産業懇談会【メールマガジン 産懇宅配便】   第49号 2006.6.26発行



 メールマガジン ■産懇宅配便■

平成18年6月度(第49号) 目次
メールマガジン ■産懇宅配便■
【18年5月度産業懇談会(火曜)模様】 5月9日(火) 12時00分〜14時00分
【18年5月度産業懇談会(水曜1G)模様】 5月17日(水) 12時00分〜14時00分
【18年6月度産業懇談会(木曜G)模様】 6月8日(木) 12時00分〜14時00分
【18年6月度産業懇談会(水曜2G)模様】 6月14日(水) 12時00分〜14時00分
【新会員自己紹介】
遠藤 司郎氏

株式会社豊田自動織機 常勤顧問 / 大興運輸株式会社 代表取締役会長

鈴木 幹雄氏

株式会社鈴活印刷 代表取締役

多田 孝治氏

阪和興業株式会社 取締役名古屋支社長

中村 充孝氏

株式会社エヌ・ティ・ティ・データ東海 取締役社長

矢田部 一嘉氏

三菱商事株式会社 中部支社 業務経理部長

山本 亜土氏

名古屋鉄道株式会社 常務取締役 人事部長

【7月度産業懇談会開催日程】
【お知らせ】
【コラム】
コラム1  『花ちゃんからの健康だより』
コラム2  『プログレスシリーズ』
コラム3
『苗字随想』

18年5月度産業懇談会(火曜G)模様

 テーマ:『 最近の不動産事情と資産活用について 』

日 時: 5月9日(火)12時00分〜14時00分
場 所: 名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間
参加者: 20名

スピーカー:
  多湖 利信(たご としのぶ)
  株式会社多湖不動産コンサルタント 代表取締役
『 最近の不動産事情と資産活用について 』 多湖 利信(たご としのぶ)氏
 
  三重県の田舎から、学校は東京へ行ったが、就職は地元に戻って、岡田屋に入った。入社の時にはジャスコになって、ジャスコ一期生だ。そこで、いろいろ経験した後に、独立した。12年、様々な仕事をしたが、不動産業に行き着いた。

 不動産業に行き着いたのは、名東ライオンズクラブに入会して知り合った不動産会社の方々がクラブを梯子して、大変に羽振りがよく、昼食をご一緒すると、ビールを飲んでおられ、週に2度も3度もゴルフをやっておられた。実は、そういう方々は事務所を訪れても、従業員も2人くらいだったが、賃貸マンションを沢山所有しておられた。
  そういうのを目の当たりにしたのも理由だ。
  そういう方々でも、名東区の土地を売って、借金がなくて営んでおられた人と、借金をして営んでおられた人は少し違った。

 自分は、まず、お金がないのでワンルームマンションを買っていった。だんだん増やしていって、すし屋やフランス料理店なども買ったりしたが、板前さんが変わってしまうと上手くいかないことが分かった。そこで、店は売ってしまって、今は賃料をとるだけの経営にした。
  そういう経験からすると、不動産業の成功の可否は、入ってくるものと借金とのバランスだ。バブルの時につぶれた人は、無理な借金をして経営をした、収益還元法に基づかない経営をした人だと思う。
  もし、どうしても借金をして不動産業をやろうという人は、専門家に相談した方が良い。
  さらに、儲け、すなわち利息、利回りをどう考えるのか、20%の利回りを得ようとするのか、5%で良いのか。そういう視点が必要だ。

 さて、現在の多湖不動産は営業部隊を1部から4部まで有し、人材もスカウトして2、3年後にセントレックスへの上場を目指している。
  私は、昭和63年不動産業を始めて、錦3丁目の土地を売却した。60坪ほどの土地だったが、昭和27年に売主が買ったときの土地の値段は、数万円であった。これが、24億円で売却できた。この驚きがすごかった。
  自分のことを振り返ったとき、昭和41年、18才で新宿に行って、コーヒーを飲むと、一杯60円。現在は大体300円で約5倍くらいであろうか。その当時の錦の土地はせいぜい坪何十万。昨年万博があって、4月時点で、地主さんの土地を売却したら、坪200万円になっていた。約60坪で、実に1億14百万円ほどで売却した。ところが、さらに今年になって、そこをまた買いたいという人が来て、なんと坪550万円という。
  これはあるファンドが持ち込んできた話だったが、そこが、現在、同じ土地を坪700万円で売りに出している。それで、錦は今、坪700万円が相場になっている。
  ナディアパークの東南角の300坪の土地は、入札売却で坪、1,200万円。36億円の土地代にビル建設費10億円とすると、どうやって収益をたてるのかと思っていたら、家具の専門店をするという話だ。ナディアパークの少し西のH企業の土地は、H企業が倒産したときには、坪200万円、現在600万円で売りに出ている。
  駅前のトヨタビルが出来るとまた変わってくるという予感がする。
  利回りを計算して、家賃に見合うところを探せば、まだまだ沢山ある。ただ、2年前は十数%の利回りだったが、現在5%台になった。
  名古屋の栄は、S市のFさんと第二東名建設で用地買収の恩恵を受けた人で様変わりしたが、結局、政府の金が元手だ。

 さて、去年の8月に日経不動産マーケット情報に紹介されていた名古屋中心部で売買された100物件は、そのほとんどが、すでに3回転ぐらいしている。
  外資を中心とした不動産の投資ファンドは、その収益利率を80%、100%で回しているものがあるという。これは、ルールを知って参加できるプレーヤーが少ないという現状があるからだ。東洋経済の記事によれば、その市場規模が現状で8兆円、これが3、4倍に増えるという。これがどうなっていくかは、金利の動向を見ておく必要がある。
  ただ、個人的な意見としては、現金を持っていれば現物投資が良いし、借金をしてやるのは難しいと思う。
  名古屋では、栄だけでなく、名古屋駅の駅前でも同じようなことが生じていて、S社が所有していた400坪の土地を任意売却で手放した時には、坪100万円だったが、今500万円にまでなっている。さらに住友生命ビルの北側は坪140万で売却されて、現在2,000万円でどうかという話にまでなっている。
  不動産投資は、いつ始めても、借家人がいれば、家賃収入があり、借金がなければ十分に乗ってくる商売だ。
  ある調査によれば、老後の生活について子供と同居するという世帯は21%しかいない。
  人口は減少していくが、老人世帯が増えて、しかも同居しないとすれば、ますます賃貸マンションの需要が増えると思う。当社では35〜40m2で2LDKのマンションを建設し、そういう需要に応えていきたいと考える。

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18年5月度産業懇談会(水曜1G)模様

 テーマ:『 独立行政法人 国立病院機構の話 』

日 時: 5月17日(水)12時00分〜14時00分
場 所: 名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間
参加者: 19名

スピーカー:
  小野 高史(おの たかし)
  東海旅客鉄道株式会社 執行役員
『 独立行政法人 国立病院機構の話 』 小野 高史(おの たかし)氏
 
 私は、1973年に銀行に入り、10年して名古屋支店に勤務した。その時の建物は、今取り壊し中で、時の経つのを早く感じる。87年4月に国鉄の分割民営化が実施された。その年度の終わりごろ、88年1月にJR東海に出向した。その後、一旦、銀行に戻り、98年に改めてJR東海に入社した。2004年に、独立行政法人国立病院機構が発足し、役員に民間人を入れるという話があり、非常勤監事に任命されて、現在、2期目である。

 さて、独立行政法人とは何か。橋本内閣時代、平成10年の中央省庁等改革基本法で、独立行政法人の制度設計がされてできたもので、その主旨は、国が有する企画立案機能と実施機能を分離し、企画立案は霞ヶ関、実施は責任を持った組織体が機動的に行って、効率化を図るというものだ。また、中期計画を定め、その計画の中で自主的な経営をし、経営成績・業績について一定の評価をして、経営形態の良し悪し、役員について見直しをすることになっている。現在、造幣局や国立美術館、博物館などの104法人があり、11法人が依然として国家公務員の身分である。この独立行政法人における常勤職員は69,000人、中でも国立病院機構は47,000人の職員を抱え、日本最大である。 

 国立病院機構は、平成16年4月に設立。平成4年時点で、国立病院の特別会計に対し、一般会計からの繰り入れが四分の一の2,400億円ほどに達し、統廃合による経営改善計画が策定されていた。そのため、240ほどの病院が、150ほどになってスタートした。尚、国立がんセンターや、国立国際医療センターなどの高度医療機関は独立行政法人には移行していない。この国立病院機構の経営理念は、なにより国民に安全、安心、質の高い医療を提供することであり、僻地医療などの地域の偏在をカバーし、難病などの民間では取り組みにくい政策医療もを行う。また、臨床、治験の中から新しい治療法、薬の開発や、医療人材の教育や、国内外の災害にも医療人材を派遣している。

 東京に本部を置き、全国を6つのブロックに分けた。施設として旧病院と旧療養所とがあり、旧療養所は、もともと環境を考えたロケーションにあるため、経営的には厳しく、三分の一は赤字である。役員は、医師である理事長を含み15名で、民間からも登用されている。名古屋エリアは、東海北陸ブロックにあたり、同ブロックは19病院を有している。

 独立行政法人となって、何が変わり、あるいは変わらなければいけないかという点について、まず、企業会計原則を導入し、透明性を確保、財務規律を向上させたことが大きい。国の時代は、予算主義で現金会計。即ち、予算がとれただけの仕事をするという姿勢であった。また、今のところ、非課税法人であり、自らの努力で利益が出たら、自らの再投資に使える仕組みになっている。投資採算性の確保ということでは、全ての病院で毎月決算をしていて、病院のどこに問題があり、医師は何をすべきか、ナースはどうか、事務はどうかという課題、役割を明確にして改善していくことを行っている。これが全体としての病院の評価にもなる。また、1ベッドあたり投資はいくらという基準を決め、過大な投資にならないよう尺度を設けた。ただ、病院の安全のための投資は、命を預けることへの投資であり、そのことを踏まえた投資を実施するつもりだ。さらに、7,000億円という収入があるので、その規模を生かした共同購入、競争入札を導入し、経費削減の工夫をしている。病院機構の職員は、国家公務員の身分ではあるものの、給与や勤務時間などは公務員法の適用除外だ。一方で、労働三法が適用され、労働三権のうち争議権はなく、団結権、団体交渉権がある。

 これからも国立病院機構では、中期計画の中で謳っているように質の高い医療を提供するつもりだ。患者の満足度を向上できるようアンケートを活用し、最近話題のセカンドオピニオンは当機構のどの病院でも実施している。医療事故が起きないような事前の対策に取り組み、さらに今までの治療結果を踏まえた医療標準の作成等によって市中の診療所との連携を図る。効率的な業務運営においては、初年度から経常黒字を実現した。そのため借入金は約80億円を減らすことが出来た。尚、現在の税金の投入は約510億円あるが、その内、国時代の退職手当の補填が430億円ほどで、残り80億円が政策医療によるものだ。

 これからは、老人医療と生活習慣病が医療費を増加させる。政府試算よれば医療給付は2006年度が28兆円。なにも改革しないと、2025年には56兆円にのぼる。この抑制のために、政府として高齢者の負担の見直しや、高額医療費の自己負担分の引き上げなどをした。一方、病院では、先進各国との比較において問題化されている在院日数の多さを削減するため、典型的な病気に関しては、入院後の処置計画案を作り、これを現場で実践し始めた。これによって、現実に在院日数を削減することが出来つつある。

 生活習慣病や有病者はもちろんだが、予備軍が増大していることが問題だ。この対策には「1に運動、2に食事、しっかり禁煙、最後に薬」しかない。

 ところで、JR東海総合病院は、名古屋セントラル病院として、新たに7月オープンする。

 最先端医療機器を利用した、高度先進医療を中心とした医療に取り組む。当院の病院長は、国立病院機構名古屋医療センターの院長であった斎藤先生が就任する。その斎藤先生からいただいた言葉で締めくくりたい。「日頃からかかりつけの医師をもつことが大事であり、その医師が専門病院へ紹介ルートを持っていると良い。人間はほとんど自然治癒できるが、そうでない時に医療が必要になる。しかし、なによりも予防することが一番大事だ。」

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18年6月度産業懇談会(木曜G)模様

 テーマ:『 セラミックス産業
      〜Yesterday's Tradition Through Today's Technology〜 』


日 時: 6月8日(木)12時00分〜14時00分
場 所: 名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間
参加者: 19名

スピーカー:
  土森 道雄(ともり みちお)
  株式会社ノリタケカンパニーリミテド 専務取締役
『 セラミックス産業 〜Yesterday's Tradition Through Today's Technology〜 』 土森 道雄(ともり みちお)氏

 セラミックス産業は、土を調合して、成形し、高温で焼成するという科学技術を使った産業として1万年以上の歴史を持つ。
  現在、セラミックスは、そのいろいろな特徴である耐久性、耐熱性、耐化学性、耐火性などを活かして、生活のいろいろなところで使われている。
  森村グループは、ノリタケ、TOTO、日本ガイシ、日本特殊陶業、森村商事、大倉陶園で構成され、世界に類をみない、セラミックスをコア技術として、ルーツを同じくする企業の集まりだ。

 1876年に写されたオーシャニック号の6名といわれる人達の写真がある。その中に当社の創業者、森村市左衛門の弟、豊の姿がある。そのほかには、順天堂の創始者の長男・佐藤百太郎、三井組の伊藤忠七、丸善の鈴木東一、後に生糸貿易で名を馳せる新井領一郎、製茶の増田林蔵で、この6人は、日本で最初に海外に展開していった人達だった。ほとんどは、その後、いろいろな事情で一旦はアメリカでの事業を止めている。1941年、日米で戦争に突入するという時に、米国は日本の在米資産を全て接収することを決定したため、ノリタケは止む無く撤退するが、この時期を除けば、1876年から継続してビジネスをしているのはノリタケだけであった。1947年、日本は占領下であったが、GHQの計らいで、いち早く米国で事業再開した。
  ところで、アメリカから撤退する時のノリタケの駐在員であった吉本梅蔵は、サンフランシスコ港まで来たものの、日本への切符を買えず泣きじゃくる妊婦に自分の切符をあげてしまい、最後の帰国船に乗ることが出来なかったというエピソードも残っている。日本側では大騒ぎになっていたが、その彼は、なんとか上海経由で日本へ帰国した。彼の娘メアリーは戦時中はひっそりと父の別荘のある奈良に住んでいたが、戦後、メアリーはマッカーサーの秘書官を務めたりもしたが、すぐに米国に再び戻ったノリタケを頼って、自分もニューヨークに帰り、コロンビア大学を卒業し、現在はNYで不動産業を営んでいる。そのメアリーの配偶者は、1854年日米和親条約締結時の大統領、フランクリン・ピアーズの3代目で、日米開国時からの森村とアメリカの奇縁を感じる。そうした森村グループの海外展開は、現在100拠点ほどにもなっている。

 森村ファミリーの会社である森村商事は現在、セラミックス材料や金属材料、特にアルミニウムを扱うアルコア社の製品なども扱っている。
  ノリタケは、食器、研削工具、セラミックス材料、蛍光表示管、焼成炉などの事業を行っている。
  本社内で製造していた衛生陶器を小倉に工場を作り、東洋に洋式便器を普及させるということで東洋陶器を設立。現在の東陶機器となった。ウォシュレットは、今でこそ誰もが知っている商品だが、当初はなかなか普及せず、タレントを使ったCMでようやく知名度を得た。アメリカでは事情があって、CMが放送できず、地道に営業を展開している。
  日本ガイシは、碍子よりも、今はマフラーに装着して排気ガスを浄化するハニカムで潤っていて、この分野では世界シェアの4割を持っている。このほか、焼却炉、ろ過装置、圧電セラミックスなどを展開している。
  日本特殊陶業は1939年に日本ガイシから分離した。もともと、飛行機の点火プラグを作ることを目的に設立されたが、いまや、自動車のプラグでは世界一の規模。さらに自動車のエンジンルームには数多くのセラミックスを使ったセンサーが入っている。切削加工、セラミックパッケージも取り扱っている。
  大倉陶園は皇室御用達の食器製造会社である。

 さて、陶磁器の歴史を見てみると、メソポタミアで陶器が始まって、それが中国へ渡り、特に景徳鎮を中心に広がる。景徳鎮はそもそも、1004年に北宋の皇帝景徳が自分の名を与えてついた所で、鎮は村を意味する。もともと、このあたりを昌南(チャンナン)地方といい、ここから大量の陶磁器が欧州に流れていった。それをチャンナンウェアといいCHINAという名称は、このチャンナンが語源。
  中国の北宋時代の素晴らしい青磁は、現在、故宮博物館に10数点展示されている。
  日本では、慶長の役で朝鮮半島から引き上げてきたときに、大名たちが陶工を連れてきた。それが薩摩焼、有田焼と繋がる。伊万里の港から、欧州にどんどん輸出されたことで、伊万里焼と称されるが、正確には薩摩焼や有田焼である。
  江戸時代に、瀬戸の加藤民吉が九州に行き、それらの製法を掴んで、瀬戸が大産地となる。
  ヨーロッパでは、1709年、東ドイツのマイセン王が、錬金術師を使って陶磁器の秘密を解明した。ひとつは、カオリンという長石系の素材を入れるということ。もうひとつは、焼成温度を1200度まで上げるということだった。現在、そこはマイセンとなった。そのマイセン国から脱走した錬金術師の一人が、デンマークに逃げ込んで、今に至るのがロイヤルコペンハーゲンである。これらの2窯は、今でも300年前からの製造方法で作っている。
  英国では、同じように陶磁器を作ろうとしたが、うまくいかず、牛の骨灰をいれることによって、素晴らしい色合いが出来ることを発見した。これがボーンチャイナである。

  ハイテクセラミックスはローテクの積み重ねであり、粉体を加工して成形する、焼成をする、絵付けをするという基本的な技術が集積し、ハイテクのベースとなっている。
  ノリタケが取り扱っているセラミックコンデンサは、電気を蓄えたり、ノイズをカットする部品として使われて、携帯電話には150個、PCには500個、プラズマテレビには2,000個程度が使われているが、0.1ミクロンのサイズの粉体をコントロールして作っている。セラミックコアは航空産業で精密鋳造をする材料として使われている。車のエアコンの湿度コントロールをするための湿度センサー、医療機器においては、血圧をコントロールするセンサーなどもある。
  今のエンジンルームは全て電子制御されている。エレクトロニックコントロールユニットは車の頭脳とも言える部分だが、ここにも沢山当社のセラミックス部品が使われている。いまや、車は電子機器になりつつあって、車1台の製造コスト100万円とすると、電子・電気部品は40万円、高級車は50万に相当する。トヨタ自動車さんなども、車の電子化のイニシアティブをとるために、自分たちでやりつつある。ブラウン管テレビの電子銃にも当社の部品が使われていたが、残念ながらブラウン管がほとんどなくなってしまった。逆にプラズマテレビの材料や、ガラスに使われ始めている。研削工具は、ダイヤモンドや、窒化ホウ素を焼き上げたもので、1m角の板を1ミクロンの精度で仕上げる能力を持った工具だ。注射針の針先は、以前は針の先端に樹脂を塗っていたが、現在は環境問題等の影響で、それをしなくなったことがあって、当社の研磨工具を使って磨いている。世界の注射針の4割程度がこの研磨工具で磨かれている。
  セラミックスのFuture's Dreamとして、カーボンナノチューブを電子源としたディスプレーの研究をしている。燃料電池のセラミックス材料としても研究しているが、これらが大きく世に出るには、10年程度の時間が必要だと思う。このセラミックス材料は、ナノサイズでコントロールしたセラミックスの膜で、水素だけを分離するというようなことに使われている。超微細に、精密にコントロールして作るセラミックスは、近い将来のテクノロジーに必須な材料として使われていくことになると思う。

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18年6月度産業懇談会(水曜2G)模様

 テーマ:『 自動販売機業界の環境への取組み 』

日 時: 6月14日(水)12時00分〜14時00分
場 所: 名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間
参加者: 25名

スピーカー:
  嶋 登志夫(しま としお)
  サンデン株式会社 東海支社 支社長
『 自動販売機業界の環境への取組み 』 嶋 登志夫(しま としお)氏

 当社は1943年設立で、今年で63年になる。資本金は110億円、売上高は連結で2,300億円ほどである。当社の事業で一番大きいのは自動車機器システム事業で、カーエアコンの心臓部である圧縮機・コンプレッサーを扱っている。この事業は世界全体でのシェアが25%。欧州では実に45%ほどのシェアがある。

  流通システム事業は、先日、ポッカの谷田相談役がご紹介してくださったベンディングマシン・自販機を取り扱っている。当初はホットorコールドであったが、現在はそれを両立させている。カップ麺や、牛乳の自販機のほか、最近ではホットペットといって、ペットボトルのホット用というのも手がけた。アイスクリームの自販機も他社に先駆けて開発してきた。店舗システム事業は、自販機で培ったところを活かして、コンビニなどで扱う冷凍・冷蔵ショーケースなどを扱っている。
  住環境システム事業は、以前は北海道でシェア50%を持つ事業で、小型から大型のストーブを取り扱った。しかし現在は、ストーブは石油暖房機1機種だけで、環境にやさしい、セントラル冷暖房システムを扱っている。
  我々は結局、「冷やす、暖める」がコアになっている。
  さて、当社は世界23カ国に、51拠点を有していて、工場はそのうち12拠点。拠点がないというと南米とロシアぐらいだ。昨秋操業したポーランド工場は最新工場だ。
  このような事業展開で、売上の7割は海外だ。従業員は、日本の正社員が3,000人、外部社員も合わせると5,000人ほど。海外では11,000人に上る。日本からは130人が海外の関係会社に出向している。早くから海外展開をしていたことで、海外では日本から海外に留学している学生を、日本では、留学してきた外国人の採用をし、グローバルな採用も行っている。
  創業の精神は、「知を以て開き和を以て豊に」で、サンデンウェイを掲げて実施している。

 さて、自動販売機は、貨幣またはこれに代わるカード等の挿入により、自動的に物品、サービス、情報等を販売する機械装置という定義がある。飲料、食品(物販機といっている)、たばこ、券売、剃刀、新聞などいろいろな種類がある。アメリカでの普及台数は760万台、日本が550万台、欧州は370万台ほどである。日本の自販機は、飲料が47%で、タバコ、物販などが多い。それに対しアメリカは、飲料はさほど変わらないが、食品と物販の割合が相当高い。また、アメリカ、欧州はインドアに設置されることが多く、日本はアウトドアが7割を占める。このアウトドアに設置されることが多いのは、治安の良さに起因するが、最近、窃盗団の暗躍によって、東海地区での自販機の破壊率は全国の25%に上り、治安の良さに陰りが出ている。アジアでは未だ所得が低いため普及せず、中近東では機械ごと持って行かれるという問題がある。
  飲料だけを見ると自販機での販売は飲料全体の26%に及び、定価販売なので飲料メーカーにとって、最も付加価値のある販売手段である。

 当社だけでなく、自販機業界の環境対応として、1990年から2005年までに消費電力量が半減した。それは、センサー・タイマーによる自動蛍光消灯点灯や、保温効率の高い断熱材の利用、庫内ファンモーターの運転制御や、販売量に応じた局部冷却機能を導入、蛍光灯の照度をインバーター化、蛍光灯に代わる10年耐用のLED照明対応自販機の開発、学習省エネ機能自販機の開発などによる。昨年度にはノンフロン型自販機を出したが、2010年までにフロン型から入れ替わる見込みである。
  業界のそのほかの取り組みとしては、電力需要の高い時間帯の冷却を停止するエコベンダーや、現金盗難防止のためのキャッシュレス対応ベンダーなどがある。ただ、自販機は不特定多数の方が相手なので、オサイフ携帯や特定の電子マネーカードを持っていない人は買えないとなると、それはそれで問題で、全ての自販機を変えることは出来ない。また、品切れや、故障が発生するとそれを本部に知らせるオンライン通信ベンダー、災害時には中が開いて飲料を取り出せるライフラインベンダーなどを作りつつある。
  京都議定書の締結によって省エネとノンフロンが重要課題になった。自販機の冷媒として、使われたフロンであるが、これをプロパンかCO2のいずれかを使用する。それぞれにコストや省エネ、安全性等の問題があるが、自然冷媒で、植物による循環サイクルで浄化されるというメリットを活かしてCO2を使っていく。

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【新会員自己紹介】
遠藤 司郎(えんどう しろう)氏

遠藤 司郎(えんどう しろう)

株式会社豊田自動織機 常勤顧問
大興運輸株式会社 代表取締役会長

【株式会社 豊田自動織機】
〒448-8671 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地
TEL:0566-22-2511(代表)
URL:http://www.toyota-shokki.co.jp

【大興運輸株式会社】
〒448-0843 愛知県刈谷市新栄町2丁目38番地
TEL:0566-21-3416(代表)
URL:http://www.taikoh.co.jp

大興運輸の遠藤でございます。この度、産業懇談会木曜グループに参加させていただくことになりました。どうかよろしくお願いいたします。

弊社では、物流形態の変化に対応しつつ、輸送会社の基本に則り、「安全、確実、丁寧」をモットーに事業展開をしております。また、お客様の製品をお届けすることはお客様の心をお届けすることだとの考えを徹底し、全員参加の精神で「スピードと風通しのよい風土」づくりにも努めております。

大興運輸には着任早々ですが、前任の株式会社豊田自動織機以来の経験を生かし、会員諸兄とともに研鑚に努め、意義ある懇談会としていきたいと思いますので、何卒ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

鈴木 幹雄(すずき みきお)氏

鈴木 幹雄(すずき みきお)

株式会社鈴活印刷 代表取締役

【株式会社 鈴活印刷】
〒456-0053 名古屋市熱田区一番三丁目1番7号
TEL:052-681-6331 FAX:052-682-0612
URL:http://www.suzukatsu.com

鈴活印刷の鈴木幹雄でございます。
この度、産業懇談会木曜グループに参加させていただくことになりました。

鈴活印刷は大正元年4月鈴木活版所として創業され、昭和22年合名会社鈴木活版所に組織変更、さらに昭和60年6月に株式会社鈴活印刷に社名・組織変更をし、今日に至っております。「社会の中で愛され、存在感のある印刷会社になる」を社是としております。

40歳半ばまではアイスホッケー・カーリングを楽しんでおりました。
会員の皆様のご指導ご鞭撻を宜しくお願い致します。

多田 孝治(ただ たかはる)氏

多田 孝治(ただ たかはる)

阪和興業株式会社 取締役名古屋支社長

【阪和興業株式会社 名古屋支社】
〒461-0005 名古屋市東区東桜1-13-3(NHK名古屋放送センタービル11階)
TEL:052-952-9206 FAX:052-952-9300
URL:http://www.hanwa.co.jp/

阪和興業の多田でございます。この度、産業懇談会水曜第2グループに参加させて頂くことになりました。皆様よろしくご指導の程お願い申し上げます。

さて、弊社は昭和27年に駅前の「名古屋ビル」に出張所開設して以来当地で54年お世話になっております商社でございます。主だった商品別売上構成としましては、鉄鋼が55%、石油・化成品が20%、非鉄金属が13%、食品が8%となっております。鉄鋼製品の扱いでは新日鐵さんをはじめ各メーカー様の一次窓口商社として、飛島村に2.2万坪の物流拠点を構え、「元気ある物づくりの街」当地区でも頑張っております。

私は大阪生まれの大阪育ちでございますが入社以来37年間の内32年間を名古屋で仕事をして参りました。当然ながら名古屋での人生が一番長く、女房も名古屋人でございます。

産業懇談会で皆様と一緒に勉強させていただく機会を与えていただいた事に大変感謝しております。皆様のご指導ご鞭撻をよろしくお願い致します。

中村 充孝(なかむら みつたか)氏

中村 充孝(なかむら みつたか)

株式会社エヌ・ティ・ティ・データ東海 取締役社長

【株式会社エヌ・ティ・ティ・データ東海】
〒460-0003 名古屋市中区錦二丁目17番21号
TEL:052-204-4500 FAX:052-204-4509
URL:http://www.nttdata-tokai.co.jp/

株式会社NTTデータ東海の中村でございます。この度産業懇親会水曜第2グループに参加させていただくことになりました。前任の平田同様よろしくお願いいたします。

当社は、株式会社NTTデータの地域子会社を再編し、平成15年に誕生しました。公共機関、金融機関、民間企業のお客様に、ITコンサルティング、システム設計・開発、ITアウトソーシングなどを提供させていただいています。

ITが企業経営のインフラとしての重要性を増す中、ベンダーフリーの立場からお客様に最適のコンピュータ、ソフトウェア、ネットワークを提供し、「信頼」されるITパートナーとして地域社会に貢献する会社を目指していきたいと思っております。

産業懇談会で多くの方々とお知り合いになれることを楽しみにしております。若輩者ですが、皆様のご指導、ご鞭撻をよろしくお願いいたします。

矢田部 一嘉(やたべ かずよし)氏

矢田部 一嘉(やたべ かずよし)

三菱商事株式会社 中部支社 業務経理部長

【三菱商事株式会社中部支社】
〒450-6049 名古屋市中村区名駅1丁目1番4号 (JRセントラルタワーズ49・50階)
TEL:052-388-3105 FAX:052-388-3178
URL:http://www.mitsubishicorp.com/

三菱商事の矢田部と申します。

4月20日に赴任し、初めての名古屋生活(単身)が始まりました。出身地は横浜市、留守宅は東京都大田区です。

今回の赴任前は本店金属グループで、財務・経理・投融資の管理部長を行なっておりましたが、それ以前には海外では米国、国内では九州を経験しており、国内の赴任経験は今回が二回目となります。
それぞれの土地にそれぞれの風土や名産、食、娯楽がありますが、私は現在のところ味噌煮込みうどんにハマってます。それに名古屋は日本の「ヘソ」と言うだけあって、何処に行くのも大変に便利なことを実感しました。
色々な場所に小旅行を楽しみたいと思っております。

産業懇談会では水曜第2グループに参加させて頂きます。皆様との輪を通じて、仕事でも私生活でも充実した名古屋人生を送りたいと思っております。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。

山本 亜土(やまもと あど)氏

山本 亜土(やまもと あど)

名古屋鉄道株式会社 常務取締役 人事部長

【名古屋鉄道株式会社】
〒450-8501 名古屋市中村区名駅1-2-4
TEL:052-588-0831 FAX:052-588-0836
URL:http://www.meitetsu.co.jp

名古屋鉄道の山本でございます。この度、産業懇談会水曜第2グループに参加させていただくことになりました。よろしくお願い申し上げます。

会社では「人事・労務」関係が主な担当でございますが、この他にも「広報・宣伝」や「お客さまセンター」というお客さまからご意見・苦情を頂く窓口を担当しております。

鉄道は地球環境という大きなテーマを考えれば、この先の時流にあった乗り物ですが、現実には少子化や自動車全盛の中では依然と苦戦しております。通勤や日常の移動の手段として、少しでもお客さまに選んでいただけるように、ソフト・ハードともにサービスを改善する必要があると思っております。

幅広い業種の皆様と交流させていただけるものと期待しております。

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【7月度産業懇談会開催日程】
【7月度産業懇談会】 (場所は名古屋観光ホテルです)
グループ名 世話人 開催日時 テーマ・スピーカー 場所
火曜グループ 各務芳樹
深田正雄
7月18日(火)
12:00〜14:00

愛知学院大学
経営学部教授 岩田 憲明氏
「名古屋のニッチトップ企業」

18階
伊吹の間

水曜第1グループ

飯田芳宏
落合 肇

7月19日(水)12:00〜14:00

学校法人愛知真和学園大成中学・高校
理事長 足立 誠氏
「普段着の教育とその到達点
    ―東大、甲子園、全中優勝―」

18階
オリオンの間

水曜第2グループ

片桐清志
谷田利景

7月12日(水)12:00〜14:00

日興コーディアル証券株式会社
名古屋支店長 藤堂 聡太郎氏
「新会社法とM&Aを活用した事業承継対策のご紹介」

18階
伊吹の間

木曜グループ

河村嘉男
倉藤金助

7月13日(木)12:00〜14:00

株式会社アイシン・リビングプランナー
取締役社長 千賀 哲郎氏
「グローバル時代の人づくり」

18階
オリオンの間

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【お知らせ】
 

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【コラム】

花ちゃんからの健康だより
〔花ちゃんからの健康だより〕 No.27

財団法人 愛知健康増進財団
保健師 佐藤 花子

アディポネクチンの話

       6月の花 桔梗(キキョウ)
6月の花 桔梗(キキョウ) 皆様いかがお過ごしですか?梅雨の頃は晴れ間がうれしいですね。晴れた休日は是非、山や海や行楽地へ出かけていつもと違う脳や筋肉を使いましょう。

 さて今回は、最近話題の「アディポネクチン」を取り上げてみました。舌が老化していると言いにくい単語ですが身体にとって、とても良い働きをしてくれる善玉物質です。このアディポネクチンは実は嫌われ者の脂肪細胞が分泌する物質なのです。かつて脂肪細胞は中性脂肪をためてエネルギーをたくわえる貯蔵庫としての役割しかないように見られていましたが、肥満の研究が進むなかで、アディポネクチンの働きが脚光を浴びることとなりました。

アディポネクチンの働き
●傷ついた血管の壁を修復し、血管の壁から悪玉コレステロールが入り込むのを防ぐ。
●インシュリンの効き目を悪くする物質の働きを阻害し、インシュリンの強い味方になる。(インシュリンの効き目を悪くする物質も脂肪細胞から分泌される。)
●血管壁を柔軟にして、血管が広がりやすくし血圧を下げる。

 内臓脂肪型肥満が問題なのは、脂肪細胞が増えるとアディポネクチンも増えてもいいはずなのに、脂肪細胞から出される兄弟分である悪玉物質が悪さをしてアディポネクチンの分泌を減らすということです。“出る杭は打たれる”のは人間社会だけではないですね。お腹の中の脂肪は普通預金みたいなものですから、やる気さえあれば簡単に減らすことができます。食事においては【1】甘い物や脂肪の多い物を減らし【2】海草や野菜やきのこ類を多くして、やはり【3】よく歩き動くことです。結局、病気を予防するためには実行あるのみ。内臓脂肪をお持ちの方はその対策のために創意工夫が必要です!

【メモ帳】
 秋の七草の1つであるが6月中旬から咲き始め、太い根には毒があり虫から身を守っている。紫やピンク、白などの気品ある花は日本の庭に合う。万葉集にでてくる『あさがお』はこの桔梗ではないかと言われている。家紋や部屋・門の名前に使われる武士好みの花。この花を見かけたら、遠い昔の人々に思いをはせてみてはいかがでしょう。

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コラム【プログレスシリーズ】

株式会社リーダーズドメイン代表取締役会長
窪田経営塾塾主
窪田 貞三

『 企業の進歩発展のヒント:15 』
幸せとは幸せを感じることができること

 企業経営とは本来、人や社会を幸せにするものでなければなりません。もちろん幸せと言っても、人によって感じ方は違うでしょうし、企業や経営者側が勝手に考えるべきことではありませんが、それ(幸せの創造)を常に考えた経営が理想的経営であると言えます。

 ところで、人や社会の幸せを考える時、最も身近なところから幸せを創造し、その幸せを社会の幸せに繋げていく方法があります。それは社会との接点である社員が仕事に幸せを感じるということです。企業におけるものづくりや商品・サービスを社会に提供するのは社員です。社員自身が幸せを感じながら仕事をしなければ、社会に幸せを提供できるわけがありません。例えば、レストランのウェイトレスが幸せを感じながら働いていなければ、たとえ美味しい料理でも不味く感じてしまうのではないでしょうか?

・・・・<事例研究>  社員教育シリーズ−3「対照的な二人」 ・・・・

 ある企業にAとBという二人の社員が入社しました。二人は将来を大変期待される社員で、特にA社員は学生時代から成績優秀で、入社試験の成績もトップ、入社後のAは仕事を覚えるのも早く、評価も日々うなぎのぼりでした。そしてある時、社にとっても、とても大切な商品創りのプロジェクトのメンバーに二人が抜擢されたのです。彼らの仕事はマーケットリサーチで、新入社員ということもあり、まずは足を使った聴き取り調査を行うことになりました。A社員は手際よく、報告書のまとめ方もうまく、それに比べてBは丁寧すぎるぐらいに調査を行ったため、量的にはAより少なく、逆に長い時間をかけて報告をしました。それに対するプロジェクトリーダーの評価は、圧倒的にBを評価しました。それに納得できないAはプロジェクトリーダーに聞きました。「私の報告書の問題点を教えてください」と。プロジェクトリーダーは言いました。「キツイ言い方だが、A君の報告書には楽しさが感じられない。なにか機械的になっている。それに比べてB君の報告書は相手の心が伝わってくる」と。

事例へのコメント

 彼らの調査を見ていたある社員が言うには、B社員の聴き取り調査は大変楽しそうで、その姿に対して答える側も楽しそうに答え、質の良い、内容のある聴き取りが出来ていたそうですが、それに対してA社員の調査はプロジェクトリーダーも言っていたように機械的だったそうです。なぜなのか?それはA社員が「自分はこんな調査ではなく、企画の仕事がしたい」という氣持ち持ちながら調査をしていたからなのです。しかし、本当に仕事が出来る社員とは、B社員のように、どんな仕事でも自ら楽しめる心(幸せを感じる心)を持った社員であると思います。

●プログレスとは

 プログレスとは、『新時代経営コンサルティング手法』として、私の会社である株式会社リーダーズドメインにおいて企業経営ご指導法として用いているもので、日々多くの企業と関わらせていただいています。同じように努力していても「潰さないための経営」より「進歩発展のための経営」のほうが企業組織は生き生きとするでしょうし、企業におけるマイナス面の分析でも、「成り立たせるための分析」よりも「進歩発展させるための分析」のほうがより良い組織創りに繋がる---と言う考えを土台に持ったものが、このプログレスです。

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コラム【苗字随想】
〔苗字アラカルト〕 No 49

片桐清志

職業と苗字

 先月は「○○屋」の苗字を考察したので、今号ではそれ以外の職業と苗字の関係を考察してみたい。

 苗字がどのように発生し発展したかは必ずしも明確ではないが、公式な制度になったのは「庚午年籍」(670年)という戸籍の作成が最初といわれている。また天皇制の確立に伴って功績のあった氏族には朝廷から新姓が下賜されるようにもなった。「八色の姓(ヤクサノカバネ)」(684年)はこれに一定の整理をおこなったもので、真人(マヒト)、朝臣(アソン)、宿禰(スクネ)、忌寸(イキミ)、道師(ミチノシ)、臣(オミ)、連(ムラジ)などが公認とされた。その後地方の豪族の苗字も加えて体系的に整理した書としては「新撰姓氏録」(815年)が有名で、1182種が収録されている。

 誕生のいきさつはともかくとして、古来苗字と職業の関係は深い。歴史上整理され消えていった苗字もあるが、「鏡作(カガミツクリ)」や「物部」「刑部」「服部」等の「部姓」の多くは今も健在だ。「八色の姓」にも見られた道師もミチノシのまま現存している。「師姓」では土師、薬師(クスシ)、陰陽師(オンミョウシ)などの古来姓のほかに庭師、猟師、表具師、彫師、絵師、浮世絵師、占師、医師などが見つかる。「士姓」では衛士、力士、博士などがある。「司姓」も国司、郡司、宮司、軍司、神宮司、大宮司、行司、上司などがある。

 「官姓」では神官、代官、判官が、「職姓」では大膳職(ダイゼンシキ)、中宮職(チュウグウシキ)、修理職(スリシキ)が見つかる。「主姓」では神主、祭主、坊主(ボウズ)がある。「匠姓」では鷹匠、鵜匠などが、「工姓」では石工(イシク)、大工などがある。「人姓」では防人(サキモリ)、舎人(トネリ)の古姓のほかにも役人、狩人、芸人などがある。「守姓」では桜守、道守(チモリ)掃守(カモリ)などが、また「使姓」では検非違使(ケビイシ)、民使(ミタミノツカイ)、御使(ミツカイ)など由緒ゆかしい苗字が現存する。

 そのほかの職業姓では弓削、玉造、錦織、鍛冶、棟梁、左官、鳶、樵(キコリ)、牛追、鳥追、飛脚、車引、板前、髪結などは時代を感じ取る事が出来る。因みに「士農工商」と苗字の関係では、ズバリの一字姓でのセットにはならないが、武士(モノノフ・ブシ)・侍(サムライ)、農人(ノウジン)、工(タクミ)、商人(アキンド)が見つかった。

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【平成18年6月号編集後記】

 このたび同友会の事務局が移転する運びとなった。現在の事務局は商工会議所ビル6階の片隅だが、7月中に同じビル内の8階へ移転しスペースも広くなる。現在は執務スペースと来客スペースが一体だが、新オフィスでは応接室が確保されるのでスモールミーティングも可能になる。会員数800名弱の同友会活動を支える事務局機能の充実が楽しみだ。会員諸氏も是非一度訪問していただきたい。

 今月も新会員6名の紹介ができた。名古屋での勤務は初めてという方も見える。本会を通じて交流を深め、当地区の良さを存分に味わっていただければ幸いだ。例会等で多彩な経験談をお聞かせ願えるのが楽しみだ。

 例会模様もいつもながらバラエティに富んでいる。火曜Gの多湖さんには最近の不動産事情をこの地区の実例を交えながらご紹介いただいた。ここでも元気な名古屋の姿が浮き彫りになってくる。水曜1Gの小野さんには独立行政法人に移行した「国立病院機構」をご紹介いただいた。最近しばしば耳にはするが何がどう変わったのか傍目にはわかりにくい「独立行政法人」の仕組みを、内部からわかりやすく解説いただいた。今後の成果を期待したい。木曜Gの土森さんにはセラミック産業の歴史と最新事情をお話いただいた。我々の気付かない所でしっかりハイテクを支えている最先端技術のすごさと応用分野の広さに驚く。水曜2Gの嶋さんには自販機業界の環境への取組みをお話いただいた。この分野のパイオニアとしての苦心談や、海外展開の実績に基づく世界の自販機事情のお話はそれぞれのお国柄が表れていてなかなか面白い。

 7月も多彩なテーマが目白押しだ。グループ間交流を促進する意味でもご都合がつけば是非他グループへもご参加いただきたい。

(片桐)