産業懇談会【メールマガジン 産懇宅配便】 第215号 2020.4.28 発行

メールマガジン■産懇宅配便■

令和2年4月度(第215号) 目次
【令和2年度 中部経済同友会活動方針】
【新会員自己紹介】
小野 裕之氏

綜合警備保障株式会社 執行役員 第三地域本部長

【5、6月度産業懇談会のご案内】
【コラム】
コラム1 【さっかの散歩道】 No.22
コラム2 【「ほん」のひとこと】 No.138
【お知らせ】
【令和2年度 中部経済同友会活動方針】
      真に持続可能な社会を考える〜我々は次世代に何を遺すのか〜

 令和2年4月22日(水)、第65回定時総会を大幅に規模縮小のうえWEB会議にて開催いたしました。
このたびの開催形式変更については、会員の皆様よりご理解とご協力をいただき、誠にありがとうございました。

 令和2年度活動方針を発表し、盛田代表幹事を筆頭に新体制で活動を進めてまいります。
どうぞ引き続きご支援くださいますようお願い申し上げます。

令和2年度 中部経済同友会活動方針
  テーマ 真に持続可能な社会を考える〜我々は次世代に何を遺すのか〜

1. 岐路に差し掛かる世界 SDGsと第四次産業革命
 世界は岐路に差し掛かり、そこに立つ我々が次世代に何を遺すのか、課せられた責任は重大だ。過去3度の産業革命と約200年に亘る経済・社会システム進展の恩恵により、人類社会は総じて豊かさを享受してきた。一方で、今まで置き去りにしてきた格差拡大や環境問題をはじめとする問題が顕在化し、世界の持続可能性を脅かしている。また新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、人の移動の制限などを通じ、経済社会面で甚大な負の影響を及ぼすとともに、顕在化しつつあった社会の分断や人々の不安を浮き彫りにしている。課題解決に向けた世界の合意「SDGs」の理念、「誰一人取り残さない」を実現するためには、企業、地域、国家他各々の主体が独自に取り組む一方で、長期的視点を持ち、分野横断的な連携軸で経済・社会・環境の調和の上に立つ持続可能性を不断に追求せねばならない。過去、ビジネス化が困難だったからこそ課題山積し、悪化をたどる一方の現実に今こそ楔を打ち、将来の世代を含めて、全ての人々が利益を享受できる方向に舵を切らねばならない。世界経済フォーラム創設者のクラウス・シュワブは、第四次産業革命の先端技術が社会にはかり知れない恩恵をもたらし、いずれ今日の課題の多くを解決し得ると述べている。一方、その条件として、恩恵の公平な分配、技術が生み出す新たな問題への主体的な取り組み、技術の中心に人間を据えた推進を挙げ、「イノベーションとテクノロジーの中心に人間性と公益性を据えた未来」を実現すべきと主張している。この未来像は、日本政府の提唱する「Society 5.0」とも軌を一にする。我々にも次世代に明るい未来をつなぐ不退転の決意が必要である。

2. 日本が抱える課題
 「一人当たりGDP」は先進国の中で劣位にあり、また「課題先進国」と自認し久しい。多方面に亘る格差問題、少子高齢化などの構造問題、財政危機、多様性の欠如など、中長期で取り組むべき課題は複雑に絡み合い大きな挑戦の域にある。我が国が新たな国家戦略として持続的な成長モデルを描くことができるのか、まずは一人当たりの生産性を磨き上げることがカギとなる。新型コロナウイルス感染拡大への対策の中で、働き方の見直しも進んでいる。この危機は真に生産性の高い企業に生まれ変わる機会でもある。一方で、経済的豊かさと幸福度は必ずしも相関するものではなくなり、消費行動・投資行動において「ココロ」の比重と社会問題への意識が高まる。「モノ」の保有に執着せず、共感や体験といった「コト」や「ココロ」を重視するデジタルネイティブ世代にも注目せねばならない。これらの世代にとって、SDGsやその先の未来に想定される課題はまさに自分事であり、各企業の行動に目を凝らし、その存在意義を見定めようとしている。将来世代に明るい未来を引き継ぐため、いかにコストを負担するかが問われている。

3. 中部の課題と克服に向けて
(1)諸課題の解決に向けて昨年度は、「構想力と共創力の涵養」、「リアルな知と情報技術の融合」、「中部の若者の力を引き出す」を重要課題とし、講演会・交流会・提言・視察等の活動を展開した。今年度も継続検討することに加え、以下の課題を重点項目に掲げ活動を展開する。

〈重点課題〉として
@ 企業の社会的価値向上に資するSDGsの理解促進、SDGsの理念を実際の企業経営に取り込むには、経営者自身の理解と強い後押しが欠かせない。SDGs経営委員会の活動などを通じ、理解促進の機会を提供していく。
A イノベーション創出に資するオープンな交流の機会の提供、多くの差し迫った社会課題の解決、当地区の持続的な経済成長に、イノベーションが不可欠であることは論を俟たない。垣根を超えたオープンな交流の場づくりを幅広く提供していく。
B ダイバーシティーの深化による包摂的な社会の実現、多様な人材の能力を最大限発揮できる機会を提供し、価値創造につなげていくには、働く環境の整備に加え、社会全体の意識変革による包摂性の実現が課題となる。
C 若者の新たな発想・価値観の取り込み、デジタルネイティブ世代をはじめとする価値観の異なる若手との交流事業の活性化を推進する。世代間のコミュニケーションギャップを埋めることは、若者の新たな発想を事業化するための道筋ともなりうる。
D 深刻化する格差問題の真の理解に向けて、格差問題は世代間格差、教育格差、子供の貧困など様々な領域に波及している。極端な格差と貧困の固定化は、中間層の喪失による社会不安にもつながる。これらの格差問題への理解を深め、我々経済人の果たすべき役割について、様々な観点から検討したい。

(2)ビッグプロジェクトをチャンスと捉え
 東京オリンピック・パラリンピック、大阪・関西万博、愛知・名古屋2026アジア競技大会、リニア中央新幹線の開業等、国際イベントや国家的プロジェクトを契機とした大きな変化が当地をも巻き込む。この様な時にこそ、バックキャスティングで未来のあるべき姿を思い描き、今やるべきことは何かを考え実行することが求められる。自社の存在意義を見定め、どのような未来を構想し実現するのか、次世代に何を遺すのか、企業経営者である我々は問われている。この大変革期をまたと無いチャンスと捉えたい。

(3)中部経済同友会の更なる発展に向けて
 本会は平成29年度に会員1,000人を突破し活動実績や稼働率も高く活性化している。一方、10年後、20年後の本会の更なる発展に資する組織・機能強化等に着手する1年としたい。まず本会の中部地域の更なる発展への貢献の在り方について、広く、自由に議論・検討したい。また活動を支えるための機能強化として、具体的には、課題解決プロジェクト「サステナブルな中部経済同友会の実現」として、@広報・発信機能の強化、Aダイバーシティーや次世代育成の観点からの役職員登用、B本会主要事業の会員満足度に資する運営方法の見直し強化やタイムリーなテーマ設定、C会員満足度に資する事務効率化、事務局機能等間接部門の強化・育成、他を進める。

4. 結び
 我が国では、「三方よし」、「経済と道徳の一致」、「論語と算盤」等、経済と倫理を両立・調和する価値観を脈々と受け継ぐ。ここには「SDGs」や「第四次産業革命」推進に必要な哲学が通底する。さらに、異質なものを取り込み、調和させ、新たなものを生み出す強みも持つ。今、世界そして日本は新型コロナウイルスの感染拡大、それによる経済社会活動への影響の長期化という危機に直面しており、足元では4月7日に我が国においても発令された緊急事態宣言への対応という課題もある。この苦境を乗り切るために、あらゆる主体が一丸となって適切な行動をとることが求められる。これを自社の在り方を見直す機会とするとともに、この難局からの立ち上がりに向けて、経営者の不安・課題解決に資する活動として「1000人の声プロジェクト」を活用した会員同士の情報の共有、産官学及び全国の経済同友会との連携に取り組んで参りたい。当地には歴史的にも大きな転換点では機敏に対応し我が国経済を牽引してきた実績がある。今後の新たな変革期においても我が国をリードする気概を持ち令和2年度活動にあたりたい。会員各位の積極的な参加をお願いしたい。

(ご参考)令和2年度中部経済同友会 事業概要PDF


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【新会員自己紹介】

写真:小野 裕之氏
火曜グループ

小野 裕之(おの ひろゆき)
綜合警備保障株式会社
執行役員 第三地域本部長

【綜合警備保障株式会社】
〒460-0008 名古屋市中区栄4-16-36 久屋中日ビル
TEL:052-261-0366
URL:https://www.alsok.co.jp/

 初めまして。ALSOK綜合警備保障(株) 第三地域本部(東海三県及び福井、石川、富山を担当)の小野 裕之です。この度、中国・四国地方を担当する第八地域本部(拠点:岡山市)から転勤してまいりました。私は、生まれも育ちも神奈川県であり、入社以来、首都圏勤務が長かったですが、愛知県とはご縁があり、平成17年の尾張支社(一宮市)勤務に始まり、名古屋支社、中日本営業部と愛知県での勤務は今回で4回目となります。

 さて、世界中で猛威を振るっている新型コロナについて、罹患された方々および関係者様に心よりお見舞い申し上げます。また、会員各位におかれましては、ご自身や家族の感染防止のみならず、事業継続の観点からご尽力されていることと存じます。

 ALSOKでは、総務・営業などの管理部門は、「三つの密」を避けるため在宅勤務などを取り入れ出社制限を行っておりますが、弊社が提供する警備、ファシリティマネジメント(ビルメンテナンス・工事等)、介護事業のサービスは、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」による「国民生活・国民経済の安定確保に不可欠な業務を行う事業者」に含まれていることから、十分な感染防止策を講じつつ、従来どおり適切に各種サービスの提供を継続しております。

 また、最近では台風や豪雨による水害が多く発生しており、昨年は8月の九州北部豪雨、9月の台風15号、10月の台風19号など日本各地で猛威を振るいました。また、東海エリアにおいては30年以内の発生確率70%〜80%と言われている「南海トラフ地震」への備えも必要となります。それらの大規模災害が発生した場合は、安心安全の確保のために警備会社に期待するところも大きくなります。

 そのような中、ALSOKは5G、AI、ロボットを活用し最先端の警備を創造し、また、グローバル経済の中で日本の企業やその関係者様に貢献することを使命に、世界各国でALSOKブランドが浸透できることを目指しております。

 今後もALSOKは、お客様と社員の安全確保を最優先に、新型コロナに関しては国の方針や行動計画、自治体の指導に基づき、感染症拡大防止および事業継続を通じて、お客様と社会の安全安心の確保に努めてまいりますので、ご用命がございましたら何なりとお申し付けください。

 新型コロナが収束し、一日でも早く産業懇談会「火曜グループ」の皆様方にお会いできることを楽しみにしておりますので、これからどうぞ宜しくお願い致します。

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5、6月度産業懇談会について

5月・6月の産業懇談会例会は、昨今の情勢に鑑み、全グループ延期とさせていただきます。
7月以降の例会の開催については別途ご案内させていただきます。

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【コラム】

コラム1 【さっかの散歩道】 No.22
コラム【さっかの散歩道】

長瀬電気工業株式会社
代表取締役 屬 ゆみ子

『 後方支援 』

 ここ1か月で、ほとんどの人の生活習慣が何かしら変化したのではないだろうか。一人の時間が長くなって、何か時間を潰すツールを探して本屋に行ったり、ネット検索してみたり…。特に仕事つながりの人間関係がメインだった方からは、意外に「知らなかった世界」の広さに改めて気づく機会になったとの声がちらほら聞かれる。こういう時、国内で「何をしますか?」とアンケートを取ると、大体の人は、家族とのリクリエーション、自分磨き、趣味に没頭など、自分の身の周りあるいは自分のために時間を費やすという答えが返ってくる。他方で、私のようなお人好しはというと「何か助けになることはないだろうか?」とボランティアとまではいかなくても少しばかり心がざわつく。

― 問、医師でもない、防護服を作る技術もない、そんな私に何ができるだろうか?
― 答、 後方支援。

 で、今回は子供たちの力になろうと思い立った。子供食堂に大量の食材を持ち込んで、給食のおばちゃんをしようと運営福祉団体に問い合わせると、現在調理してみんなで食べることは中止になり、その代わり食材の配給を、月一回学区持ち回りで行っているという。お安い御用だ!食材調達しようじゃないの。この団体が地域で面倒を見ている貧困家庭はおおよそ200軒、たとえ150円のレトルトカレー200個差し入れたところで3万円。銀座のクラブの席料よりはるかにお安い(と思う)。
 社会が困難な局面に陥ったとき、未来への希望の力になるのは、子供たちが元気でいること。コロナ離婚だとか、コロナ家庭内暴力とか、ネガティブなニュースが囁かれ始めたが、そんな話を払拭するくらい子供たちには元気でいてほしい。弊社は小学校の通学路にあるので、時に子供たちが流行りのギャグを言い合いながら、アニメの歌を歌いながら、工場のシャッターが開いているときは、興味深げに覗き込んだり、「トイレ貸してください!!」と駆け込んできたり、たまーにピンポンダッシュのいたずらもあったり…小学生には毎日楽しませてもらっていた。そんな通学時間の賑やかな声が聞こえなくなって久しい。確かに外で遊んだり、大きな声で歌を歌ったりすることは、今の状態では難しいことではあるが、せめて「おうちごはん」は楽しくおいしく。そして学校が再開したら、また面白通学ネタを聞かせてほしいものだ。
 などと友人と話していたら、六本木のクラブDJが「休業するだけじゃだめだ、社会貢献するぞ!」と、其々居住区のお年寄りの買い物代行を始めたという話を聞いた。見た目がチャラい彼らが、民生委員の紹介とは言えいきなり自宅にやって来て「買い物しまーす」と言ったところで<新手の特殊詐欺か?!>と身構えられ、始めこそうまくいかなかったものの、今ではお年寄りの孫代行になりつつあるとか。コロナは怖い、しかし一方でこういう優しい連帯も生んでいる。

 今回のウイルス襲来で、昔読んだ本が3つほど思い出された。まずアルベルト・カミュ「ペスト」そして小松左京「物体O」と「首都消失」。本の話は正文館、谷口さんのエッセイが十八番なので、あえて内容までは書かないが、小池東京都知事の「ロックダウン」発言をニュースで聞いたときは、まさに小松先生のお書きになったSFのような展開が起こるのではないかと、一瞬頭をよぎった。また「ペスト」に関しては、先日NHKのEテレ『100分de名著』で、再放送されていた。たまにはNHKも粋なことをするもんだと感心していたが、どれほどの視聴者がいたのだろう、大勢の人の目に留まっていれば良いのだが。これらの小説に私なりに何らかの紐づけをするとしたら、それは、「体制」の葛藤から「連帯」へ、というところだろうか。このようなことは、実は今公開中(って映画館も自粛中か)FUKUSHIMA50(原作:門田隆将著「福島が日本を救った」)でも克明に描かれている。現実に立ちはだかる、答えの出ない壁に向かわなければいけない時、体制を突き破るべく連帯が生まれ、そしてその連帯は経験の特殊性から、やがて個々の心の奥深いところに沈殿してゆく。時を経てゆっくり熟成された記憶は、常にその連帯の中にいなくても、時に心の中で自分を励ます発電機になったりする。
 こういうことは、危機的状況にだけ派生することではない。例えば大学生の留学。見ず知らずの土地に夢と希望と不安を持って海外にやってくると、勝手の違う生活環境に不安を覚え、同じ国籍の学生を見ると思わず声をかけ、その不安を共有する(それが外国語の上達機会を奪うのもまた事実)。そして、いざ母国に帰国となると、戦友よろしくアドレスの交換と「また会おうね!!」と固い握手を交わしそれぞれの故郷へ散ってゆく。しかしその戦友たちのアドレス、何年か後には「誰だっけ?」と消去の憂き目にあう。とは言え、現地で頑張った記憶と連帯だけは心の奥にしまわれているので、今を頑張るモチベーションとなっていたりする。かく云う私も、実家のデスクに埋もれるアドレス帳には、日本各地からの留学生に加え、ルームシェアしていた北欧人たち、田舎から出てきたフランス人たちの連絡先がぎっしり書かれている。またいつか再会することが有る??のだろうか。今どきFacebookやTwitterで友達検索かければすぐにでも何人かリアクションがありそうな気もするが、異国を離れて20年、よほどのご縁があれば…だが、今更面倒かもねという思いが先立つ。

 月末には公園で子供食堂青空配給会。広い公園なのでみんな離れて「妖怪体操第一」でも踊りたいところだが、きっと自粛してくださいって怒られるだろうな、その前に踊りを覚えなくてはいけないのだが。
 どうかみなさまも、再会の日までお元気でいてくださいませ。

  Cordialement et bon courage mes camarades !!

 追伸、同友会メンバーの方で、食品関係の方がおられましたら、是非ともご協力くださいませ。勿論私にお声がけいただいてもよいのですが、お近くにも子供食堂の運営をしているところがあると思います。コロナで苦戦を強いられているところが多々あるので、運営側の体制を見極めた上(怪しい団体もあったりします)、お力添えをして頂ければと思います。

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コラム2 【「ほん」のひとこと】 No.138
コラム【「ほん」のひとこと】

株式会社 正文館書店 取締役会長
谷口正明

『 消費税が国を滅ぼす 』
富岡幸雄著・文春新書

 税制の最先端で73年間活躍し、国税の現職時代にわが国初の節税の本『租税節約の本』を著して「節税の教祖」と呼ばれた著者が、消費税の本質的欠陥と歪んだ法人税制を明るみに出し、日本経済再生のために緊急提言を行っています。

 富の再分配という役目を担う税制の大原則は「公平・中立・簡素」そして負担能力に応じて納税する「応税負担原理」ですが、税金を払う余裕の乏しい人ほど税負担を重く感じる「逆進性」をもつ消費税は、「税の論理からすれば邪悪そのもの」ということになります。その消費税を減税し消費意欲を喚起して内需を拡大せよ、歪んだ法人税制により恩恵を被っている大企業に「まとも」な納税をさせれば財源は確保できる、と主張しています。

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