産業懇談会【メールマガジン 産懇宅配便】 第229号 2021.6.30 発行

メールマガジン■産懇宅配便■

令和3年6月度(第229号) 目次
【3年4月度 産業懇談会(木曜G)模様】 4月22日(木) 12時30分〜14時00分
【3年5月度 産業懇談会(木曜G)模様】 5月6日(木) 12時30分〜14時00分
【3年5月度 産業懇談会(火曜G)模様】 5月18日(火) 12時30分〜14時00分
【3年5月度 産業懇談会(水曜第2G)模様】 5月26日(水) 12時30分〜14時00分
【7月度産業懇談会のご案内】
【コラム】
コラム1 【さっかの散歩道】 No.36
コラム2 【師、曰く】 No.1
コラム3 【「ほん」のひとこと】 No.152
【お知らせ】
【3年4月度 産業懇談会(木曜G)模様】

テーマ: 『 バブル崩壊後の困難を経て 上昇トレンドに回帰した日本株市場 』


日  時:令和3年4月22日(木) 12時30分〜14時00分
場  所:若宮の杜 迎賓館 橘の間
参加者:19名

スピーカー:
宮澤 伸光(みやざわ のぶみつ)
東海東京証券株式会社
常務執行役員ウェルスマネジメントカンパニー長

宮澤 伸光氏

■日本経済の振り返り
 
近年の日経平均株価の高値は、約30年前の1989年12月であり、4万円近くとなっていた。一方、最安値は約7000円であり、リーマンショック後の2009年の3月である。フィボナッチ・リトレースメント分析では黄金比で50%半値戻しは23,000円であるが、この23,000円に近づくと反発して下がるという傾向がここ30年続いていた。2020年に漸く23,000円を超え、今年の2月には一時30,400円台をつけた。以降は30,000円を少し割り込んだ水準でうろうろしている状況である。次は76.4%戻しの31,414円が一つの指標になるであろう。
 日本経済は、1985年のプラザ合意を契機にバブルに突入したが、1990〜91年にかけて導入された不動産融資に対する総量規制により、地価が全国的に下がりバブルが崩壊した。それ以降の急激な日本経済の悪化を受けて、1992〜95年にかけて政府は矢継ぎ早に巨額の経済対策を行い、日本株は何とか下げ止まりをみせる状態であったが、本格的な反発には至っていない。1990年代後半には、雇用、債務、設備の3つの過剰が日本経済の足かせと認識され、消費税増税、アジア通貨危機、ロシア経済危機など悪材料が重なり、日経平均はさらに下がった。ITバブルを経て、2003年には、りそな銀行の救済措置や、アメリカの住宅バブルを意識し、日経平均は上昇した。その後、元小泉首相による構造改革期待もあって相場上昇が続いた。しかし、2007年9月のパリバショックをきっかけに、サブプライムローン問題が表面化し、2008年9月のリーマンショックによって世界同時株安が加速した。そして、2009年3月の日経平均株価は、バブル崩壊後の最安値まで一気に下がった。その後、アメリカはリーマンショックからいち早く回復したが、日本は民主党政権下で、その後発生する東日本大震災の影響などで景気低迷に苦しんだ。2012年に発足した、第2次安倍政権が海外投資家にも支持され、日経平均株価は本格的に上昇した。

■GDPの成長傾向
 日本の名目GDPは、長年1990年代後半につけたピークを越えられなかったが、アベノミクスのスタートをきっかけにこれを超え、緩やかに上昇を続けていた。2020年にコロナの影響で、一旦は大幅に縮小したが、ごく短期間であり、既に回復傾向にある。金融・財政政策やコロナワクチンの普及により、GDPが回復するとの見方がコンセンサスになっている。
 日本経済の現状として、実質GDPの実績と予想を見ると、コロナの長期化は予想されるものの、2021年4月以降は、安定的な経済成長が続く見通しである。
 コロナ禍では、多くの企業が設備投資や、M&Aを抑制しているため、現在の民間企業の現預金は、記録的な数字となっている。また家計での現金及び、預金残高も増加している。今後ワクチン普及により、経済の正常化が進むと、企業は投資が再開され、また一般家庭の旅行や外食などの消費が急増し、GDPの押上げに寄与すると予測される。

■直近の株式市場のトレンド
 日経平均株価が200日移動平均線から15%以上乖離すると、過熱傾向にあると判断されるが、現在の乖離率は15%付近にあり短期的な過熱感は強いと見ることができる。
 現在の日本株が好調な背景には、アメリカの株価が過去最高値を更新しており、これが心理的サポートとなっている。日経平均株価とダウ平均株価は相関が高い関係にあり、2016年以降の統計結果からも明白である。アメリカは、強力な金融・財政政策やワクチン接種が進んでいることから、株価好調につながっている。なお、OECD景気先行指数と日経平均も連動性があり、現在どちらもプラスの伸びとなっている。この傾向はしばらく続くとみられる。
 日本株の需給については、特に外国人投資家がキーファクターとなる。外国人投資家の売買動向は、OECD景気先行指数と連動傾向があり、世界経済が好調な時は買い越し、低調な時は売り越しとなっている。日本株のピークと、外国人投資家の買い越しから売り越しに転じるタイミングがほぼ一致している。また外国人投資家は、株価の値段を気にせず、大胆に、一気に売買を行う傾向にあり、日本株の方向性を作り出す強いエネルギーにもなっている。そのため、投資家としては、外国人投資家の動きに特に注意を払う必要がある。なおコロナ禍において、外国人投資家は、一度売りに回ったが、世界経済の正常化期待の下、買いに戻っている状況である。
 北米での半導体製造装置の出荷は昨年から急拡大しており、半導体関連30銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体株指数SOXは、右肩上がりで上昇している。半導体関連銘柄は、敏感株であり成長株である。また日本の半導体関連の銘柄(東京エレクトロンやアドバンテスト等)は、SOX指数とほぼ連動している。


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【3年5月度 産業懇談会(木曜G)模様】

テーマ: 『 5Gを中心とした東海におけるNTTドコモの取り組み 』


日  時:令和3年5月6日(木) 12時30分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 桂の間
参加者:19名

スピーカー:
高木 克之(たかぎ かつゆき)
株式会社NTTドコモ東海支社
執行役員 東海支社長

高木 克之氏

■NTTドコモの夢と使命
 NTTドコモの事業はお客様への夢と使命のご提供だと考えている。今までになかった便利さ、感動、驚きといった新しいサービスを創造していくのが夢の部分、そして社会インフラとしてしっかり通信をお届けするのが使命の部分である。その中でも特に重要な使命は、東日本大震災の教訓も踏まえた災害対策である。災害時における通信確保、被災エリアへの迅速な対応、お客様の利便性向上のため、大ゾーン基地局の設置やバッテリー対策、重要設備の全国分散設置、避難所支援等を行っている。名古屋では、通常は一般の基地局から各端末に電波を送信しているが、災害時には、栄に設置している7キロの範囲をカバーできる大ゾーン基地局でも対応できるようにしている。

■NTTドコモと移動通信の歴史
 移動通信の歴史は40年前にまでさかのぼる。約10年ごとに新しい通信方式が生まれている。国内初の第1世代(1G)ができたのは1979年である。いわゆるショルダーフォンは、重量も重く、開発においては小型化に注力していた。
 1990年代初にデジタルの時代に突入し、NTTドコモでも2Gとして1993年に通話品質がクリアなデジタル・ムーバを発表した。当時の移動通信の普及率は、アメリカ4.4%、香港は4.1%、イギリス2.4%と比較すると、日本は1.3%程度と低く、海外に遅れをとっている状態であった。普及率向上のため、徹底的に原因分析したところ、狭いエリア、電池の持続性の悪さ、高コストが要因であることが明らかになった。普及率の低さもあり、NTTドコモ分社化初年度の決算は赤字が30億円にものぼる中、基地局増設、電池改良に踏み切った。また、当時は初期費用として10万円の保証金が必要であったが、これも廃止した。これらの結果、急速に契約数が伸びていった。
 1999年にiモードが始まり、2001年10月より3GサービスFOMAが開始された。現在5Gの端末は4Gも使えるが、当時の3G端末では2Gは使えなかった。このため3G端末の普及には少し時間がかかった。
 3Gとともに「ボリュームからバリューへ」というコンセプトで、携帯を音声だけでなくデータにまで利用の幅を広げ、より生活で使うものへと成長戦略の舵を切った。これはNTTドコモにとって初めてのゲームチェンジであった。3Gの特徴はデータ通信が可能となる高速化に加え、主に日欧方式、アメリカ方式、中国方式の3つに世界規格を統一したことだ。それまで顧客は、海外滞在時には海外専用の携帯を渡されていたが、3Gでは同一規格の通信会社を利用すると、ドコモ携帯(ドコモは日欧方式)がそのまま使用できた。当時ドコモが海外通信会社に投資したのは、日欧方式の利用可能国の拡大やiモードの海外普及が目的であった。
 2000年当時、10年後の通信の未来として、端末での読書、端末バーチャルアシスタント、冷蔵庫の情報を通信で把握、テレワークでの授業、VR、同時通訳でのWeb会議、自動運転、指紋や声紋による入退室チェック、電子決済などを予測した動画を作成した。20数年経過した今、多くが現実の物になっている。
 この動きを支えたのは2010年から始まった4Gである。ドコモではXiというサービス名で開始し、スマートフォン、タブレットでの利用が広まった。2007年にアップルがiPhoneを発売しており、この頃にはスマートフォンで動画や音楽を聴くのが当たり前の時代に入っていった。通信事業者が投資した4Gネットワークをもとに世界で急成長したのは、スマホ上でSNSなどのサービスを提供し、広告宣伝等のビジネスモデルで利益を得るGAFA等のプラットフォーマーであった。ただし、GAFAの影響力が巨大になるにつれて、個人情報、情報セキュリティ、公正取引などの問題も顕在化してきた。
 デジタル化が加速する一方、増大するトラフィックを処理するには更に利用効率の高い移動通信が必要となった。そして遂に2020年から第5世代の5Gサービスが開始された。5Gの特徴は、高速・大容量、低遅延、多数接続である。低遅延という特徴を生かし自動運転や遠隔医療など社会課題解決にも活用されることが期待されている。
 5G以降の移動通信は様々な情報を扱う社会インフラとして役割が大きくなる。そのため、安心でセキュリティの高いものでなくてはならない。昨今、世界的に大きなシェアを持つ中国の通信機器製造会社が発端となり米中が対立しているのは、移動通信が従来以上に国家安全保障に影響を及ぼすことが背景にある。

■ドコモ 5Gの紹介
 ドコモでも2020年3月より5Gサービスを開始し、エリアの拡大を鋭意行っている。2022年3末には人口カバー率約55%、2023年3末には約70%をめざしている。まずは人の多い繁華街、競技場、スタジアム、空港などからエリア拡大をしているが、社会課題を抱え5Gの能力を必要とする地方エリアにも広げていく。既存の4Gをチューニングし5Gに流用することである程度高速化できるが、5Gの能力を真に発揮できるのは5G専用の周波数を使ったものである。ドコモでは「俊速5G」として真の5Gを中心にエリア拡大を進めている。
 5Gの特徴を生かした新たなサービスの創造や社会的課題の解決にはドコモ単独で出来ないことが多い。パートナーとの協創が大切な事を過去の経験から学んでおり、「+d」というコンセプトで様々な企業と協力しながら5Gの社会実装を進めている。既に東海地方でも、地方公共団体や教育、観光、エンターテイメント、医療分野のパートナーと協力し、様々な活動を行っている。例えば中部国際空港やモリコロパークでの自動運転実証実験、白河村での混雑情報提供による顧客誘導、中津川市での地歌舞伎生徒への遠隔教育、新城市での遠隔医療、名古屋市と姉妹都市トリノとのWeb音楽祭、名古屋ウィメンズマラソンでのカメラ応援、名古屋ドームでの5G野球観戦、地域教育機関への教育タブレット提供など、数多く行っている。栄にNTTドコモのショールームがあるので、ぜひ5Gのソリューションを体験に来ていただきたい。

■未来の話
 少し先の話であるが、5Gが導入された10年後、つまり2030年代には6Gが開始される予定である。NTTグループではIOWN(アイオン)という名称で次世代の通信ネットワーク構想を提唱している。電気(エレクトロニクス)から光(フォトニクス)を中心とした伝送や演算処理に転換することで増大するデータだけでなく、消費電力の問題にも対応した通信ネットワークをめざしている。5Gをはるかに超える超高速・大容量、超低遅延によって、デジタルツインのような現実世界をサイバー空間で可視化したり、海、空も含めた通信環境の広がりも期待できる。また安心安全な高度セキュリティや防災対策にも貢献できる。NTTグループでは多くの日本企業とも協力し、日本発のイノベーションを起こしていきたいと考えている。


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【3年5月度 産業懇談会(火曜G)模様】

テーマ: 『 知って役立つ認証の話!
            覚えきれないID・パスワードの悩みも解決! 』


日  時:令和3年5月18日(火) 12時30分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 曙西の間
参加者:22名

スピーカー:
久保 統義(くぼ のりよし)
株式会社ディー・ディー・エス
代表取締役社長

久保 統義氏

■経歴
 学生時代、コンピューターと英語が嫌いであるがゆえ、出身地である西尾市のボール盤で有名な工作機械会社に就職したのだが、OA課に配属されてしまったのが自身のITキャリアの始まりである。その後、経験を活かし、「一太郎」で有名な(株)ジャストシステムに転職した。当時「一太郎」のバージョンアップがあり、愛知県内に最大ユーザーがいてパソコン3万台分のソフト納入が必要であった。同様に他社でもバージョンアップのタイミングで、3Kgほどのパッケージを大型トラックで1万箱納入していた。その状況を見て、(株)ジャストシステムでは、使用許諾書1枚で3万台のパソコンに対応する改善を行い、大幅なコスト削減を達成し、また顧客にも非常に喜ばれた。今思えば、これが日本で初めてのソフトウェアライセンス販売だと思っている。その後東京に異動し、今では当たり前であるが、パソコンにはじめからソフトをインストールし、中高年でも直ぐにパソコンを使える環境を提案した。富士通はいち早くこれに賛同・採用し、日本初の一太郎モデルが発売され、NEC・東芝・日立なども後に続いた。30歳代で大企業の役員との交渉を任され、交渉力を磨いた。
 その後、インターネットの普及後はセキュリティーが重要と考え(株)シマンテック(現:(株)ノートンライフロック)に転じた。当時のシマンテック本社CEOと元日本IBM社長で元(公社)経済同友会代表幹事の北城恪太郎氏との面談をセッティングしたことがあり、当時、北城氏から(公社)経済同友会について多くの話を伺った。実はその頃から(公社)経済同友会の活動には興味を持っていたのである。
 その後、トレンドマイクロ(株)に転職しエンタープライズ事業を創設。ハードウェアビジネスに興味を持ち、シスコシステムズ(株)に転職。日本の会社が恋しくなりクオリティソフト(株)に転職した。転職する会社は、改善の余地がある会社を選び、改善がうまく回り始めると、役割は終えたと考え、次の改善が必要な会社に転職してきた。クオリティソフトがうまく動きだした頃、「バイバイ パスワード カンパニー」を標榜し、パスワードレス化をアピールしていた(株)ディー・ディー・エスを知り、自ら会社に売り込み、今に至っている。

■生体認証とは
 現在政府はSociety5.0を提唱しているが、Society1.0は狩猟社会、2.0は地域定着の農耕社会、3.0で蒸気機関等が発明された工業社会、4.0が20世紀末頃からのインターネット情報社会である。Society5.0は、サイバー空間とフィジカル空間とを、人間を中心につなぐことで、経済発展と社会問題を解決しようとする未来社会である。その中で注目されている技術がAI等のロボティクス技術と、生体認証による本人確認である。
 本人確認というとITのイメージがあるが、実は古くからあり、印鑑(昔は複製できないと考えられていた)、署名、パスポート、免許書、指紋、DNAなども本人確認である。
 ITによる本人確認は、1960年代初頭に始まった。アメリカ人エンジニアのフェルナンド・コルバトが、当時大型コンピューターの複数人使用の手段として、パスワードの概念を編み出したのだ。しかし、そんな彼が、近年「覚えられない。整理も大変。パスワードは悪夢になった」とも言っている。実際に、メール、スケジュール、TV会議、ネットショッピング、テレバンク、交通機関、映画やレストラン予約、SNS等、非常に多くのパスワードを必要としている。しかも最近では、パスワードを登録しようとすると、「10文字以上、大文字、小文字、数字、記号を入れろ」など、要求が厳しいことが多い。実は、6文字数字のパスワードは解析に1秒とかからないが、10文字で小文字、大文字、記号が含まれると、7か月の解析期間必要となるからだ。このパスワードを3か月ごとに変えれば、よほど安全だろうと考えられている。ただし、近年研究中の量子コンピューターを使うと、解析期間7か月が、数秒に短縮できるようになるため、いつまで安全を担保できるか不透明だ。また、同じID、パスワードを使い回ししている人が非常に多い。サイバー攻撃でID・パスワードを盗んだ際、犯人の目的はそのサイトだけではなく、他のサイトの不正アクセスである。従ってIDとパスワードの使いまわしは避けるべきだ。つまり、セキュリティー面を考慮に入れると、10桁以上の大小英数字記号を含み、全てのサイトで異なり、3か月に1度変更するパスワードが必要となる。あなたは出来ますか? 実際には無理なのではないだろうか。
 このパスワードの呪縛から解き放つため、二段階認証や二要素認証が検討される。二段階認証とは1つ目の認証が正しければ2つ目の認証を入力して解除するシステム。二要素認証は、記憶(パスワードや、秘密の質問)、保持(ICカード、マイナンバーカード、携帯)、生体(指紋、顔、手のひらの静脈)のいずれか2つを組み合わせて解除するシステムである。貸し借りできない所有物と、本人、つまり生体認証が最も強固であり、政府推奨もこれである。
 生体認証にはいくつか種類があるが、一長一短あるため、目的に沿って選択すべきである。

  1. 指紋認証;歴史も古く、精度も高く環境依存は殆ど無いが、コロナ禍の中、接触認証は嫌がられる傾向がある。また指紋を取られることに、マイナスイメージを持つ人も多数いる。
  2. 手のひら静脈;指紋よりも精度が高いが、強い光が必要であるため、外部環境に影響を受けやすい。また、体温によって静脈の太さが変化するため、風呂上がりや二日酔いの場合、エラーとなりやすい。
  3. 顔認証;非接触はとても喜ばれ常時監視も可能な点は素晴らしいが、変装や双子でも判別出来ない例やマスクで制度が落ちる例が指摘されている。
  4. 音声認証;なかなか精度が上がらなかったが、AIにより研究が大きく前進した分野の1つである。既にAIスピーカーでは、声で家族を識別し、各人に応じた適切な広告や推奨を出せるようになってくるであろう。

■会社紹介
 当社は名古屋創業の、生体認証製品の開発、販売を主に行っている会社である。製品は認証ソフトと、読み取り装置を扱っている。名工大や中部大学などとも共同研究を行っている。パソコン向け指紋認証外付けセンサーでは圧倒的な日本1位のシェアを持っている。現在自治体は、マイナンバーカードのセキュリティー向上のために、全て二要素認証が導入されているが、その30%以上のシェアを占めている。
 当社製品の特長はフレキシブル性だ。1つの社内システムで、それぞれ認証方法を選択できることだ。例えば全社パソコンは顔認証だが、西日の当たる社長席は静脈認証、持ち出しパソコンは指紋認証などにすることが可能である。個人情報保護法が改正され各府省より二要素認証導入を推奨されています。ID・パスワードから改善しましょう。


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【3年5月度 産業懇談会(水曜第2G)模様】

テーマ: 『 シェアリングエコノミーと不動産
             〜シェアハウスの市況と法人活用の可能性〜 』


日  時:令和3年5月26日(水) 12時30分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 2階曙西の間
参加者:19名

スピーカー:
伊藤 正樹(いとう まさき)
株式会社シェア180
取締役社長

伊藤 正樹氏

■シェアハウスを始めるきっかけ
 学生時代、苦手であった英語の克服のために留学を決意した。学業の兼ね合いから、留学期間は3か月しかなく、効率よく勉強しようと、ニューヨークで最も授業料の高い語学学校に行くこととした。その効果があったかは別として、カザフスタンの国費で留学している人、チェコのプロボーダー代表、カダフィ大統領の従兄弟、韓国アイドルなど、普段関わり合いのない人と一緒に授業を受けることができた。彼らの話を聞くうちに、自身の考え方は大きく変わっていった。人生の変化は場所と人と仕事で起きると確信した。また、留学中は、ドミトリーに住んでいたが、そこに住む様々な人種と話したことも、自身の考え方に大きく影響を与えた。もちろん、非常に楽しい思い出にもなった。
 日本でも、通常の生活では出会えない人と出会える家作りを通して、人生を180度変化させる場を提供したいと思ったことが、シェアハウスを始めたきっかけである。
 大学卒業後、家電メーカーに勤務したが、副業として「シェア180」も設立した。4棟目のシェアハウスを建てたところで、雑誌の取材に応じたことで、会社にばれてしまった。「会社か、シェアハウスか」と迫られ、最終的にシェアハウス1本に絞り、現在に至る。

■シェアハウス180°の事業内容
 シェアハウス180°の事業内容は、受託事業、再生コンサルティング事業、リノベーションコンサルティング事業の大きく3つである。
 受託事業では、不動産オーナー様からの業務委託を受け、シェア型住宅の企画・立ち上げ・集客代行・管理請負・運営までをワンストップで行っている。愛知を中心に90棟、2547戸の部屋を紹介しており、中部地方ではシェアNo1を誇っている。関東、関西もさらに増やしていきたい。シェアハウス180°では、アウトドアやDIYの環境整備、ペット可や、外国人入居者が可能など、特徴のあるシェアハウス作りを心がけている。特に最近では、テレワークの普及により、住むオフィスというコンセプトで「Co-Living型」も人気である。昨今、プロジェクト毎にフリーランスの方々が集まるというビジネス形態も多く、期間限定の借り上げ寮としてもシェアハウスは利用される。仲介手数料や、敷金、礼金も不要、家具家電付きであるため法人利用も多い。この手の物件はまだまだニーズがあるだろう。
 再生コンサルティング事業では、事業オーナー様からのコンサルティング依頼を受け、低稼働や遊休化した既存のシェア型住宅事業を再活用している。寮、旅館、集合住宅、いずれの物件でも検討は可能である。運営工数の解消や、コロナによる稼働低迷の相談も多い。事例としては、慢性的に稼働率が50%以下の物件を複数所有のお客様より相談を受けた。競合調査、原因調査を行ったところ、集客力が弱いことが明確となった。特にシェアハウスはインターネットで入居者を募集するため、インターネット上での写真の見え方は重要である。まずはサイトの変更から改善をはじめた。また、可能性のありそうな1棟をテストケースとし、企画、設計、リノベーションまで監修した。通常はリフォームまでの会社が多いが、シェアハウス180°では運営まで含めて改善を行っていく。入居者間のトラブルに対しても住み込みで調査を行い、ハウスルールの見直しや、建物管理の改善にも着手した。結果として50%以下の入居率が70%にまで上昇した。
 リノベーションコンサルティング事業では、築年数が古く、老朽化した寮を”一棟丸ごと”といった大規模リノベーションを行っている。以前であればスクラップ&ビルドであった物件をリノベーションすることで、コスト低減や、SDGs(住み続けられる街づくりを。作る責任、使う責任。)の観点からも非常に意義がある。事例としては、亜細亜大学や、東京基督教大学の学生寮や食堂及びエントランスや、共立メンテナンス様の寮の改装を行った。

■シェアハウスのイメージと実施
 シェアハウスのイメージは、学生や外国人が多いというイメージではないだろうか。実際は、社会人が9割、女性が7割という大人のコミュニティーなのである。一方、外国人は1割程度、かつ英語圏は1%程度である。外国人との交流を求めて入居したが、中華圏の方しかいなかった、という話もよく聞く。シェアハウス180°の英語学習可能な物件では、英語圏の方だけが住める部屋や、割引サービスを付け、またバイリンガルやトリリンガルのスタッフを常駐させるなど工夫することで、顧客満足度をあげている。
 一般賃貸では、建物内で友人関係は、ほぼ構築されないが、シェアハウスの場合、3割以上の方が、同居人と家族同等の関係を築くことができるというアンケート結果がある。また入居者同士で結婚した例もある。「コミュニティーを求めて若者が出会い、コミュニティーを形成する」ことがシェアハウスの魅力ではなかろうか。会社の福利厚生としてシェアハウスを寮として利用すれば、同年代との共同生活を通してコミュニケーション力のある人材育成もできるのではないか。
 なお、一般賃貸のワンルームは、シェアハウス化したとしても、賃料を上げることができないため、投資回収が困難である。ワンルームのシェアハウス化はお勧めしない。

■人を介した人生の変化点の創出
 シェアハウス180°では、AIを利用した改善も行っているが、「人を介した人生の変化点の創出」を掲げ、人の介入も残している。月次の全ハウス合同のアクティビティや、有志によるクラブ活動、独自のSNSコミュニティーなど、網の目に張り巡らせた交流の場を、住み込みスタッフが企画・運営している。
 「人生の変化点の創出」いうことで、キャリア支援、起業支援も行っている。起業に必要な専門家の紹介や、起業家には賃金割引もしている。

■今後の展開
 将来的には、シェア型不動産の大型化や複合化の展開や、宿泊業にも挑戦したい。また、海外にも事業を拡大させたい。国ごとにシェアハウス文化が異なるため、日本人スタッフを海外に派遣するより、日本国内で外国人を採用し、研修後に海外に派遣するスタイルを考えている。
 シェアハウスを形作る要素は、場所と人である。場所と人に心当たりあれば、気軽に連絡をいただきたい。


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7月度産業懇談会のご案内

 7月11日までまん延防止等重点措置が適用されておりますので、7月1日開催の木曜グループの例会は食事の提供を取り止めさせていただくことにいたしました。
 開催時間が変更になっておりますのでご確認をお願いいたします。
 7月11日以降に開催の例会につきましても、緊急事態宣言およびまん延防止等重点措置が適用された場合には、昼食の提供を取り止めいたします。
 何卒ご理解賜りますようよろしくお願いいたします。
 開催方法の変更が決定次第、ホームページでもご案内いたします。

  • 定員は先着25名(※定員の締切はホームページにてご連絡いたします)

 ※会合にご参加いただける際は、マスクのご着用・手洗い、積極的なアルコール消毒の励行にご協力ください。発熱の症状がみられるなど体調不良の方は、ご参加をお控えいただきますようお願いいたします。

グループ名 世話人 開催日時 テーマ・スピーカー 集合場所
火曜グループ

富田 茂
広井幹康
深田正雄

7月13日(火)
12:30〜14:30

『私の自然保護活動とビジネス』
株式会社ル・ウエスト 
取締役社長 飯田 容子 氏

名古屋
観光ホテル
集合・食事
18階 伊吹の間
講演
3階 桂の間

水曜第1グループ

淺井博司
足立 誠
落合 肇

7月21日(水)
12:30〜14:30

『米とともに114年
      〜コロナ禍における米卸の生き残り方〜』
株式会社ハナノキ
代表取締役社長 池山 真一郎 氏

若宮の杜 
迎賓館
集合・食事
2階 桜の間
講演 
1階 橘の間
水曜第2グループ

大倉偉作
香川裕子
高見祐次

7月14日(水)
12:30〜14:30

『建設会社目線からの中部地域の現状及び今後について』
株式会社大本組名古屋支店
執行役員 名古屋支店長 山廣 隆宏 氏

若宮の杜 
迎賓館
集合・食事
2階 桜の間
講演 
1階 橘の間

木曜グループ

河村嘉男
中林直子
吉田憲三

7月1日(木)
13:00〜14:30

『電話工事の会社がトマトをつくってみました!
     〜シーキューブ株式会社の事業紹介〜』
シーキューブ株式会社
取締役社長 久保園 浩明 氏

名古屋
観光ホテル
講演
2階 曙西の間

 *開催時間、会場にご注意ください。
 若宮の杜 迎賓館(住所:名古屋市中区栄三丁目35-30、Tel:052-231-2038)

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【コラム】

コラム1 【さっかの散歩道】 No.36
コラム【さっかの散歩道】

長瀬電気工業株式会社
代表取締役 屬 ゆみ子

『 新しい言葉 』

 この頃、読みたい本をアマゾンで注文しても品薄で中々手に入らない事が続いて、そんなにマニアックな本を探しているわけでもないのだが、すこし残念な気持になったりするので、気分転換に色々な大学の研究会が発表している論文など、興味のありそうなものを見つけては覗きに行っている。

 そんな中で、大阪大学の経済研究所が5月に発表した「日本人はいじわるがお好き」というプロジェクトが目についたので思わずチェックしてみた。この発表はニューズウイークなどでも話題になったのだが、「日本人はその性格故に、経済発展にも少なからずの支障を来す」というような内容で、日本人の特性ともいうべき「出る杭は打つ」的な足の引っ張り合いが経済発展のリミッターになっていると、様々なデータをもとにミクロ経済学の応用を用いて解析している(もしご覧になりたいようであれば“大阪大学、日本人、いじわる”でググっていただければパワーポイント読み放題、解りやすいです)その中で用いられていた言葉に個人的に興味が湧いた。内容の背骨である「いじわる」は英語で表記されるところのスパイトspiteだ。直訳すると、妬み、恨み、嫌がらせetc…。このスパイト行動こそが日本人らしさなのだそうだ。普通にリアクションすれば、
 そんな意地悪ばかりじゃないでしょ。親切だし、おもてなすし。
と言いたいところだが、私が気になったのは「スパイト」が「いじわる」と訳されていることだ。他言語を日本語に翻訳する時、最も近い言葉を探すか、ひたすらその言葉を説明するかの2択になるのだが、どこかの首長のように「そのまま横文字で使う」ことで一石を投じるパターンも多くなってきた。実際これだけグローバル化が進んでくると、横文字をそのまま使った方がしっくりくる事の方が多くなっている。

言葉は文化の上に成り立っているので、例えばスポーツのルールなど、一昔前は野球のストライクを「いい球」ボールを「悪い球」など安易な使い方で理解に苦しむものになりがちだった。結局国際ルールに則ることでその楽しみも倍増し、ストライクもボールもすっかり日本語だ。そういう現象は国内だけに留まらず、以前自国の言語に絶対的プライドを持つフランスで「外来語は全てフランス語に直すべき」というヒステリックな運動が起きて、これまたややこしいことになった。英語をフランス語に直訳するだけでも意味不明な言葉が並ぶのに、こと日本語に至っては、適当な名詞が見つからず、ほぼ説明文でしか表現できなくなっていた。

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そもそも面倒嫌いなフランス人、早々に諦めて日本の着物は「キモノ」、同様に「カラオケ」も、「マンガ(フランスにもオリジナルの漫画はあるが、日本の物は全く別物)」も「しいたけ」もそのまま日本語で通用する。最近では「かわいい」もフランス語になった。
 考えるまでも無くこれはこれで理にかなっている。例えば代表的な言語で辞書に載っている語彙数を調べると日本語(広辞苑)25万語に対し、フランス語(ロベール)10万語、ドイツ語35万語、英語(オックスフォード)に至っては60万語!こんなに差があるのにいちいち正しく翻訳なんて土台無理な話なのだ。

それを更にややこしくしているのは、これだけ語彙数があっても、会話が成立する数はというと英語で3000語、フランス語で2000語、日本語に至っては驚くことに10,000語。いかに翻訳業が難儀な職業かということがとても良くわかる。だから新しい外来語が現れると、何とか言葉を作り出すことになる。日本語の場合都合の良いことに漢字があって、それを並べて新しい熟語を創作することになるわけだ。身近なところで「オートロック→自動開閉装置」、「エレベーター→自動昇降箱」「ベジタリアン」は「菜食主義」で使われているので、最近流行りだした「ビーガン→超菜食主義」というところか。これまでの造語の中で秀逸なのはやはり明治時代の、「tolerance→寛容」だろう。「忍耐」も「我慢」もちょっと違うんだよな〜から生まれたと勝手に想像している。

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最近流行りのポケトーク
ヘタな通訳者より優秀!

 さてそんないじわるな日本人には脳学者の中野先生からも「日本人は世界一心配性です」とのご意見が。このところのコロナによる同調圧力や悪者探しなど、なんとなくつまらなくなってきた日本人の特性について、メンタルからのアプローチに関する考察も増えてきた。それらを斜め読みしつつ、お陰で偏りがちなメディアのシャワーは、うまく潜り抜けていられる気がする。
 とはいえ私も日本人、心配の種を挙げれば限りなく。例えばこの原稿を新幹線で仕上げようと、乗車前から何度も予約時間を確認し、改札を入って電車に乗るまで、何度チケットの座席番号を確認したことか!ここは日本だから乗った電車の行先がいきなり変わるとか(以前リヨンから乗ったグルノーブル行きが、気がついたらジュネーブ行きになっていた)、事故でもない限り電車は遅れないと分かっているのに…間違いなくjaponaise.

 余談、関西に本社のある企業の株主総会は、毎回吉本新喜劇張りの出来事があるので楽しみに出かけている。今回は90過ぎのオジサマが株主提案でマイク前に立ち、外れそうな入れ歯で一生懸命話し始めたのだが、聞き取り不能でどうするんだろうと思っていたら、経営陣は全集中で見事に聞き取っていた。内容は別として、とても微笑ましい一幕、もしかしてあのオジサマの言葉は新言語として演題の下のAIが解読していた?

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コラム2 【師、曰く】 No.1
コラム【師、曰く】

妹尾 鷹幸(ペンネーム)
(株式会社構造計画研究所 専門役員 名古屋支社長  妹尾(せのお) 義之)

 ペンネームは、2016年からMBAで通った多摩大学大学院の恩師、田坂広志先生の言われる多重人格マネジメントの応用。アーティスト作家人格の名。田坂先生は私のトラウマも昇華させた人生の恩師。田坂先生や素晴らしい方々の鳴り響く言葉を取り上げてみたい。

『 小さなエゴ 』

 志の講義とでもいうべき田坂先生の教えを4年半、実に多くの知恵を学ばせて頂いた。その一つ、『小さなエゴを、否定も肯定もせず、ただ静かに見つめよ。』これは、何度も繰り返し言われた言葉。感情的になったり、誰か何かのせいにしたり、自己弁護したり、そんな“小さなエゴ”を、誰もが持っている。生涯、付き合ってゆかねばならないものだと。むしろ、自分はエゴを捨てたと言う人間が一番危ない。抑え込んだエゴは、別の処で鎌首をもたげてくる。それが人間だと言われる。親鸞でさえ「心は蛇蝎の如くなり」と自戒するのだ。その小さなエゴが、心のなかで蠢いている間は、物事がうまく進展しないことは、良くあること。多くの方々が体感されているのではないだろうか。逆に、“一隅を照らす”ため、志を為そうとするとき、不思議と、「たまたま」「偶然に折良く」「運の良いことに」幸運に味方され、とんとん拍子にことが進むことがある。これも、ご経験されているのではないだろうか。

 私も、2012年から東北大学の西山大樹先生や関係各社と開発した「スマホdeリレーRマーク」を、2019年に「高知市津波SOSアプリ」導入に漕ぎつけるまでは、様々な逆境に直面しながらも、不思議と幸運に恵まれた。私がこのプロジェクトに魂を塗り込めたのには、理由があった。それは、都内で帰社直後、3.11を体験したときのこと。帰ることもできず、家族とも連絡が取れず、あの時の胸を締め付ける思いがあったから。通信網がダウンしても、スマホだけで、メッセージをバケツリレーするad-hoc通信技術が、「スマホdeリレーRマーク」だ。3.11のような被災状況でも、救える命、伝えたい想いのために、役立てたかったのだ。

 現実には、数々の難局や逆境に見舞われた。ビジネスモデルが難しく経営層からの逆風、Android OS限定の研究成果を社会実装時にはiOS対応が必須の難題、実績のない先進技術を地方自治体が採用する際の壁など、他にも挙げれば切りが無い。しかし、崖っぷちの時、私を信頼してくれる役員が現れ、プロジェクト消滅は免れた。iOS対応で八方塞がりのとき、全く関係ないルートから、絶妙としか言いようのないタイミングで、偶然にも昔の顧客からiOS対応に活かせる提案があった。自治体導入が白紙撤回になる処を、市会議員や責任者が私の説得を信じて下さった。本当に不思議な幸運に恵まれた。悲劇から救える命、掬(すく)える想いの為に役立てたい、その純粋な思いがあった。儲かるから、自分の実績になるから、そんな小さなエゴでプロジェクトを進めていたら、大いなる何かは手を差し伸べてはくれなかっただろう。田坂先生は、同じ持つなら「小さなエゴ」ではなく「大きなエゴ」を持てと言われる。逆境の中でも不思議な幸運に恵まれたのは、大いなる何かの導きだったのかもしれない。かくして、不思議なご縁や奇蹟に恵まれ、高知市に導入することができた。感謝。

 その後も、様々な軋轢や葛藤に直面する。その度に、田坂先生の言葉を思い出す。

 『小さなエゴを、否定も肯定もせず、ただ静かに見つめよ。
 その賢明なるもう一人の自分を育てなさい。
 さすれば、小さなエゴは、次第に鎮まってゆく。』

その言葉を幾度も思い出し、自分のなかの小さなエゴを、何度も何度も見つめてきた。未だ小さなエゴは、居る。今日も小さなエゴを否定も肯定もせず、ただ静かに見つめ、生きる。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
写真:アジサイ

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コラム3 【「ほん」のひとこと】 No.152
コラム【「ほん」のひとこと】

株式会社 正文館書店 取締役会長
谷口正明

『 ことわざ時代劇 』
瀬尾英男著・二葉文庫

 書名の頭に「15分のお江戸コメディ」というフレーズがついています。「悪女の深情け」「人を見て法を説け」「他山の石」などのことわざをテーマに、1話15分ほどのコメディ11話に仕立ててあります。11話のうち7話は、『耳嚢』『想古録』などの江戸時代の随筆や逸話集から素材をとっていますが、寝転がって気楽に読める本です。「情感込めて朗読すれば、一層お楽しみいただけます」と勧めています。

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