産業懇談会【メールマガジン 産懇宅配便】 第233号 2021.10.29 発行

メールマガジン■産懇宅配便■

令和3年10月度(第233号) 目次
【3年9月度 産業懇談会(水曜第2G)模様】 9月1日(水) 13時00分〜14時30分
【3年9月度 産業懇談会(木曜G)模様】 9月2日(木) 13時00分〜14時30分
【新会員自己紹介】
武部 篤紀氏

トランコム株式会社 取締役上席執行役員

【11月度産業懇談会のご案内】
【12月度産業懇談会のご案内】
【コラム】
コラム1 【さっかの散歩道】 No.40
コラム2 【師、曰く】 No.5
コラム3 【「ほん」のひとこと】 No.156
【お知らせ】
【3年9月度 産業懇談会(水曜第2G)模様】

テーマ: 『 オリックスと脱炭素社会実現に向けて 』


日  時:令和3年9月1日(水) 13時00分〜14時30分
場  所:名古屋観光ホテル 桂の間
参加者:15名

スピーカー:
高 秀樹(うだか ひでき)
オリックス 株式会社
名古屋支店長

写真:宇 秀樹氏

■会社紹介
 オリックスはカード会社という印象を持たれることが多いが、本来は金融リース会社であり、資源部門を持たない総合商社のようなものである。
 1961年、日綿實業(現双日)は、アメリカで急成長しつつあったリース業への進出を図り、リース業勉強のために宮内義彦氏を3年間リース業勉強のためにアメリカに派遣した。帰国後の1964年、日綿實業と三和銀行(現三菱UFJ銀行)を含む、3つの商社と5つの銀行が協力し、金融系リース会社として、オリエント・リース株式会社(現オリックス株式会社)を設立した。その後、親会社からの決裁待ちを省くため、資本金を引き上げ独立した。現在、オリックスの事業が多岐に渡っているのは、独立したことが大きい。
 主な事業が金融のため、リーマンショック時は、金融調達の面で完全に機能不全に陥った。グループ会社2社をリストラし、キャッシュを増やすことで、社債の返済に充てて凌いだが、当時の教訓から、現在は多くの地方銀行から資金調達するようにしている。
 カードやレンタカーだけでなく、オリックスは非常に多くの事業を行っている。輸送運搬事業にはかなり力を入れており、250機もの飛行機を保有管理し、1000機を保有する中国企業に融資をしている。プライベートジェットを除くと、200人クラスの飛行機は世界で25000機程度であることから、オリックスのシェア率がいかに高いかが分かる。不動産事業では、幅広い不動産を取り扱っており、水族館の運営も行っている。京都水族館はオリックスが館長を務めている。余談であるが、京都水族館の目玉である皇帝ペンギンは1匹4000万円もし、水族館ブームとなっている中国とは、ペンギンの取り合いになっている。環境分野では、廃棄物の再資源化や処理等、バリューチェーンで事業を展開し、産業廃棄物処理・リサイクル事業として、自前で処理施設も建設した。コロナ禍では業績は下がったが、2021年Q2頃より、多くの事業で回復傾向にある。特に環境エネルギーは大幅に増加している。

■海外再生可能エネルギー事業
 欧州は再生可能エネルギーの先進国であるが、導入率1位は、アマゾン川の水流を用いたブラジルであり、実に80%にも上っている。
 当社は、再エネ先進国の1つであるインドで、2大再エネ事業会社のグリーンコーに30%の出資を行っている。インドの再生可能エネルギー量は日本と同等だが、コストは日本の1/3である。石炭よりも再生エネルギーの方が安く、インドでは2030年までに再生可能エネルギーを55%まで引き上げる計画をしている。一方、再生エネルギー設備の新設が相次いだ結果、インドでは電線の空き容量が逼迫しており、増強が必要である。
 更に地熱バイナリー発電の世界シェア85%のオーマットテクノロジーというアメリカの会社にも20%出資している。
 スペインのエラワンエナジーという会社にも80%の出資を行っている。EU圏内だけでなく、アメリカ、南米に多くの発電所を手掛けている会社である。現在開発中のものが12MWもある。
 出資比率でカウントすると、海外で約2GW分をオリックスとして所有している。今後、グリーンコー、オーマットテクノロジー、エラワンエナジーの投資を追加し、8GW分まで増加させる予定である。それだけのマーケットがあり、最重要分野であると認識している。

■国内再生可能エネルギー事業
 日本国内には1GW分の太陽光発電を所有しており、これは原発1基分に相当する。地熱発電所、バイオマス発電所、石炭火力発電所も自前で所有しており、小さな規模ではあるものの電気販売事業者でもある。国内の電機業界ではオリックスは10位であり、シェア拡大のためにエネルギーを各種検討しているが、石炭燃料は現在風当たりも強く、増加は困難である。バイオ燃料や水素、アンモニアを含めた新しい燃料や設備について社内検討中である。
 太陽光発電の適地は高日射量、高照度、適温である。日本では山梨が最も適地であり、2位が長野。愛知は6位である。2014年、枕崎空港跡地に、九電工と共同でメガソーラー発電所を建設した。空港跡地を活用したメガソーラー発電事業は全国で初めてであり、約10MWの出力を誇る。2018年新潟のゴルフ場開発跡地に、55MWものメガソーラー発電所を建設し、オリックスの太陽光発電の顔と言われている設備でもある。太陽光発電のメンテナンス会社では、ドローンとAIを活用して、発電効率を最大化、コストは最小化している。既にお持ちの太陽光発電もオリックスでメンテナンスし、発電量向上が可能である。
 地震大国日本の地熱の埋蔵量は世界3位である。別府温泉の杉乃井ホテルでは2MWの地熱発電所があり、ホテル700室の70%の電力を賄っている。その他、3か所の地熱発電所を建設中であり、北海道函館で6.5MWの地熱発電所は来年竣工予定である。八丈島では、震災後に建て替えの必要性が発覚した既存発電を、地熱に置き換える計画である。地熱は、実際に掘ってはじめて資源量や質が分かるため、多数の掘削が必要であり、開発リードタイムが約10年と非常に長い。また1本の掘削に数億円必要であるため、オリックスでも、断念した発電所は約10か所ある。このような性質も踏まえ、どの再生可能エネルギーを選択するのか熟考しなければならない。
 日本の再生可能エネルギーも進んだように感じるが、実は太陽光発電だけである。水力発電に関しては、原動力となる新規ダム建設は困難である。また太陽光発電用であっても、森林伐採は許されない。バイオマスも、燃料が海外輸送の木材チップやパームヤシを用いるため、輸送CO2が問題となり、世界的には再生可能エネルギーには分類されていない。地熱エリアは、国立公園となっている場合が多く、規制が厳しく開発が難しい。洋上風力は漁業関係者とのすり合わせを考えると、約10年のリードタイムが必要である。短期的には、リスクも少ない太陽光発電しかなく、国際競争力がないのが現状である。中長期として、洋上風力、地熱、水素やアンモニア燃料でゲームチェンジができれば、再生可能エネルギー事業で日本が世界に飛躍できるだろう。しっかり検討しなければいけない。
 なお、置く場所があればぜひ太陽光パネルを設置し、自家消費していただきたい。オリックスでも様々なサポートがあり、高効率の再エネ率を提供できるので、ぜひ相談いただきたい。


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【3年9月度 産業懇談会(木曜G)模様】

テーマ: 『 物流業界における人材不足と人材派遣会社として当社がチャレンジしていくこと 』


日  時:令和3年9月2日(木) 13時00分〜14時30分
場  所:名古屋観光ホテル 曙西の間
参加者:22名

スピーカー:
北 昌秀(きた まさひで)
KUNIX株式会社
代表取締役

写真:北 昌秀氏

■会社紹介
 KUNIXは、人材を通じてコーポレートデザインをサポートする総合人材派遣会社で、創業当時から「日本の雇用を革新。社会と共に成長し そして今から100年続く会社でありたい。」というスローガンを掲げ事業を行っている。変化を恐れず、人や社会と共に成長や拡大し、働くことの新たな価値観をデザインする企業でありたい。
 主な事業は、労働者派遣事業、貨物利用運送事業、一般貨物運送事業(年内申請予定)である。2012年4月の創業開始以降、徐々に拠点を拡大させ、2021年5月に本社機能を備えたKUNIX Vision Towerを建設し滋賀県栗東市に移転した。KUNIXの財産は「人」であり、「人財」と呼ぶにふさわしいと切に感じており、その思いを具現化したのが、KUNIX Vision Towerである。人材が商品であるため、オフィス空間にもこだわり、労働者やワーカーがコミュニケーションを取りやすいよう面談室を設け、開かれたスペースを意識して建設した。

■コロナ禍による物流業界への影響
 物流業界は、これまでドライバーの労働環境の問題(長時間労働、低賃金、病気や事故等)が解決されず、若手を始めとして人材不足が長年続いている。このような状況の中、新型コロナウイルスは物流業界に大きな変化をもたらすことになった。コロナの感染拡大により、当初は消費や生産が落ち込み国内貨物の荷動きは鈍化した。その結果、人手不足は一時的に緩和され、高騰が続いた運賃も下落した。足元では、荷動きは回復基調であり、運賃の下落も底打ちをしている。一方で、巣ごもり需要の増加を背景に、宅配便取扱個数は、前年比で大幅増となった。トラック運送における人手不足は、足元ではコロナにより一時的に緩和されたが、依然として事業者にとっては深刻な課題となっている。「人手を増やしたいがこの需要がいつまで続くかわからず不安である」、「ドライバーの募集をかけたが、必要とする人材が集まらない」と悩む経営者が多いのが実情である。
 コロナによる景気の悪化の影響により、企業の採用意欲は低下している一方で、バスやタクシー、トラックなどの有効求職者数は、前年と比較して1.5倍に大きく増加し、一転して買い手市場となった。このように物流業界で働きたい人材は徐々に増えてきている。企業のニーズとワーカーのウォンツをつなぎ、企業には確実な人材の確保を、ワーカーにはライフスタイルに合わせた働き方を提案していきたい。

■現状の重点テーマごとの取り組み事項
 KUNIXの事業統括本部は、人材派遣営業部、ドライバー派遣部、輸送開発部の3つに分かれる。人材派遣営業部は、人材を必要としている企業と働きたい人という需要と供給をマッチングさせ、適切な人材を企業に派遣する部門である。この部門が開拓するマーケットは、人材派遣業で禁止されている業務以外全てがマーケットになる。時代の変化を的確に読み取り、幅広いターゲット層を開拓することが使命である。営業戦略は、物流倉庫や軽作業の枠の中での製造業(検査・検品)等をマーケットとして活動している。いかに求められる人材を適材適所に供給できるかが鍵となるため、マナーやスキル習得の研修・支援まで、人材の価値を高める為のプログラムを用意している。人材派遣業界には、派遣先企業、労働者、派遣会社の近江商人の「三方よし」の精神が大切である。
 ドライバー派遣部では、配送ドライバーの人材派遣や派遣先企業内での荷物、製品の荷下ろし積み込み業務等の倉庫内業務まで行い、企業の輸送ネットワークをサポートしている。開拓するマーケットは、既存業界のドライバー派遣だけではなく、一般家庭向け配送セールスドライバーなどの新しい業界を見込んでいる。ドライバー=運転が危ない、マナーが悪いなどのネガティブイメージから脱却を目指している。KUNIXが派遣するドライバーはセールスマンで、次工程はお客様という概念を持ち、看板ドライバーの教育・育成をすることで、荷主に喜ばれる荷主ファースト精神の構築と植え付けを行っていきたい。
 輸送開発部では、全国にある協力会社と連携し、様々な荷物の輸送を行っている。開拓するマーケットは、日本各地の運送会社、大手製薬会社など時代の隆盛を的確に読み取り、必要としている企業に対して、果敢にアタックしていきたい。取扱量の拡大を最大目標とし、ドライバー派遣部と連携し、新規企業との直取引を目指す。既存の大手企業は維持しつつ、多様化するニッチな取引先を新規開拓し、新たなロジスティック戦略を推進していきたい。

■滋賀を盛り上げるためのCSR活動
 滋賀の様々な情報を発信するWebオウンドメディア「tap」というwebマガジンを発行している。滋賀の情報をメインとしたコンテンツになっており、実際に足を運んで取材し、広報活動を行っている。パソコンやスマホで閲覧ができ、飲食店や施設から好評を得ている。この取り組みはKUNIXのCSR活動の一環であり、大企業のCSRと異なるところは、広範囲ではなく地域に密着し活動している点である。「tap 滋賀」は滋賀県を盛り上げ、経済活動を活性化させるために活動している。今後は、全国版も視野に入れて、中部においてもこのようなwebマガジンを発信して様々な方に知ってもらう機会があればと考えている。

■今後の新戦略・新サービス
 2022年にKUNIXが展開するKUNIX EDUCATIONAL CENTERの開設と、雇用を革新するECP(Employer Convertible Program)というサービスを紹介したい。
 KUNIX EDUCATIONAL CENTERは、2022年4月に愛知県名古屋市に中部支店兼研修センターを開設し人材教育の拠点となる。ドライバーに対して、安全に対する意識や座学、技能運転講習が受けられ、ビジネスのスキルアップを目指す事ができる。社外的、社内的に活用できる多目的スペースとして収益の源にしていく。
 ECPは、企業が雇用をしていた社員をKUNIXへ転籍してもらい、人件費や雇用に関連するコストをKUNIXが負担する。経営者は、社員を雇用する上での労委関係のトラブルやリストラなどの問題から解放される事がメリットである。労働者は、既存の労働環境より優れたプロフィット(金銭面、環境、待遇、福利厚生面)を享受でき、倒産や失業の不安も解消される。業務を引き継ぐ形で転籍するため、引き続き慣れた環境で働くことが可能となり、所属企業の業務がなくなった場合も、新しい職場で仕事ができる。このように、経営者や労働者によるメリットを最大限に享受できるシステムになっている。このサービスは、物流業界から取り組みを始め、様々な業界に転用していきたい。日本の雇用を革新し、滋賀栗東から全国、そして世界へ歩みを進めていきたい。


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【新会員自己紹介】

写真:武部 篤紀氏
水曜第2グループ

武部 篤紀(たけべ あつのり)
トランコム株式会社
取締役上席執行役員

【トランコム株式会社】
〒461-0004 名古屋市東区葵1-19-30
URL:https://www.trancom.co.jp/

 この度、産業懇談会水曜第2グループに加入することになりました。武部でございます。

 当社は物流という社会インフラを担う企業として、社会課題の解決と抜本的革新に挑戦し続けることを使命とし、期待される存在であり続けるために日頃から取り組んでいます。
 当社の特徴は何と言ってもスピード感を持って取り組む姿勢だと考えています。近年は今までお取引がなかなかできなかったお客様との仕事も増えてきているように感じており、これもひとえに従業員の皆さんの誠意ある行動が実を結んでいるのだと思います。
 創業来、自ら率先して取組むことが会社の大切な考えの一つでありますが、私自身も社員と一体となった取組みを推進するためにも、大型免許、牽引免許も取得しフルトレーラーの運転もできるようになりました(笑)。

 産業懇談会を通して、様々な業種、業界の方々の貴重なご意見を拝聴し、知見を深めるとともに、東海地域の発展に寄与していきたいと考えております。
 どうぞよろしくお願いいたします。

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11月度産業懇談会のご案内

 感染リスクを回避するため、引き続き定員を設けさせていただきますのでよろしくお願い申し上げます。
 また、開催日に緊急事態宣言、まん延防止等重点措置が適用されている場合は、昼食の提供を取り止めし、視察会は中止致します。
 何卒、ご理解・ご協力賜りますようよろしくお願い申し上げます
 なお、開催方法が変更になりましたら、ホームページでもご案内いたします。

 11月17日開催の水曜第1グループの例会は、他のグループの皆様にも定員の範囲内でご参加できるようにいたしました。会員専用ページでご案内しておりますので、ぜひともお申込みくださいますようよろしくお願い申し上げます。

  • 定員は先着25名(※木曜グループの視察会は申し込みを締め切りました)

 ※会合にご参加いただける際は、マスクのご着用・手洗い、積極的なアルコール消毒の励行にご協力ください。発熱の症状がみられるなど体調不良の方は、ご参加をお控えいただきますようお願いいたします。

グループ名 世話人 開催日時 テーマ・スピーカー 集合場所
火曜グループ

富田 茂
広井幹康
深田正雄

11月9日(火)
12:30〜14:30

『DIC株式会社のご紹介
        Color&Comfort by Chemistry』(仮題)
DIC株式会社 
名古屋支店長 住谷 安彦 氏

若宮の杜
迎賓館
集合・食事
2階 桜の間
講演
1階 橘の間

水曜第1グループ

淺井博司
足立 誠
落合 肇

11月17日(水)
12:30〜14:30

(第1部)『りそなグループのご紹介』
(第2部)『今後の世界の経済・投資・経営環境について
         〜景気再起動の後の社会変革の姿〜』
株式会社りそな銀行
名古屋営業本部長兼名古屋支店長 内藤 暁彦 氏
りそなアセットマネジメント株式会社
チーフ・ストラテジスト チーフ・エコノミスト 黒瀬 浩一 氏

名古屋
観光ホテル
集合・食事
18階 伊吹の間
講演 
2階 曙西の間
水曜第2グループ

大倉偉作
香川裕子
高見祐次

11月24日(水)
12:30〜14:30

『100年以上続く いい会社の共通点
            〜その芯は?どうすれば?〜』
トゥモローブレイン株式会社
代表取締役 北川 幸一 氏

名古屋
観光ホテル
集合・食事
2階 曙東の間
講演 
2階 曙西の間
木曜グループ

河村嘉男
中林直子
吉田憲三

11月4日(木)
9:00〜17:30

『徳山ダム 見学会』

名古屋商工会議所
正面玄関

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12月度産業懇談会のご案内

 新型コロナウイルス感染症のリスク回避の観点から、ご参加は「ご所属グループのみ」に限定させていただきます。
 また、会場の収容人数を勘案し定員を設けさせていただきます。
 なお、今後も情勢を注視し、開催可否および運営の変更を行う可能性がございます。
 予めご了承ください。

 ※会合にご参加いただける際は、マスクのご着用・手洗い、積極的なアルコール消毒の励行にご協力ください。
 発熱の症状がみられるなど体調不良の方は、ご参加をお控えいただきますようお願いいたします。

グループ名 世話人 開催日時 会場
火曜グループ

富田 茂
広井幹康
深田正雄

12月7日(火)
18:00〜20:00
料亭蔦茂
Tel:052-241-3666
名古屋市中区栄3-12-32
(先着20名)
水曜第1グループ

淺井博司
足立 誠
落合 肇

12月15日(水)
18:00〜20:00
あつた蓬莱軒神宮店
Tel:052-682-5598
名古屋市熱田区神宮2-10-26
(先着25名)
水曜第2グループ

大倉偉作
香川裕子
高見祐次

12月8日(水)
18:30〜20:30
若宮の杜 迎賓館
Tel:052-231-2038
名古屋市中区栄三丁目35-30
(先着25名)
木曜グループ

河村嘉男
中林直子
吉田憲三

12月2日(木)
18:00〜20:00
札幌かに本家名古屋駅前店
Tel:052-583-0012
名古屋市中村区名駅南1-17-20
(先着25名)

※会費は実費を後日請求いたします。お申込みの方には別途詳細ご案内を送付いたします。

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【コラム】

コラム1 【さっかの散歩道】 No.40
コラム【さっかの散歩道】

長瀬電気工業株式会社
代表取締役 屬 ゆみ子

『 恋文 』

 先日NHKのアーカイブ放送で、芥川龍之介の「恋文」を紹介する番組を見た。恋文と言ってもそれは小説のタイトルでなく、本人がプライベートで綴ったラブレターだ。初恋の人に送ったもの、結婚相手に送ったもの…。其々に味わい深く、久しぶりに「行間にこもる感情のうねり」のような、日本人らしい、心にしみる表現に触れた。
 この頃は、ラブレターはおろか手紙すら書かなくなって久しい。携帯メールは便利なものだがあまりに簡略で味気なく、それに慣れてしまった自分を少しばかり反省しつつ、最後に頂いたラブレターを思い出していた。20年ほど前の事だろうか、東京の某パーティーで、80歳近いクリエーターの方とお目にかかった。名刺の交換をして、その後何度かその方が主催する会にお誘いいただく機会を得てしばらくすると、一通の美しい絵葉書が送られてきた。
 ―齢を重ねて、さまざまな会に出かけるのも億劫になって来たところ、貴女と出会い、それから何かとかこつけて案内を出す度に、貴女と再会するのが待ち遠しく、前の日から着てゆく洋服をハンガーにかけてあれやこれや悩み、まるで遠足前の小学生に戻ったようだ―
 絵葉書は手作りで、切手もオリジナルデザイン、その貼り方も粋でセンスが溢れている。決して好いた惚れたの浮かれた内容ではないものの、お年を考えれば尚の事、なんと素敵な恋文なのだろうとほっこりしたのを思い出した。

 思い返せば私は手紙魔だった。何か素敵なことが有るとお伝えせずにはいられず一筆したためる。そのため文箱代わりの小引き出しには、あちこちで見つけた珍しい便せんや絵葉書がぎっしり(今でもその残骸は残っているのだが)。特に海外に出かけるときは、現地から送るエアメール用のアドレスメモーアドレス帳でないのは、皆に書くのではなく、書きたいと思う人の分だけメモにしていたからーを必ず携帯し、ゆく先々で、その人に喜んでもらえそうな絵葉書を探し、カフェやホテルでペンを取る。

写真:絵葉書
絵葉書の山 これで引き出し1段分、もう一段ある…

当時の事だから、どんなに早く配送してもあて先に届くには1週間はかかるだろう。当然自分の方が早く帰国することになる。それでも一人旅の多い私にとって旅情の共有は、旅の楽しみの一つだった。勿論友人もまた各地から絵葉書を送ってくれて、へぇ〜こんなところに行ったんだ!などと驚かされることも度々あった。

 やっぱり直筆の手紙は味があるな、などと思いながら一冊の本が思い出された。宮本輝著「錦繍」。初版は1982年なので、かれこれ40年近く前のもので、今では珍しくなった往復書簡で綴られた忘れられない作品だ。宮本輝さんは言わずと知れた「泥の河」「流転の海」「ドナウの旅人」「優駿」など名著は数知れず、全集にして14巻の圧倒的作品数を誇る、大好きな作家の一人。新著が出る度、ハードカバーの初版本は金欠で買えないので文庫本が出るのを今か今かと待っていた。

写真:錦繍 宮本輝著
絶対捨てられない文庫本の中の一冊

 そんな名著の中でも、この「錦繍」は、昔夫婦だった男女が10年後のある日、旅先で偶然再会し、そこから2人の手紙のやり取りが始まるというお話だ。始まるのは文通だけで、そこから何か展開があるわけでなく、ただ淡々とその後の自分たちのことを語り合う。ただそれだけなのだが、若くして別れた二人に一体何があったのか、その内容があまりに衝撃的だったにもかかわらず、そんなことすらも冷静に思い出し、若かりし頃の少しの誤解やわだかまりをお互いに告白しながら現在の自分を語ってゆく。当時20歳そこそこの私には、冒頭のゆっくりした語りにまどろっこしさも感じたが、読み進むにつれて「人間って、本当に面倒で愛おしいものなんだな」という感想に加え「明日も頑張ろう!」と勇気をもらった気がしていた。二人がそれぞれの10年間を数枚の手紙にしたためて、言えなかった言葉も、行間や封筒の中に閉じ込めてポストに投函する。返事は来なくても構わない。素敵な気持の交流…。これが私の手紙魔の原点?それはちょっと調子に乗りすぎ!!

 ともあれ、またまた小引き出しをひっくり返し、手紙などしたためてみたくなった。誰に何を書こう、暫く連絡をしていなかった友人は何をしているだろうか?と思案しながら見るのは携帯のアドレス帳、ってメールアドレスと携帯番号は載っているのに、住所がない!
 そっか、手紙書かなくなったから自宅の住所なんて聞かなくなったし、ましてや個人情報だ何だかんだで、同じ町内はおろか同じマンションに住んでいることも気づかず暮らしていたりする。なんて味気ない、とはいえ今更「住所教えてください」などと面と向かって聞くのも気恥ずかしいし…。いや待て、住所は聞いたものの、ワープロに慣れて漢字を書くことも億劫になり尚且つ老眼で葉書に向かったところで、一体何文字書けるのだろう?それより悪筆になってはいないか?
 今一度「日ペンの美子ちゃん」の通信教育から始める必要がありそうだ。

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コラム2 【師、曰く】 No.5
コラム【師、曰く】

妹尾 鷹幸(ペンネーム)
(株式会社構造計画研究所 名古屋支社長 妹尾(せのお) 義之)

 ペンネームは、恩師、田坂広志先生の多重人格マネジメントの応用、作家人格の名。心に鳴り響く言葉を、今回も一筆。

『 解釈力 』

 「人生に与えられる“逆境”。苦労や困難、失敗や敗北、挫折や喪失、病気や事故。なぜ、逆境を超えられないのか。その最大の理由は、逆境に“正対”できないからだ。過去への後悔、未来への不安、否定的な想念で心が一杯になるからだ。」

 田坂講義は、このことを真正面に捉える。経営者、リーダー、マネージャー、起業家、だけではない。一人一人の人間は皆、この逆境を超えられないことで苦しむ。田坂先生は、一人一人が逆境を超え、人生を拓き、一隅を照らすことで、この世界が前進すると信じるからこそ、前々回に触れた大病を乗り越えた力と同じ、逆境を超える力を一人一人に気づかせようとされる。

 しかし、それはとても難しい。どうすれば、逆境に正対することができるのか?その逆境を「肯定」することだと、その逆境には 「大切な意味がある」と受け止めることだと言われる。そのために必要なものが、『解釈力』。人間の真の強さとは、この解釈力なのだと言われる。必ず語られるエピソードがある。コップに入った半分の水を見て、半分しかないと思うか、まだ半分もあると思うかなんて、薄っぺらな話ではない。命がけの解釈。米国出張した男性が車を運転中に、一瞬のミスで事故に遭い、病院で気づいたときには片足を失っていた。急いで渡米し駆けつけた妻が、その夫の姿を見て思わず叫んだ。「あなた、良かったじゃない!命は助かった。片足は残った。」そう言って、夫を抱きしめた。その解釈力。無論、当の本人がこの逆境を超えるには、時間がかかったであろう。しかし、この解釈力をもった妻に支えられ、きっと乗り越えられたに違いない、そう思える。そして、この妻は自身が当事者になったとしても、その逆境を肯定して、そこから歩み出すであろうと思える。簡単には出来ないことだ。

 果たして自分にも、逆境を肯定できる解釈力があるだろうか。幼き頃から青年期は、過酷な逆境に抗い否定し戦い続けてきた。それは社会人になってからも、否定し抗い戦う一面に現れた。肯定というには程遠い、真逆の姿勢だった。なぜ自分には追い風ではなく、向かい風ばかり吹くのだろうと、天を睨みつけていた。師、曰く「人生において与えられる逆境は、深く見つめるならば、すべて、我々自身の心が引き寄せるもの」と言われる。田坂講義を4年半聴講するなかで、心の澱が大分昇華し、心の底から肯定的な思考になってきた。それでも、逆境が与えられると、何故なんだと直ぐには肯定できない自分が居る。逆境を肯定する解釈力とは、本当に難しい。師、曰く『大いなる何かが、自分を成長させようとして、この逆境を与えた。大いなる何かは、自分を成長させることを通じて、素晴らしい何かを成し遂げさせようとしている。では、この逆境から何を学べということか、何を掴めということか、どう成長せよということか。』たとえ難しくとも、この『絶対肯定の解釈』をすることが、逆境を超え成長するために大切なことなのだ。修行は続くよ、どこまでも。最後までお読み頂き、ありがとうございました。

写真:もみじの葉 (瀬戸の岩屋堂にて)

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コラム3 【「ほん」のひとこと】 No.156
コラム【「ほん」のひとこと】

株式会社 正文館書店 取締役会長
谷口正明

『 マンガでわかる日本料理の常識 』
長島博監修・誠文堂新光社刊

 監修者の長島博氏は、2003年「江戸の名工」・2008年「現代の名工」に選ばれた日本料理の名人です。その長島氏の、「若い世代にマンガでわかりやすく日本の食文化を紹介」したいとの思いからできたのがこの本です。
 日本は、山頂から海までの距離が短く急流河川が多いので軟水が多くなり日本料理の特徴である「だし」が取りやすく、世界平均の2倍の雨が降り国土の約70%を占める森林のお蔭で良質な水が豊富に作り出されるので「生食」ができます。水のほかにも、米・木・魚・神饌・包丁・発酵・うま味、の8つの日本料理の柱を解説し、料理の歴史や会席料理の実践も紹介しています。「食」を通じた分かりやすい日本文化論でもあります。

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【お知らせ】

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