第31号 2004.12.27発行



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平成16年12月度(第31号) 目次
【16年11月度産業懇談会(水曜1G)模様】11月17日(水)12:30〜14:00
【16年11月度産業懇談会(水曜2G)模様】 11月24日(水)12:30〜14:00
【新会員自己紹介】
浅野 洋 氏 しんせい綜合税理士法人 代表社員
【1,2月度産業懇談会開催日程】
【お知らせ】
【コラム】
コラム1 『いきいき健康だより』
コラム2 
コラム3 『苗字随想』
コラム4 『鉄道の歴史と切手の世界』


16年11月度産業懇談会(水曜1G)模様

 テーマ:『 ビールのおはなし 』

日 時: 11月17日(水) 12時30分〜14時00分
場 所: 名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間
参加者: 16名

スピーカー:
    桂 総一郎(かつら そういちろう)氏
    キリンビール株式会社 名古屋工場長

1 ビール市場の推移
 キリン社は、3年後2007年に創立100周年を迎えるが、キリンビールというブランドは当社の前身である、ジャパン・ブルワリー・カンパニーが1888年から販売しており、今年117年目という歴史がある。
  ビールは電気冷蔵庫の普及と共に、家庭内でも消費されるようになり、日本酒に取って代わる形で、戦後大きく市場を拡大してきた。今年は10年振りの猛暑であった。10年前の94年にはビールだけで約725万KLの過去最大の販売数量を記録して以来、昨年の発泡酒を含めて約650万KLにまで、徐々に市場は縮小している。家庭内消費は昨年来、発泡酒がビールを上回っている。酎ハイをはじめとするカクテル系の低アルコール飲料が急成長しており、これを加えると10年前のビール市場規模とほぼ同じになる。この酎ハイ市場で、当社の「氷結」シリーズがNo.1シェアを頂戴していることは有り難いことである。
  10年前は家庭用ビールの80%以上は一般の酒屋さんが販売していたが、現在ではスーパーマーケット、ディスカウンターが各30数%、CVS、一般酒屋が各20%弱となっており、今後更にスーパーが拡大し、一般酒屋の比率は減少するものと予想している。
 宅配商品から、持ち帰り商品へと移行していることもあって、容器の主流は壜(びん)から缶へとシフトしている。また、料飲市場におけるジョッキ生の増加も壜(びん)の減少に拍車をかけている。


2 ビールとは:製造工程の概要
 ビールは日本酒、ワインと同様に「醸造酒」に分類され、特定の成分を抽出するのではなく、出来上がったもの「全てを飲み込む」という特徴があり、すべての成分のバランスを造り込むことにその難しさ、面白さがある。
  ビールは(1)麦芽・副原料(米・コーン等)に含まれるでんぷん質を麦芽由来の糖化酵素で酵母が食べることの出来る糖に分解し、(2)麦汁ろ過、(3)麦汁冷却・エアレーション、を経て酵母を添加し、(4)酵母に糖を食べさせることによって CO2 とアルコールに分解し(主発酵)、(5)低温熟成(後発酵)し、(6)珪藻土を用いたろ過により酵母を取り除いて出来上がる。
  ビールはスポーツで汗をかいた後などにグッと飲み干す、いわゆる「一杯目がうまいんだよね」という止渇飲料としての飲み方と、語らいながらじっくりと味わう「いくらでも飲めるんだよね」という飲み方があると思う。一杯目は場合によっては冷たく冷やした水でも旨いわけで、二杯、三杯と杯を重ねた時にこそビールの実力が現れる。 この両方の旨さを兼ね備えた「一杯目から旨く、いくらでも飲める」ビールが我々の求めるビールである。そんなキリンビールを提供し続ける為に精一杯努力を続ける。今後とも皆様のご支援をお願いしたい。


3 キリンビールの多角化
  キリンビールはビール造りを通して得た技術をベースに医薬品、花種苗をはじめとするアグリ事業、健康食品、調味料、更にはプラントエンジニアリング、画像処理による検査機販売、物流関連事業等々の事業を展開しており、その額は1000億円を超えている。
また、麦芽、ホップ等をはじめとする海外調達のノウハウを活かし、うに・いくら等の海産物輸入、副産物の有効利用からキノコの栽培床なども手掛け、直接、間接的にキリン関連商品は皆様にご利用いただいている。
  このように当社の多角化はビール事業を通して得た様々なノウハウを有効に発展拡大したものが中心である。

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16年11月度産業懇談会(水曜2G)模様

 テーマ:『昨今の建設業』

徳倉 哲夫氏
佐藤 俊夫氏
日 時: 11月24日(水) 12時30分〜14時00分
場 所:名古屋観光ホテル 18階 オリオンの間
参加者:28名

スピーカー:
    徳倉 哲夫(とくら てつお)氏
    徳倉建設株式会社 取締役専務執行役員

    佐藤 俊夫(さとう としお)氏
    徳倉建設株式会社 企画営業部長


1 建設市場について
 建設業は、東証一部上場企業数が104社、会社四季報に記載されている企業数が226社に上り、兼業として建設業を行っているところも多く、コンサルタントや建設設計事務所等まで含めると巨大な業界であり、全就労者の1割弱の人たちが従事している。
  しかしながら、平成不況と公共事業予算の縮小に伴い、84兆円市場(平成4年度)から54兆円市場(平成15年度)へと急激に市場規模が縮小し、その傾向が継続中である。


2 昨今の建設業
 建設業界の全企業数は約55万社と言われるが、資本金が1億円以上は1.2%程度しかない。また、建設業法により登録が必要で、5年に1度更新しなければならないが、この審査が年々厳しくなっている。加えて、建設業に関連する個人資格も数多くあるが、一級建築士を始めとする難関な資格が特に必要とされているので、企業内教育に力を入れ、切磋琢磨することが求められている。
  公共事業は、世間の批判から「新契約入札制度」が導入されたために、入札の参加条件として企業ランクを一定以上に維持しておく必要である。とはいうものの発注者である地方自治体等が様々な条件(地元企業優先等)を提示するために、優良建設会社であればどの入札にも参加できるわけではない。
  また、民間需要は公共事業以上に厳しいものがあり、価格決定後もさらにコストダウンを求められるだけでなく、設計変更に伴うコスト増を認めない傾向にある。


3 PFIについて
 PFI(Private Finance Initiative)は、民間企業の技術や経営手法を公共事業に導入し、市場原理を有効活用することで住民に対して最良のサービスを提供していこうというものであり、市場規模は年々増加している。
  そのメリットは、行政側は公共事業を民間に移管することで、民間の多様なアイデアを活用できることであり、民間企業側は新たな事業機会を創出することにある。そのため、建設業界に限らず、様々な企業がPFI事業を手がけている。
  今後、この流れは衰えることはなく、有望な市場だと考えているので、当社としても事業の柱とすべく鋭意取り組んでいる最中である。


4 今後魅力ある建設業にするためには
 今、建設業界に求められているものはQ(品質)C(コスト)D(工期)S(安全)E(環境)であり、技術開発もこれらに重点が置かれている。ただ、環境に対する要求が年々厳しくなっているため、関係機関との調整に手間も時間もかかる傾向にあり、工期の短縮は困難な場合が多い。
  仕事のやり方もCADや電子書類の普及に伴い、大きく変化しているが、若年層が現場を経験しない傾向にあるので、いかにベテラン技術者の知識・経験を彼らに伝承していくかが、今後の大きな課題である。
  事業構造も、国内市場だけでなく海外市場も今以上に力を入れ、建設だけではなく、需要が見込まれる維持・補修分野で稼ぐことできる体制に移行していかなければならないと考えている。

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【新会員自己紹介】


浅野 洋
 (あさの ひろし) 


しんせい綜合税理士法人 代表社員

【しんせい綜合税理士法人】

〒452−0821 名古屋市西区上小田井2−302
TEL:052−504−1133
FAX:052−504−1134
 
 しんせい綜合税理士法人の浅野 洋と申します。この度、山岡公美様とのご縁で産業懇談会水曜第1グループに参加させていただくことになりました。よろしくお願いします。

 弊社は税理士法の改正を受けて平成14年8月16日設立した税理士法人でございます。税務ニーズの複雑化、専門化に対応するには複数の税理士が必要となり、そのためには法人化が必要との認識から、名古屋市の浅野会計事務所と岐阜市の大前会計事務所が母体となって設立いたしました。
現在は一般税務のほか合併・分割など事業再編に関する税務や相続・事業承継関連の税務を手掛けております。
  事務所としては、名古屋市西区の本店、岐阜市西丸町の岐阜事務所、そして名古屋市中区の伏見事務所の3ヶ所でそれぞれの業務を行っております。

 私は昭和23年岐阜市生まれで、いわゆるベビーブームの世代でございます。高校時代は3年間柔道部に所属しておりました。大学卒業と同時に名古屋市中川区の税理士事務所に勤務し、昭和58年税理士資格取得と同時に岐阜市の自宅で開業いたしました。その後平成元年に名古屋市西区内に事務所を移して現在まで税理士業務を行っております。
  趣味はスポーツですが近年は体力も落ちてきたようで草野球も控えに甘んじており、自分自身で参加できるスポーツとしてはゴルフとなり、下手の横好きですが時間があれば喜んで参加しています。

 今後とも会員諸先輩の皆様にはご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

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【1,2月度産業懇談会開催日程】


【1月度産業懇談会】

産業懇談会「代表幹事のご講話」ならびに「新年合同懇親会」のご案内

 日  時  平成17年1月17日(月)17:30〜20:00
                17:30〜18:30 岡谷代表幹事のご講話
                18:30〜20:00 新年合同懇親会
 場  所  名古屋東急ホテル  Tel.052−251−2411
 講演会:3階 バロックの間 / 懇親会:3階 ロマネスクの間
 懇親会費  5,000円  ※当日、講演会場受付で頂戴いたします。
※講演会のみご出席の場合は結構です。
 事務局連絡先  担当:橋・亀井  Tel.052−221−8901

【2月度産業懇談会】(場所は名古屋観光ホテルです)

グループ名 世話人 開催日時 テーマ・スピーカー 場所
火曜グループ 各務芳樹
深田正雄

2月8日(火)
12:00〜14:00

(株)ジェイアール東海島屋 取締役副社長 宇田川 一昭(うだがわ かずあき)氏
「JR東海関連事業の歩みと百貨店事業」

18階
伊吹の間
水曜第1グループ 飯田芳宏
落合 肇

2月16日(水)
12:00〜14:00

(株)コメットカトウ 取締役社長 加藤愛一郎氏のご紹介 日本茶インストラクター協会理事、(株)東陽園社長 古市 晴比彦(ふるいち はるひこ)氏
「お茶のはなし」

18階
伊吹の間
水曜第2グループ 片桐清志
谷田利景

2月9日(水)
12:00〜14:00

(株)エヌ・ティ・ティ・アセット・プランニング東海
取締役社長 小木曽 孟士(おぎそ もとひと)氏
「中山道 南木曽五宿 歴史の旅−中津川市の町おこし−」
18階
伊吹の間
木曜グループ 河村嘉男
倉藤金助

2月17日(木)
12:00〜14:00

(株)サンスタッフ 取締役社長 森 裕(もり ゆたか) 氏
「グループ内に身を置く私の観たトヨタ流マネジメントの一側面」
18階
オリオンの間

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【お知らせ】

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【コラム】


〔いきいき健康だより〕 No.9

財団法人 愛知健康増進財団 保健師
佐藤 花子

『適応障害の話』

今年もいろいろなことがありましたね。皆様は満足のいくお仕事ができましたでしょうか。産業の場では、様々な要因が関与して適応障害という心身の病気で、出勤が困難になる方が増えつつあります。今回は職場における適応障害を起こすタイプとその予防についてお話をしたいと思います。

適応障害のタイプ
●真面目な仕事人間型
最も典型的なタイプであり、真面目、几帳面、完全主義な性格ですが、リーダーシップやマネジメントの能力に欠ける方が昇進により、その能力が要求されるようになると、職務遂行が困難になります。また、未経験の職場の配置転換や、急に高度で複雑な職務の担当になった場合、不慣れなため、いくら残業を続けても職務がこなせない状態が続くと適応障害が起こります。

●脱落型
入社後数年までの若年者を中心にみられ、能力面、体力面、人間関係面のうち、二面で同僚より劣ると、職務遂行が困難となり欠勤するようになります。特に職場が忙しい時の欠勤が目立つようになり、信頼をなくし悪循環を起こします。

●性格型
二つのタイプが見られ、一つのタイプは自主性を欠き、生活リズムを自分で制御できず、遅刻や欠勤が目立つようになり、やがて長期欠勤を繰り返します。二つ目のタイプは自己中心的で自尊心が強く職場の人間関係になじめないため、継続した勤務が困難になり、やはり長期欠勤になります。知的な面に問題なければ、特別な才能のある方が多いので時間に束縛されない特殊な仕事が向いています。

●人間関係型
職場の人間関係の悩みだけがストレスとなり、適応障害を起こします。配置転換のない職場で相性の悪い人との勤務で起こることが多いようです。
適応障害を予防するには
適応障害を起こさないためには、自分がどのタイプに近いかをまず自覚することが大切です。また、上司は部下のタイプを理解し、仕事の質、量を考慮することが必要になります。真面目な仕事人間型は、疲れきってしまわないうちに、休暇や仕事量の軽減が必要です。人間関係型は実際の職場に5割以上いるといっても過言でないかと思います。このタイプには、日頃、本人の悩みを十分にきくこと(傾聴)ができる環境(人と場所)や適度の配置転換があれば、適応障害を予防できます。

健康の豆知識


傾聴のくという字は、耳+目と心で成り立っています。聞くのの中の耳より大きい字で耳を書きます。つまり、いつもより耳を傾け、純粋な目と心で悩みをきく行為を「傾聴」と言います。聴き手が意見や考えを言わないことがポイントです。

わたしは冬の天体観察が特に好きで、月や星の美しさに見とれてしまいます。数千年の彼方から届く星の光は、宇宙のエネルギーを運んでくれるような気がして癒され元気になります。皆様にも宇宙からの元気が降り注ぎ、健やかな年明けが迎えられますよう、心よりお祈り申し上げます。♪見上げてごらん夜の星を♪・・・・・・静かに平成16年の幕が下ります・・・・・・・・・・良いお年を!

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株式会社リーダーズドメイン代表取締役会長
窪田経営塾塾主
窪田 貞三

〜社員の感度向上のヒント:9〜
『より良いものを創り出す社員の育成』

<感度を向上させれば良いものを創る社員が生まれる>

* 今回のキーワード=“感性”

感性とは、「下界の刺激に応じて、なんらかの印象を感じ取る、その人の直感的な心の動き(*新明解国語辞典より)」

 人間には『想像力』や『創造力』といった優れた能力があります。しかし、企業という組織の中に社員という立場で入ると、この想像力や創造力といった能力が発揮されなくなってしまうケースが多いようです。しかし、より良いものを創り出し、社会に受け入れられ、企業を成長発展させるためには社員の想像力や創造力を高めることが重要です。では、どうしたら良いのでしょうか?
 今回のキーワードは“感性”です。

<事例研究> P社(衣料メーカー)

 P社のO社長は若いころ優秀な営業マンとして活躍し、常にトップセールスマンとして全社的にも憧れの社員でした。しかし、営業畑を歩んできたO社長にとって、生産・技術の世界は専門分野ではなく、自身のナンバーツーには、技術畑出身の専務をおき、生産・技術系の管理を任せようと考えて組織創りをしてきました。専務が作り上げたのは各専門分野のリーダーを専門分野出身者で固めた組織でした。
  しかしある日、O社長は突然悩みはじめました。技術畑の専務も管理職達も確かに正しいことを言ってくれているようだが、時に自分たちの世界に入り込んでしまい、他部門の意見を聴かないことが多いように思える。専門外の社員たちの感性を生かすことは出来ないのか?むしろ素人発想のほうが、時には良いものを創り出す可能性があるのではないかと。良いものを創り出すためには固定観念がないほうがよいと考えたのです。そこで、O社長が営業マンだった当事を振り返って、例えば営業マンが顧客から仕入れてくる情報に対しもっと耳を傾けるべきではないか?営業マンは、製造側と顧客側両者の中間に存在し、柔軟性を持って両者の考えを聴ける立場にあるはずだと思い至りました。しかし、実際に動き始めてみると、営業マンたちにも営業の世界の固定観念が強く、結論的には部門の問題ではなく、全社的な問題であることに氣づいたのです。そして同時にO社長は、P社がいつのまにかマニュアル的経営になってしまっていて、感性を高めるような社員教育をしていなかったことにも氣づき、その後『より良いもの創造プロジェクト』という全社的プロジェクトを立ち上げ、社員の感性向上に力を入れたのです。

〜事例へのコメント〜
O社長の氣づきによるこのプロジェクトの発想は今後、P社の成長発展にきっと役立つはずですが、このプロジェクトの中に一つ重要なテーマを持つべきです。それは『夢』というテーマです。
世の中にあるものは全て『夢から生まれた』ものばかりです。「こういうものがあったらみんながきっと喜ぶ」「こんなものを創ればみんなが幸せになる」などといった考えから商品や技術が生まれてきたのです。
夢は感性を引き出します。想像力や創造力を引き出します。この『より良いもの創造プロジェクト』が夢というテーマを持つことでこのプロジェクトは成功へと向かうはずです。社員に想像力や想像力が足りないのは、夢を持って社会に出て、夢を持って仕事をしている人が少ないからです。

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〔苗字アラカルト〕 No 31

片桐清志

『前』と『後』

 日頃は前を向いて進んでいても年の瀬は後を振り返ることが多くなる。対比シリーズの第三弾は「前」と「後」を選んでみた。
 種類ではやはり「前」が多そうだ。「前」が前につく苗字が約200種に対し、「後」が前につく苗字は約100種しかない。一字姓では「前」さんも「後」さんも居る。「前」は読み方もズバリのマエの他にサキ、ゼン、ススメがある。「後」はそのままアト、ウシロ、ノチのほかにウシロクやシトリがある。両方を組み合わせた「前後(ゼンゴ)」まである。
 「前」が前につく苗字でユニークなものとしては前代(マエシロ、残念ながらゼンダイの読みはない)、前場(ゼンバ・マエバ・マエ)、前泊(マエトマリ・マエサコ)、前納(ゼンノウ・マエイレ・マエノ)、前金(マエカネ)、前室(マエムロ)、前庭(マエニワ)、前門(マエモン・マエカド)など日常語と混同しそうだ。
 「後」が前につく苗字でユニークなものは後出(アトデ・ウシロデ・ノチデ)、後家(ウシロヤ・ノチヤ・ゴヤ、残念ながらゴケはない)、後宮(アトミヤ・ウシログウ・ウシロミヤ・ゴキュウ)、後廻(セゴ、「アトマワシ」はない)、後記(ゴキ、「コウキ」はない)などがある。変わったところでは後日、後月だ。前者は「ゴジツ(他にゴヒ・ゴカ)」でよいが後者は「シヅキ・シリツキ・シリスナなど」と読む。珍しいのは後醍院と後醐院だがさすがに後醍醐は見あたらなかった。
 前田と後田、前川と後川、前原と後原、前野と後野、前岡と後岡、前島と後島、前村と後村など「前」と「後」で対をなす苗字もある。「前」や「後」が後につく対の苗字では、越前と越後、備前と備後、肥前と肥後、豊前と豊後など地名にまつわるものが多い。前後が入れ替わる苗字では「前」では前川と川前、前山と山前、前堂と堂前、前谷と谷前がある。「後」でも後山と山後、後道と道後があるがやはり少ない。
 「前」が後につく苗字には「門前(モンゼン)」はともかく、「仏前(ブツゼン)」まである。仏前さんからお供えが届くと遺族もびっくりするだろう。

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〔鉄道の歴史と切手の世界シリーズ〕 No.3


日本の蒸気鉄道誕生

― 鉄道伝来と1号機関車  ―

藤井  浩(名工建設株式会社 取締役会長)

1. 模型蒸気機関車の伝来
日本最初の鉄道開通は、明治5年9月12日(太陽暦10月14日)新橋・横浜間に開通した。欧米諸国では産業革命が進展して、鉄道、蒸気船等の近代的な交通手段が著しく発達していた。これらの鉄道知識は、弘化3年(1846)に長崎オランダ商館長から幕府に提出された「別段風説書」に記載されている。
日本に蒸気機関車(模型であったが)が最初にもたらされたのは、嘉永6年(1853)長崎に来航したロシアの使節・プチャーチンの蒸気機関車運転(図-1)で、ロシア使節と入れ替わりに、嘉永7年1月16日(1854年2月13日)に7隻のペリー艦隊が江戸湾に再びあらわれて開港通商に対する国書の回答を求めた。幕府に対する贈与品の中には実物四分の一の蒸気機関車の模型(図-2)があった。この模型は残念ながら現存していない。

図-1:
ロシアの模型を模倣して製作された模型
(佐賀藩精錬方中村奇輔の製作)
図-2:
ペリーの献上した模型蒸気機関車
(ノリス型蒸気機関車)

2. 日本の1号機関車
明治5年9月12日の開業時(図-3)に準備された蒸気機関車は10両、客車58両、貨車75両であった。開業当時の蒸気機関車はすべて英国から輸入され、運転はすべて外国人が行った。なお、1号機関車(図-4)は1871年にバルカン・ファウンドリー社で製作された。
運転整備重量23.5トン、動輪直径1321mm、車軸配置2−4−0、形式150。この1号機関車は、重要文化財に指定されており、東京の交通博物館に保存されている。

図-3:
「鉄道開業の図」広重画
(鉄道100年記念:1972年10月14日発行)
図-4:
1号機関車150形式
(SLシリーズ切手、1975年6月10日発行)


【16年12月号編集後記】

 今月19日(日)の夜、NHK−TVで一連の不祥事問題と公共放送のあり方について視聴者参加型の討論会が生放送された。経済界を代表して同友会から北城代表幹事も出演していた。北城さんは視聴率とは別にCS(顧客満足度)のデータを基にした経営を目指すべきと提言していた。討論会の中では自浄機能の欠如や危機管理の甘さ、経営トップの責任問題、経営委員会の機能等、2時間余にわたって視聴者の声も交えこの手の番組としては結構正面から取り上げていた。しかし所詮当事者主催番組の限界か、結論が見えず消化不良に終わった印象も強い。番組の中で示された多くの意見が今後経営委員会の場に反映されることを期待したい。
 自然現象では文字通り「災」の年だったが、オリンピックをはじめスポーツ界では結構日本人の活躍が目立った。今年メジャーリーグのシーズン最多安打262本の新記録を打ち立てたイチローがスポンサーになっている学童軟式野球大会が23日に郷里の豊山町で開催された。その表彰式でイチローが「大記録も小さなことの積み重ね」と言っている。実績を残したイチローの発言だけに重みがある。本誌も会員一人ずつの声を大事に積み重ねることを心がけて行きたい。
 今月の例会はグループごとの忘年会を兼ねた懇談会のため、例会紹介は先月号に掲載できなかった11月のスピーチ2件になった。キリンビールの桂工場長には電気冷蔵庫の普及が家庭内のビール消費を飛躍的に拡大させたお話など生活環境とビールの消費動向やキリンの目指すビールづくりをご紹介いただいた。
 徳倉建設の徳倉専務には建設市場の動向とともにPFIについてもご披露いただいた。公共投資に民間の知恵を反映させるPFIは会員の関心も高く出席者との意見交換も活発に行われた。機会があれば是非PARTUをお願いしたい。
 また、新入会員紹介では「しんせい綜合税理士法人」の浅野洋さんに登場願った。新入会員紹介は本誌の柱の一つだが、浅野さんで今年ちょうど30人目になる。来年はもっと大勢の方にご入会いただきこの記録を更新したい。会員諸兄の知人・友人をご勧誘・ご紹介いただきたい。
 来年はいよいよ2月にセントレアの開港、3月に愛・地球博の開幕、4月には名古屋で同友会全国大会の開催だ。来年も中部発、名古屋発の中部パワー発揮の年としたい。会員の皆さんにとっても新しい年が充実した年でありますように。

(片桐)