にこだわる」の3つの使命を果たし、ミルクの新しい価値を創造し、社会に貢献する企業であり続けること。さらにそれを束ねるコーポレートスローガンは、“未来は、ミルクの中にある。”である。

2.世界の酪農乳業事情
 今、食の環境が大きく変わろうとしている。現在、世界の人口は約73億人で、国連では、2050年には約91億人になると予測しており、そうなると、人間が生きるための食料争奪戦が始まるのではないかと懸念されている。特に日本は食の品質に厳しく、大国や新興国との食糧調達競争に負けないかと、危惧している。
 世界の生乳生産量は、水牛乳等を含めると年間7億トン超で、概ね増加基調で推移している。しかし、需要が生産量を上回る勢いで増加しており、長期的には需給は逼迫していくと予想されている。2014年の国別の生乳生産量は、EU28ヶ国が1億4千万トンとトップで、米国、インド、中国と続くが、インドは、地場消費の水牛乳等を含めるとトップになる。日本は13位だが、品質の評価は非常に高い。
 生産された生乳の約40%は生乳のまま地場で消費される。残りの約60%が低温輸送、殺菌処理、乳製品加工されるが、そのうちの90%が国内消費に回り、結果、国外で流通するのは全体の6%未満に止まる。
 輸出国の上位は、ニュージーランド、EU、米国、豪州。輸入は、中国、ロシア、日本の順番だが、中国は今年に入って経済不安により輸入量が激減、需給が緩み、直近では国際価格は下落している。
 ニュージーランドは、国内市場が小さく、ほぼ全量を乳製品に加工し輸出している。乳牛は、一年中放牧するため、牛舎は不要で、放牧地の中心に搾乳舎(ミルキング・パーラー)があるのみ。乳牛が搾乳舎に入ると自動的に搾乳されるシステムになっている。生産コストは現状世界一低いが、生産量を今後も増加していくためには、購入飼料を与える必要があり、そうなるとコストも上昇するのではないかと想像される。
 TPP交渉においては、7月下旬のハワイで、直近の需給の緩みから乳価が下落し、政治的な絡みもあり強気の枠取に出たが、最終的にはアトランタの内容で合意に至ったようだ。
 オーストラリアは、輸出割合がかつての6割から現在は4割まで低下している。乾燥気候による慢性的な水不足のため、生産は伸び悩んでいる。
 米国は、近年カリフォルニア州を中心に大規模経営が主体となっており、視察者の話では「工業品の製造工場みたいだ」との感想であった。生産量は順調に伸び、国内消費も旺盛で需給バランスは維持されている。EUは、酪農が農業生産の中心で、域内が巨大市場のため、輸出割合は非常に低く、域外への輸出国は一部に限定されている。

3.日本の酪農乳業事情
 国内の生乳需給は、平成26年度の総需要量1,172万トンのうち、約38%にあたる443万トンの乳製品を輸入に依存する構造となっている。酪農家の戸数と経産牛(出産を経験した牛)の頭数の推移をみると、都府県では、高齢化、後継者不足、生産資材の高騰等により、減少率が高く、2010年には、頭数で北海道が都府県を上回った。今後もこの傾向が続くとみられている。生乳の生産動向も、都府県では酪農家の戸数減少に比例して生産量も減少傾向の一方、北海道は、規模拡大を進め、増産傾向にある。
 バターの需給は、平成26年度の需要量74,000トンに対し、国内生産と輸入で数字上の供給量はカバーしたが、輸入が後手に回ったため、不足が発生した。バターのメインユーザーは製菓、製パン、レストラン等の業務用が中心で、家庭用は約25%に止まる。国産を使用するユーザーは味の違いや価格等、様々な要素から輸入品への切替が難しいと言うこともあり不足感が残る。一般家庭のバターの購入頻度は約2ヶ月に1回で、一年間の消費量は一人当たり171gと言うボリュームの低さも急激な需給の変化に耐えられない要素かもしれない。
 農水省は、国内原料乳減少の打開に向け「酪農及び肉用牛生産近代化を図るための基本方針」を定め、平成37年度の国産生乳需要量を現状と同水準の750万トンを目指すとしている。今後の日本の酪農乳業の方向性として重要なことは、国内酪農生産基盤の強化と海外乳製品の調達力強化である。現在、雪印グループでは、北海道の標茶(しべちゃ)町で、JAと共同で農業生産法人を設立し、自給飼料を中心とした低コスト型経営の普及に取り組んでいる。日本で暮らす皆さんに、安心・安全で、どんな国よりも美味しい乳製品を安定的に供給していくために、今後も関係機関と協力して取り組んでいきたい。


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【名古屋いちばん物語】 No.77


テーマ: 『 「住吉の語り部となりたい」 シリーズ第55回 』

料亭つたも主人
深田正雄

名門路地街「松竹小路」と懐かしのトリオカレー!

 戦後、栄ミナミで一番初めにできた小路、名古屋松竹劇場の向いに飲食店が約30店舗勢揃い、軒を並べていました。昭和50年代に丸栄による開発が進み、お店は全て近隣に移転したりして、昭和59年には増築された丸栄南新館としてオープン、現在は駐車場出入り口となっています。(写真1)
 松竹小路・入口には名古屋居酒屋の元祖「伍味酉」があり、数々の骨董品が飾られ、グロテスクなお面や彫刻で人目を引いていました。2代目オーナー佐藤嘉晃氏は「栄中部を住み良くする会」会長として平成16年まで栄ミナミの街づくりリーダーとして尽力されました。ご長女のご主人が同グループ多店舗展開され、次女の女婿・稲本健一さんは(株)ゼットン創業社長、我が国の飲食業界の雄として活躍、「名古屋めし」の発祥といえます。隣、貴金属・宝石卸「柏圭商店」は加藤日出雄氏が昭和3年創業、戦後はここからスタートし、丸栄百貨店の宝石部を担当され、その後、南の富士フイルム代理店・(株)樫村名古屋支店を取得、平成11年には新組織(株)カシケイとして全国規模のダイヤモンド卸として発展されております。(写真2:地図・小路北側店舗S37年12月)
 蛇の目寿司本店も数ある蛇の目グループの元祖?南の入江町通り「かしわ鳥栄」の西で数年前まで営業されていましたが、今は開発中の空地となっています。
 突き当たり大型店は割烹「金鯱山」(キンコザン)、昭和19年1月まで角界・幕下23枚目の金鯱山(キンシャチヤマ)さんが戦後いち早くオープン、大繁盛されていました。御嬢さんの吉田さんは南山中高卒の美人才媛で、横綱大鵬関の花嫁候補と街で噂されていました。開発で東新町に移転され、10年くらい前まで御嬢さんが経営されていました。暖簾分けでは安田通りとんかつ・金鯱山、四日市洋食・金鯱山が頑張っています。
 小路の南、富士屋さん、仁志河さんは住吉2丁目(栄3-10-7&8)に移転されお隣同士、ふぐ料理で繁昌されています。
 赤門美容室も名門でいつも飲食店のママたちで盛況、多くのお弟子さんが市内で赤門の 名前で事業を展開されているようです。
 なんといっても思い出深い話題は「トリオのカレー」。シャビシャビの黄色味の強い独特のカレーが一世を風靡、10坪位のお店に連日1,000食をサービス、高校帰りの僕達はいつも並んで当時シングル70円カレーをおやつ代わりに頂いていました。お肉の具はなく、カップライスの横にルー・スープカレーの単一メニュー、でも食べると「病みつき」になり、リピート客で大賑わいでした。
 くらぶ亭グループの森川さんのお店で、喫茶店のメニューとして店長に開発させたら大ヒット、大量の玉葱を微塵カットし炒め、SBカレー粉を使用…くらいまでは記憶があります。
 実は、昨年、NHK教育テレビ「感涙!よみがえりマイスター」にトリオ伝説のカレーを復元しようとの企画、味を覚えている数少ない市民として番組制作のお手伝いをしました。
 丸栄の再開発に伴い、店舗は伏見(栄2-2-36)に移転、昭和末期まで営業されていました。(写真3)
 閉店時のメニューではシングルカレー280円、漬物はいつも紅ショウガ!福神漬やラッキョウはサービスされず、なぜかと聞いたら「コストが違うからね??」なるほどと納得した次第。現在でも調理場は現存しており、デッカイ鍋、すり減った俎板、シャモジ、看板など文化遺産として登録して欲しいと願う中高年は多いと思います。
 また、昭和21年に開館した松竹映画劇場のこけら落としは、長谷川一夫主演「鯉名の銀平」。38年の新装オープンには倍賞千恵子も駆けつけ隆盛も、45年に閉館。その後、ダイエー栄店を経て、現在はパチンコキング観光・サウザンド栄町店と変遷しております。  

写真1
写真1:丸栄百貨店南館出入り口とプリンセス大通り(松竹小路跡地)

写真2
写真2:伍味酉・松竹小路店 同社HPより

写真3
写真3:トリオカレー店・栄2丁目に移転後
現在は閉店中

写真4
写真4:名古屋松竹映画劇場(S31年3月)
「昭和の名古屋」P94・名古屋タイムズ・アーカイブス委員会より

松竹小路店舗地図と北側入り口付近の商店「名古屋なつかしの商店街」P74より転載 風媒社
写真5

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【11月度産業懇談会開催日程】
木曜グループ以外は、名古屋観光ホテルでの開催です。
グループ名 世話人 開催日時 テーマ・スピーカー 場所
火曜グループ

深田正雄
富田 茂

11月10日(火)
12:00〜14:00

(株)料亭蔦茂 取締役社長 
深田正雄氏のご紹介
落語家 雷門 獅篭氏
「古典を名古屋落語に!」
18階
伊吹の間
水曜第1グループ

落合 肇
飯田芳宏

11月18日(水)
12:00〜14:00
宝和工業(株) 取締役会長 
落合 肇氏のご紹介
中部運輸局
交通政策部長 上田大輔氏
「昇龍道プロジェクトの新たな展開」
18階
伊吹の間
水曜第2グループ

片桐清志
見祐次

11月11日(水)
12:00〜14:00
丸菱工業(株)
取締役会長 河村嘉男氏
「豊かな人生を送るには健康が一番!」
2階
曙(西)の間
※会場が変更と
なりました
木曜グループ

河村嘉男
倉藤金助

11月5日(木)
12:00〜14:00

(株)若鯱家
取締役社長 高橋知子氏
「『名物カレーうどん』の若鯱家としての歩み
〜変わらない“美味しさ”と
     進化し続ける“味”を追い求めて〜」
【定員】定員に達しましたので、お申込みを締切らせていただきました。
【詳細】ご出席の皆様には詳細を送付致しました。
【現地集合】
若鯱家中日ビル店
中区栄4-1-1
中日ビルB2F

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【12月度産業懇談会開催日程】

グループ名 世話人 開催日時 場所
火曜グループ

深田正雄
富田 茂

12月8日(火)
18:00〜20:00

料亭蔦茂
電話:052-241-3666
名古屋市中区栄3-9-27
水曜第1グループ

落合 肇
飯田芳宏

12月16日(水)
18:00〜20:00
イタリアンレストラン QUADRIFOGLIO(クアドリフォリオ)
電話:052-265-8206
名古屋市中区大須4-1
水曜第2グループ

片桐清志
見祐次

12月9日(水)
18:00〜20:00
若宮の杜 迎賓館
電話:052-231-7713
名古屋市中区栄3-35-30
木曜グループ

河村嘉男
倉藤金助

12月3日(木)
18:00〜20:00

札幌かに本家 栄中央店
電話:052-263-1161
名古屋市中区栄3-8-28(プリンセス大通り・丸栄南)

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【お知らせ】

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【コラム】

コラム1 【保健師からの健康だより】 No.139
保健師からの健康だより

株式会社 スズケン
保健師 稲垣 静香

『 健康診断結果を活かすために 』

 インフルエンザの予防接種を受ける時期になりました。昨年まではA型2種類・B型1種類の3価のワクチン株でしたが、今年からはA型2種類・B型2種類の4価になりました。今年のワクチンは2009年に流行し、当時「新型インフルエンザ」と呼ばれたブタインフルエンザ(H1N1)も組み込まれています。インフルエンザはだいたい12〜3月頃に流行します。ワクチンの効果は現れるまでに2〜4週間かかるため、流行する前に予防接種を受けることをお勧めします。

 健康相談室には、続々と社員の健康診断結果が届いています。気になる結果があると保健師から連絡をしてお話を聴くのですが、「あれ?そんな結果書いてあったっけ?」という反応が返ってくることもしばしばあります。

今回はAさんのお話しをしましょう。

 Aさんは、一昨年の人間ドックで便潜血陽性の所見が出たため内視鏡検査をしたところ、痔からの出血であることがわかりました。痔の痛みはほとんどなく、放置していました。昨年の人間ドックでも便潜血陽性でしたが、Aさんは「大丈夫だろう」と思って二次検査をしないでいました。今年も便潜血陽性。気になって、保健師から連絡すると、「仕事や家庭のことが忙しくて受診できない。たぶん痔からの出血だと思う。」との返事でした。その頃のAさんは、頭では「検査をしなければ」とわかっていても、自分の身体に目を向けることが出来ないでいました。ゆっくりお話しをしてやっと、受診の約束をしました。
 すぐさま検査をした結果、大腸癌との診断でした。癌は進行しており、放射線治療、抗がん剤治療、人工肛門を造設する手術を受けることとなりました。Aさんは「もっと早くに受診していれば…。検査に行きあぐねている人に、自分のことを話してほしい。」と言います。

 健康診断は受けたら終わりではありません。病気を早期に発見する絶好の機会です。自覚症状がないからこそ、定期的な健康診断と二次検査で自分の身体のことを知ってください。
 あなたの健康診断結果はどうでしたか?また、周りに二次検査を行きあぐねている部下はいませんか?大切な部下が倒れる前に、是非皆さんからも背中を押してあげてくださいね。

健康診断結果を活かすも殺すもあなた次第

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コラム2 【「ほん」のひとこと】 No.84
コラム【「ほん」のひとこと】

株式会社 正文館書店 取締役会長
谷口正明

『 動物が教えてくれた人生で大切なこと。 』
小菅正夫著・河出書房新社刊

 先月に引き続き、今月も動物の生き方に学ぶ本です。一時閉園の危機にあった旭川市旭山動物園を有料来園者数日本一にまで再建したのがこの本の著者です。
 第1章の「動物の誕生に学ぶ」から最終章の「動物の死に学ぶ」まで、数多くの動物の一生を鏡として、私たちの人生を考え直させてくれる材料を提供してくれています。第6章「動物の負け方に学ぶ」では、「動物に負けはないのでは、と思います。(中略)負けたからってすべてを投げ出す必要など、まったくありません。生きている目的を達成すれば良いのですから」と述べ、そして「動物の生きている意味は、命をバトンタッチすることです」と断言します。また、意志というものは、個体のみでなく「種」にも存在するというユニークな考え方も披露しています。

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コラム3 【苗字随想】 No.161
コラム【苗字随想】

片桐清志

「祝日」と苗字(10)

 祝日と苗字シリーズも今回で最後になる。最終回は12月23日の天皇誕生日だ。今上天皇の即位と共に誕生する祝日だ。祝日名は、戦前は「天長節」と呼ばれていたが、1948年に制定された「国民の祝日に関する法律」からは「天皇誕生日」と呼ばれるようになった。
 苗字との関係では、「天」で始まる苗字はやはり人気が高く186種見つかった。一字姓の「天」さんも居て、アマ・テンとお呼びする。驚いたことに天皇という苗字もある。呼び方は、さすがにテンノウはなくアマミヤとお読みする。
ランキング(佐久間 英)では天野の231位を筆頭に、天田(アマダ・テンダ:1909位)、天川(アマカワ・テンカワ・テガワ:2813位)、天羽(アマハ・アモウ:2920位)などが上位に登場する。
 ユニークな苗字では天一(テンイチ・アマカズ)、天上(テンジョウ・アマガミ他)、天下(テンカ・アマシタ他)、天下一(テンカイチ)、天井(テンジョウ・アマイ)、天元(テンモト・アマモト、残念ながらテンゲンの読み方は見つからなかった)、天命(テンメイ・テンミョウ)、天国(アマクニ、さすがにテンゴクの読みはない)、天地(テンチ・アマチ)、天子(アマコ)、天孫(テンソン・アマヒコ他)、天宮(アマミヤ)、天平(アマヒラ・テンペイ)、天明(テンメイ・テンミョウ・アマアケ)、天正(テンショウ・アママサ)、天引(アマビキ)、天日(アマビ・テンジツ・テンニチ)、天満屋(テンマヤ)、天狗(テング)、天神(テンジン・アマカミ)、天童(テンドウ)、天王(アマオウ)、天王子(テンノウジ)、天白(テンパク・アマシロ)、天竺(テンジク)、天道(テンドウ)、天笠(アマガサ)、天馬(テンマ・テンバ)、天龍(テンリュウ)、天魔(テンマ)などが見つかった。
 「皇」と苗字の関係はさすがに少ない。それでも一字姓の「皇」さんも居て、スメラ・スメラギ・スメラキ・スメラオ・スメコキの呼び方が見つかった。「皇」で始まる苗字では皇子代(ミコシロ)、皇座(オウザ)、皇明堂(コウミョウドウ)、皇至道(スメラギ)、皇甫(コウホ・コウボ)が見つかった。

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【平成27年10月号編集後記】

 10月16日(金)に第113回西日本経済同友会会員合同懇談会が奈良市で開催された。中部以西の18地区の同友会から約460名が参加して、「はじまりの奈良〜世界に発信!和のこころ〜」のテーマで議論した。日本文化のルーツを自認する奈良ならではのテーマだ。
 オープニングセレモニーの「薬師寺 声明(しょうみょう)」が「なら100年会館」の中ホールを一気に1300年の歴史の渦に巻き込んだ。基調講演では奈良県立橿原考古学研究所の菅谷文則所長が「7・8世紀の国際関係と奈良」と題して1時間にわたって講演された。戦後、日本は戦勝国をモデルにして復興を遂げたが、同じことが1350年前の「白村江の戦い」で敗北した時に起きている。国防を強化し、交通網、通信網を整備し、戸籍を整備し、飛鳥から大津へそして藤原京への遷都を行っている。その後、律令制の充実を図り、我が国最初の貨幣「和同開珎」を鋳造し、蝦夷を平定して国土統一を一気に進め、女帝の元明天皇の時に平城京遷都を行っている。以後日本は800年近く海外へ出かける戦を行ってない。その間に海外から様々な文化を輸入し、日本の風土に馴染むものへと進化させた。それらに共通するのは「和のこころ」であり、今も日本文化の根底に流れているとお話された。海外との戦いの敗戦という国家の危機をバネに、国内の統治に力を注ぎ、海外から優れたものを導入し国力の強化を図る手法は確かに第二次世界大戦後の日本の復興でも見られる。
 コーヒーブレイク後のパネルディスカッションでは真言律宗元興寺住職の辻村泰善氏、神主で帝塚山大学特別客員教授の岡本彰夫氏、奈良大学文学部教授の上野誠氏、(株)柿の葉すし本舗たなか会長の田中郁子氏を迎え、南都ビジネスサービス(株)社長の田村健吉氏のコーディネーターで「和のこころ」をさらに掘り下げた。メンバー構成も住職、神主、大学教授、地元経営者とユニークな構成だ。冒頭から神道のルーツの紹介、伝来の新興宗教「仏教」の普及・浸透の経緯が展開された。さらに世界から注目されている「日本食」の根源や食文化の神髄へと話が発展した。国際観光の留意点等では自然の恵みや日本人としての誇り、匠の技の継承等、1300年の歴史の重みを生かし、東京一極集中の是正を目指そうとのコメントで締めくくった。
 懇親会は金峯山寺流法螺の音用のパフォーマンスで開幕し、「日本酒での乾杯条例」に基づき地酒で乾杯し、地元の食材を使ったおもてなしの料理を楽しみながら交流を深めた。参加者一同、奈良漬けのセミナーとなった。
 さて、今月の産懇宅配便では先月お届けできなかった9月の例会模様2件(内1件は台風18号の影響で10月14日に開催)をお届けした。10月恒例の「4グループ合同懇談会」模様は10月29日開催のため、来月号でご紹介したい。

(片桐)