産業懇談会【メールマガジン 産懇宅配便】   第56号 2007.1.31発行

メールマガジン■産懇宅配便■

平成19年1月度(第56号) 目次
メールマガジン ■産懇宅配便■
【4G合同新年会模様】 1月25日(木) 17時30分〜20時00分
【2月度産業懇談会開催日程】
【3月度産業懇談会開催日程】
【新会員自己紹介】
奈良 進氏 株式会社 ビーハーフ 代表取締役
【お知らせ】
【コラム】
コラム1  『花ちゃんからの健康だより』
コラム2  『プログレスシリーズ』
コラム3
『苗字随想』
コラム4
『鉄道の歴史と切手の世界シリーズ』

19年1月度4G合同新年懇親会

産業懇談会「代表幹事のご講話」ならびに「新年合同懇親会」

毎年恒例となった「代表幹事のご講話」ならびに「4グループ合同新年懇親会」を開催した。80名を超える多くの参加者のもと、石川代表幹事から貴重なお話をいただき(下記参照)、その後産業懇談会メンバーの皆様との懇親会を行った。年のはじめに、有意義な講演を伺うとともに一層の親睦を深める大変すばらしい機会となった。


テーマ:『 すすむ「溶解する日本のこころ」の中で
            「ものづくり、ひとづくり、こころづくり」を考える』

日  時:19年1月25日(木) 17時30分〜18時30分
場  所:名古屋マリオットアソシアホテル 17階 ルピナスの間
参加者:82名

 

スピーカー:
  石川忠司(いしかわ ただし)氏
  中部経済同友会 代表幹事
  株式会社豊田自動織機 取締役会長

石川忠司代表幹事

  溶解する日本の負の連鎖とは、企業のリストラ、倒産、採用抑制と非正規社員の採用増の中で、ニート、フリーターが増え、雇用不安、生活不安、所得格差が高まっている。将来に夢を持つという幸せロードがなくなって、夢を持てる人と持てない人という格差も生まれている。家族も3世代同居が減って、核家族化し、一人住まいや、パラサイトシングルという事象が生じている。そして、少子、人口減少、高齢化という一連の現象が、様々な社会問題を引き起こしていると考えられる。こうした負の連鎖の中で、日本はどこに向うのか考えてみたい。

 国際競争力を見てみると、ある調査では、日本は一時世界のトップにあったが、バブルが弾けた後に、順位をどんどん落として、2002年には30位まで落ち、ようやく17位まで戻って来たところだ。では、世界のメジャー企業の中で、日本の製造業はどういうポジションにあるのか。業種ごとにみてみると、ガラスでは世界のメジャー6社中3社が日本。同様に鉄鋼で10社中2社。自動車は10社中3社。半導体製造10社中5社。建設機械は6社中2社など。しかし、医薬品は10社中ゼロだ。強い分野と弱い分野がある。地味で頑張っている企業もたくさんあるが、グローバルプレーヤーの中で、各業種ごとに1〜3位に入る企業がどれだけあるのかが重要になるだろう。
 日本には1,400兆円の金融資産があるというが、世帯数別でみると、金融資産が全くない世帯が22%を占める。一方で、3,000万円超が10%ほどいて、この10%の人達が全体の45%にあたる630兆円の金融資産を持っている。問題は、この5世帯に1世帯が金融資産を持っていないこと。また1990年頃の貯蓄率は、15%と高かったが、それもどんどん減って、全体の貯蓄率は5%をきった。年収500万円未満の人も10年前に比べて増加しており、1億総中流階級というのは幻想で、ジリジリと2極分化が進行している。
 雇用の変化ということでは、正社員とテンポラリー社員の雇用合計は、ここ15年間ほぼ5,000万人であまり変っていないが、その内訳として、テンポラリー社員が大幅に増え、その比率は18%から30%まで高まっている。外国人の雇用もあって、雇用形態がどんどん変化している。そうした状況の中で、日本は活力をどう維持するのか。
 人口問題は、2005年の1.28億の人口が2050年には1億人に減る。さらに、質的な問題として、その頃、15才未満の人口は11%、65才以上が36%にもなる。学校の統廃合がどんどん進んで無くなる一方で、病院と老人介護施設が増える。
 近年減少が続く出生率は、昨年少し戻して1.29になると言われているが、団塊の世代のジュニア達が生んでいるに過ぎず安閑と出来ない。女性・男性ともに未婚率、非婚率が急激に増え、子どものいない無子率は40%を超える。人を愛し、家庭を作って、子どもを持ち、そしてささやかな夢として家を建てるという当たり前の社会が少なくなってしまった。我々は総人口が1億人になった時に、どういう国にするのかということを考えておく必要がある。
 最も申し上げたいことのひとつは、巷間あまり言われないが、「1998年問題」だ。バブルが崩壊し、企業のリストラ・倒産が進んだ1998年以降、自殺者、少年凶悪犯罪、不登校、フリーター、児童虐待などが激増している。このことから、経済の状況が社会問題に大きく関係することが読み取れる。しかし、経済が回復してくれば、再び元の健全な姿に戻ることが出来るのかというと、それは難しいと思う。
 高校や大学を出て就職し、職長や係長、課長になって、家庭を作って、家を持つという、「幸せロード」に漏れが出てきて、学校を中退しフリーターになる人達も出てきた。また、「幸せロード」自体を否定する人達も出てきており、高度成熟社会の悩める問題を抱えるようになった。ある調査によれば、将来に希望を持つ子ども達も急減している。一体、誰がこういう社会をもたらしたのか。我々は、次の世代に何を残していくべきかを考えなければいけない。

 まず、国の経済が発展し、働くところがあるということが大事だ。一人でも多くの人が働ける、雇用の拡大が出来るような強い企業を作っていくことが必要なのではないか。その中で人の優しさや、人と人の触れ合いのある職場のネットワークを通じて、孤独にさせないということが必要だ。
 入社して10年で25%の人、20年で50%の人が入れ替わる。技能の伝承もさることながら、経営理念もどう伝えていくのか。意識してそれを伝えることの出来る人をつくる必要がある。企業だけが成長する、あるいは個人だけが成長することは有り得ない。それを繋ぐのがリーダーの役割だろう。目指すべきリーダーは、「おやじ」である。
  「おやじ」のイメージは、誰にも負けない腕と見る目を持ち、怖いが親身になってくれ、背中で育て、見せる。逃げず、流されず、部下の憧れの人である。この「おやじ」づくりを会社の中でやっていかなければならないと思っている。

 先日テレビで、老人の犯罪を取り上げていた。一人は、生活保護を受け借金を抱え、生活が苦しくて盗みを働いた老人。これは社会的ネットの不足。一人は、家族から離れて孤独に耐えられず、盗みを犯して、その家族の気にとめてもらおうとする老人だ。孤独をほおっておく社会は、最も怖い。瓦解する今社会の中で、日本人の心、メンタリティーとは何だったのか。何をバックボーンにすべきなのか。人間として何をよりどころにすべきなのか。こうしたことをリーダー含めしっかり考え、みんなで、手を差し伸べ合いながら、こころからリッチになれる世の中に持っていければいいと思っている。

◆「新年合同懇親会」風景
新年合同懇親会 新年合同懇親会

>>目次へ

【新会員自己紹介】
奈良 進(なら すすむ)氏
火曜グループ

奈良 進(なら すすむ)

株式会社 ビーハーフ 代表取締役

【株式会社 ビーハーフ】
〒450-0002 名古屋市中村区名駅三丁目25番9号 堀内ビルディング2F
TEL:052-586-9631 FAX:052-589-2328
URL:http://www.behalf.jp/

(株)ビーハーフの奈良と申します。
この度は、伝統ある中部経済同友会・産業懇談会に参加させていただくことになりました。前任の古田同様、よろしくお願い申し上げます。

弊社は一般労働者派遣・有料職業紹介事業をご当地、名古屋を中心に12年目の事業展開をしております。昨年10月より、新たにアビリティジャパングループの事業会社として新しい一歩を踏み出しました。従来のコア事業、印刷分野への特徴とアウトソーサーとしてのアビリティジャパンのサービスのコラボレーションでお客様の経営面でのパートナーとなるべく、更なる活動をしたいと考えております。

中部経済同友会の各界の先輩方の経験やお話を楽しみにしているところです。まだまだ、幅の狭い自分ですが、皆様のご指導、ご鞭撻をお願い申し上げます。

>>目次へ

【2月度産業懇談会開催日程】
(場所は名古屋観光ホテルです。)
グループ名 世話人 開催日時 テーマ・スピーカー 場所
火曜グループ
各務芳樹
深田正雄
2月13日(火)
12:00〜14:00

エスケイメンテナンス株式会社
取締役社長 下 昇治氏
「仕事と余暇」

18階
伊吹の間

水曜第1グループ

飯田芳宏
落合 肇

2月21日(水)
12:00〜14:00

株式会社リーダーズドメイン窪田会長からのご紹介
ウェルリンク株式会社
取締役社長 宮下 研一氏
「メンタル不全と企業リスク−メンタルヘルス対策の意義と実際の方法」

18階
伊吹の間

水曜第2グループ

片桐清志
谷田利景

2月7日(水)
12:00〜14:00

住友生命保険相互会社
常務執行役員中部営業局長 矢島 典明氏
「企業におけるリスクマネジメント実践のために」

18階
伊吹の間

木曜グループ

河村嘉男
倉藤金助

2月1日(木)
12:00〜14:00

東レ株式会社
名古屋支店 支店長 濱口 裕氏
「先端材料で世界のトップ企業を目指す」

18階
伊吹の間

>>目次へ

【3月度産業懇談会開催日程】
(場所は名古屋観光ホテルです。)
グループ名 世話人 開催日時 テーマ・スピーカー 場所
火曜グループ
各務芳樹
深田正雄
3月13日(火)
12:00〜14:00

キャリオ技研株式会社
代表取締役 富田 茂氏
「若者への伝承 デジタルで伝える限界はこころの問題から解決!=技術伝承をデジタルで行う簡単な手法(納入案件での苦労や社内実例)を紹介」

18階
オリオンの間

水曜第1グループ

飯田芳宏
落合 肇

3月28日(水)
12:00〜14:00

酒井法律事務所
所長 弁護士 酒井 俊皓氏
「法律よもやま〜裁判員制度について〜」

18階
伊吹の間

水曜第2グループ

片桐清志
谷田利景

3月14日(水)
12:00〜14:00

大日コンクリート工業株式会社
取締役専務 鈴木 忠明氏
「中堅企業における経営革新の歩み
   〜トヨタ生産方式導入を中心に〜」

18階
オリオンの間

木曜グループ

河村嘉男
倉藤金助

3月1日(木)
12:00〜14:00

名南経営センターグループ
代表 佐藤 澄男氏
「これまでの出会いと学び」

18階
伊吹の間

>>目次へ

【お知らせ】

産業懇談会メールマガジン配信について

メールマガジンの配信は無料です。配信をご希望でない方はお手数でも下記ボタンを押して、メールをご返信いただければ幸いです。ご意見などございましたら、そのメールにお書き下さい。


   メールマガジンの配信を ○希望しない


【コラム】

コラム【花ちゃんからの健康だより】
〔花ちゃんからの健康だより〕 No.34

財団法人 愛知健康増進財団
保健師 佐藤 花子

「食も修行」の話

 猪突猛進の平成19年が明けました。本年もよろしくお願いいたします。ご愛読いただく皆様の一年のご多幸をこころよりお祈り申し上げます。
 他国では日本の和食がブームになっておりますが、皆様の食事に対する考えはどうでしょうか。美しくかっこよく歳を重ねる上で、食事の摂りかたを今一度見直してみましょう。
 食事の歴史を見てみると、ひえやあわを主食とした時代が長く、縄文時代に稲作が伝わりお米も少しは食べるようになりました。そして鎌倉時代には禅宗の僧侶によって精進料理が伝えられました。当時は「一汁一菜」が基本で特別な日や来客時は「一汁三菜」となり、料理が増えると二の膳、三の膳が追加されました。のちに茶道界においては懐石料理と呼び、さらに一品ずつ給仕する現代の懐石スタイルに確立されました。とはいえ庶民がお米を主食にできるようになったのは江戸時代にひえなどの雑穀に混ぜてからのことです。
 精進とは悪を断って善を行い勤めに励むことを言います。仏教では食も修行の1つ。心をこめて料理をし、それをありがたくいただき心身を養うのです。なかでも胡麻をすりつぶして作る胡麻豆腐は難しく、それを10年作ればやっと精進料理がわかるとされているそうです。
 肥満が見られるのは人間とペットや食用に飼育された動物だけで、野生の動物には見られないという事実があり、人間の貪欲さを感じて恥ずかしくなります。
  食事は、朝食、昼食、夕食と日々繰り返され、過去から現在未来へとつながっていて今後の健康を左右する大きな因子になりうるものです。「何が食べたいか」より「今何を摂るべきか」を優先させる日を多くしていきましょう。

健康メモ 恵まれし 命なりせば 今日の日は 再び来ぬ 尊き一日 (博多市にあるお寺より)

>>目次へ

コラム【プログレスシリーズ】

株式会社リーダーズドメイン代表取締役会長
窪田経営塾塾主
窪田 貞三

『 企業の進歩発展のヒント:22』

初始=始(初)めなければ始まらない

 「出来ないのではなく、やっていないだけ!」でも、「出来ないと思うからやらない」という人がいます。やっていなのになぜ出来る、出来ない、が分かるのでしょうか?不思議です。同じように、「始めてもいないのに始まらない」と文句を言う人がいます。そういう人は「誰かが始めてくれる」といった依存心を持っている人ではないでしょうか?それにも増して自分で始めてもいないのに、他人が始めないことに文句を言うなどとんでもないことですが、よく企業内の会議を見ていても、自分から意見や提案を出さずに、誰かが意見や提案を出すことを待っていて、その意見や提案に対して文句を言う人がいます。そういう人は自ら考え、自ら始めることをしない人です。自ら始めなければ、自分自身の存在感や生きがいやりがいは生まれないものなのに。
  また、人や企業を成長させるのは「新鮮さ」です。成長を続ける企業は常に新鮮な風土を持っているものです。常に前向きに事を始め、その都度「初」の氣持ちで行動する人が集まる企業です。常に毎日毎日初心に戻って自ら始めることが重要です。

・・・・ <事例研究>  歴史人物シリーズ−5 「 織田信長 」 ・・・・

 戦国武将の中でも、最も後世まで名を残した三英傑。そして、その三英傑の中でも最も人氣があるのがこの織田信長ではないでしょうか?(*以前窪田経営塾でアンケート調査をした結果ですが。)織田信長という武将については、ここであえて説明するまでもなく、多くの方がご存知だとは思いますが、戦国の世を終わらせ、天下を統一しようとした武将です。既存の権威や勢力に媚を売らず、家柄などに拘らず、既成概念に囚われない人材の登用や新兵器(火縄銃)などの活用など、なにかにおいて先駆者的な活動で戦国時代を終結に導きました。さらに、自らを魔王(第六天魔王)と呼ぶなど、戦国時代最も恐れられていた武将ですが、結果的に見ると、それが災いしたのか、本能寺の変で家臣の明智光秀の謀反により自害しました。

事例へのコメント
始めなければ始まらない

 織田信長という武将は、大変氣性の荒い武将だったようですが、恐らくそれぐらいの氣性がなければ天下統一の第一歩を築き上げることは到底無理であったと思いますし、信長の存在がなければ、その後の豊臣秀吉、そして、徳川家康の天下統一が実現することはなかったのではないでしょうか?いずれにしても、織田信長という武将は「初始の人」だったと思います。今までに誰もやったことがない、既成概念に囚われないことを自ら始める勇氣と覚悟の強さは半端なものではないと思います。これは企業経営においても同じことが言えるのではないでしょうか?既成概念に囚われ、新しいことにチャレンジする勇氣がなかったり、変化を嫌う企業経営は一歩二歩と他社に遅れをとって行く可能性が高いと思います。始めなければ、初めなければ始まらない!

●プログレスとは

 プログレスとは、『新時代経営コンサルティング手法』として、私の会社である株式会社リーダーズドメインにおいて企業経営ご指導法として用いているもので、日々多くの企業と関わらせていただいています。同じように努力していても「潰さないための経営」より「進歩発展のための経営」のほうが企業組織は生き生きとするでしょうし、企業におけるマイナス面の分析でも、「成り立たせるための分析」よりも「進歩発展させるための分析」のほうがより良い組織創りに繋がる---と言う考えを土台に持ったものが、このプログレスです。

>>目次へ 

コラム【苗字随想】
〔苗字アラカルト〕 No 56

片桐清志

祝と寿

 1月には「祝」と「寿」がよく似合う。苗字にも「祝」や「寿」は結構使われている。
  今月は「祝」と「寿」のめでたい苗字を集めてみた。
  種類の多さでは「寿」に軍配があがる。「祝」で始まる苗字は21種だが、「寿」で始まる苗字はその3倍の64種、さらに「壽」の8種を加えると70種以上になる。やはり苗字にも縁起を担ぎたい心理が表れているようだ。
  一字姓の「祝」や「寿」・「壽」もある。「祝」はイワイの読みの他に神に仕えることを職とする人の総称であるハフリの読みもあり、苗字の読み方もこれらの変形のハウリ・ハブリ・ホウリなど多様だ。「寿」もコトブキ・トシ・ヒサシ・スの読み方がある。コトブキの語源はコトホギ(言祝)で、言葉で祝ぐことで長命や安泰を祈るという意味だ。「壽」はコトブキの他にトシナガの読みもある。
  「祝」姓でユニークな苗字を拾ってみると、祝人(ハフリ・ハウリ・ホウリヒト)、祝部(イワイベ・シュクベ・ノリベ・ハフリベ)、祝子(ハフリ)、祝師(ハフリシ)、祝宮(ハフリミヤ・イワミヤ)などは神官関係者の子孫かもしれない。祝井(イワイ)、祝田(イワイダ)、祝多(イワイダ)、祝一(シクイチ)、祝詞(ノリト)、祝言寺(シュウゲンジ)などは一年中おめでたそうだ。
  「壽」姓では壽々木(ススキ)、壽楽(ジュガク)、壽摩(スマ)、壽脇(ヒサワキ)などがある。「寿」姓では寿盛(スモリ)、寿万木(スマキ)、寿多(スダ)、寿寿(スズ)、寿々(スズ)、寿寿喜(ススキ)、寿福(ジュフク)、寿賀(スガ)、寿恵(スエ)、寿楽(ジュラク・ジュガク)、寿永(スナガ)、寿屋(コトブキヤ)、寿亀(トシカメ)、寿花(ヒサハナ)もおめでたづくしの苗字だ。コトブキ姓とは言えないかもしれないが、ユニークな苗字では寿司(スシ)、寿命(ジュミョウ・ジュメイ)などがある。
  「祝」家と「壽(寿)」家両家の結婚式で、仲人が「祝言寺」さんだったら結婚式場はさぞびっくりするだろう。

>>目次へ 

鉄道の歴史と切手の世界
〔鉄道の歴史と切手の世界シリーズ〕 No.7

トンネルと切手(3)八達嶺トンネル(中華人民共和国)

藤井  浩(名工建設株式会社 社友

5.・天佑と八達嶺トンネル(図-5、6)

(図-5:・天佑)
(図-5:・天佑)

(図-6:八達嶺トンネル)
(図-6:八達嶺トンネル)

◆発行目的:・天佑(チャン・ティエン・ユー)誕生100年記念
◆発行日:1961年6月20日
◆印刷方式:グラビア印刷
◆発行国:中華人民共和国

 1961年中国が生んだ偉大なる鉄道技師 ・天佑の誕生100年を記念して、2種の切手が発行されている。・天佑は1861年広東省に生まれ、1872年夏11歳のとき清国政府留学生として米国エール大学に留学し土木工学を専攻している。1882年帰国後は中国鉄道公司の技師となり、中国人として初めて鉄道橋の架設工事を完成するなど中国鉄道建設工事に大いに活躍している。1905年に計画された京張鉄路(北京〜張家口間)工事では、技師長として工事を担当している。
  この鉄道の難箇所は八達嶺越えで、南口33‰(1000分の33)の急勾配、青竜橋のスイッチバック、八達嶺トンネル(延長1,091m)などがある。路線選定には非常に苦心し、外国人技師に任せたらの勧告を退け独力で計画している。当時の中国における鉄道建設はほとんど外国資本と外国人技術者により建設されるのが通例であったが、初めて中国人技術者の手により八達嶺トンネルが完成したわけで、その後の鉄道技術の発展の原動力となったと言える。工事完成後も要職を歴任し、中華工程師会(土木学会)の会長として後進技術者の指導にも力を注いだが1919年4月漢口で病没している。
  額面の8分の切手(図-5)には・天佑の肖像が描かれている。彼の苦心した青竜橋駅の駅頭には彼の指導を受けた技術者の手によって・天佑の銅像が建立され、通過する列車を毎日見守っている由である。額面10分の切手(図-6)には中国人技術者の手によって初めて完成した八達嶺トンネルと坑門を出る蒸気機関車が描かれている。
  八達嶺トンネルは1908年に完成した鉄道トンネルで、内空幅4.88m、内空高6.0mの単線断面である。土かぶりは20m〜40mで、アーチ部分の覆工にはコンクリートブロックが使用されており、トンネルの勾配は17‰、20‰、28‰が用いられている。
  1949年に中華人民共和国が成立したが、政府は鉄道の復旧、増強に全力を注ぎ輸送力の増強に努め、数多くのトンネルが建設されている。こうしたトンネル技術の礎を築いた・天佑の業績を紹介する次第である。


【平成19年1月号編集後記】

 安倍内閣の主要課題である教育改革が一次報告を出した。まだ百家争鳴の感はあるが、次第に改革の方向がはっきりしてくるだろう。いろいろ問題の多い「ゆとり教育」との決別もその一つだ。こうした動きもあって教育の現場でも様々な取り組みが進行している。
  例えば、足立区の五反野小学校(地域立がうたい文句)では地域コミュニティを重視した学校作りを試行している。先頭に立っているのはベネッセから転身した三原校長だ。予算も規制も厳しい中で、学力向上と公共規範の復活という課題を公立初等教育の現場で模索している。この活動を支えているのが地域ボランティアだ。登下校時の交通誘導でも子供たちとの対話努力で、今では名前で挨拶を交わしている。土曜日も学校に出て、「のびのび教室」では大人と子供が囲碁対局などをしている。大人も子供とふれあうことで生き生きとしてくる。少子高齢社会の新しい姿だろう。学校運営も従来の教員とPTAに、地域ボランティアも加わった「理事会」で決定している。子供を「地域の宝」と考えて子供とのふれあいを至る所で実行している。このほかにもユニークな活動を展開している。学校の公式ホームページ(http://www.adachi.ne.jp/users/adgota/)も充実しているので是非一度ご覧いただきたい。
 TVや新聞ではいろいろな問題ばかりが報道されるが、中にはこうした独自の活動を展開している学校もある。問題指摘も必要だが同時に推奨事例を広く紹介し、解決のヒントを提供することも報道の使命だろう。マスコミ陣が事件現場に殺到する報道姿勢を改め、縁の下で地道に活動している人々にスポットを当てる姿勢に転換しないと「元気な美しい日本」は生まれない。
  さて2007年最初の「産懇宅配便」では恒例となっている4グループ合同で実施した筆頭代表幹事の講話模様を紹介した。「すすむ『溶解する日本のこころ』の中で『ものづくり、ひとづくり、こころづくり』を考える」と題して、企業人が今何をなすべきかについてお話いただいた。石川代表幹事のテーマである「ひとづくり」と「こころ」の問題を具体的なデータとともに話された「熱き思い」に参加者一同大きな感動を味わった。なかでも職場力の再構築が急務であり、そのためには職場のリーダーが「おやじ」のこころを持って職場づくりをすることが大事だというお話は肝に銘じておきたい。多忙な中、産業懇談会メンバーのために貴重なお話をいただいた石川代表幹事にこの場を借りて深く感謝したい。
  今月号では新年早々新会員の紹介ができた。今年もまたたくさんの新会員をお迎えし、たくさんの新しい出会いを楽しみたい。

(片桐)