第29号 2004.10.26発行



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平成16年10月度(第29号) 目次
【16年9月度産業懇談会(水曜1G)模様】 9月22日(水)12:30〜14:00
【16年9月度産業懇談会(火曜G)模様】 9月28日(火)12:30〜14:00
【16年10月度産業懇談会(4グループ合同懇親会)模様】10月7日(木)18:00〜20:30
【新会員自己紹介】
土森 道雄 氏 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 常務取締役
早田 千加子 氏 株式会社エムジーホーム 取締役社長
【11,12月度産業懇談会開催日程】
【お知らせ】
【コラム】
コラム1 『いきいき健康だより』
コラム2 
コラム3 『苗字随想』
コラム4 『鉄道の歴史と切手の世界』



16年9月度産業懇談会(水曜1G)模様


 テーマ:『ドラッグストア業界の現状と持株会社経営について 』

日 時:9月22日(水) 12時30分〜14時00分
場 所:名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間
参加者:21名

スピーカー:
    舌古 宏(ぜっこ ひろし)氏
    (株)ジップ・ホールディングス 取締役会長兼社長
     http://www.zip-h.co.jp/


1 ドラッグストア業界について
 現在、ドラッグストア業界の市場規模は約3.9兆円で、そこに約1万4千店がひしめいている。「ドラッグストア」の明確な定義は確立されていないが、私としては店舗面積100坪程度で、医薬品と化粧品を中心に取り扱っている店舗だと考えている。
  今後、この業界は2010年には約10兆円規模になるだろうと考えている。というのは、高齢社会が進むにつれ、消費者の健康志向が日々強くなっていること、そして医薬分業の進展に伴う調剤分野の拡大があるからである。


2  会社設立の経緯
 現在、業界では大手資本によるグループ化・寡占化が進んでいる。しかし、各会社間の利害調整がうまくいかず、必ずしも成功しているとは思えない。
  平成12年当時、私が創業した会社(東洋薬局)は売上高100億円を超えていたものの、負債も15億円あり、私がその全額を個人保証している状態であった。これでは会社の将来だけでなく、家族の将来も不安で仕方がなかった。その不安を払拭するため、業界勉強会等で気心が通じ、かつ同じ不安を抱えていた「白沢ドラッグ」「ヤマモト薬局」の社長さんたちと持株会社(ジップ・ホールディングス)を設立し、平成12年5月に経営統合した。これには営業地域がたまたま重なっていなかったことも幸いした。
  何故、持株会社による経営統合を選んだかというと、自分が創業した会社の社名ぐらいは残したいという思いと株式交換による持株会社設立は税金がかからないためである。2003年12月、当社はJASDAQに上場し、一定の成果を挙げることができたと考えている。今後は、将来に不安を持つドラッグストア経営者を仲間に入れていきたいと考えている。


3  持株会社について
 当社は「純粋」持株会社ではなく、スケールメリットが享受できる分野、つまり、資金調達、商品仕入、物流、店舗経営指導、人材教育、物件開発等の業務も併せて行っている。そのため事業子会社は地域に根ざした販売・営業に特化できている。また、店舗名に旧店舗名も併記しているのは、地域に馴染みのある名前をいつまでも大切にしたいと考えたためである。


4  事業子会社について
 よく「何で豆腐やラーメンも売っているの?」と言われる。その理由は「来店頻度」を上げ、少しでも店の名前を知っていただきたいためである。薬や化粧品だけでは限界があるので、来店頻度の上がる一般食料品を取り扱うことにしたのである。これは、今後、商圏が小さくなった場合でも商売を成立させるために必要な営業戦略だと考えている。


5  最後に
 中小企業が今後生き残る方法は持株会社による経営統合がベストと考え、一生懸命に取り組んできた。持株会社を活用した経営戦略で、大きく発展する中小企業が、次々に誕生していくことを心から願っている。

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16年9月度産業懇談会(火曜G)模様

 テーマ:
『日本経済と小泉政権の行方
−激動する政治と経済のトレンドをつかむポイントとは』



日 時: 9月28日(火) 12時30分〜14時00分
場 所: 名古屋観光ホテル 18階 オリオンの間
参加者: 23名


スピーカー:
    塩田 潮(しおた うしお)氏
    ノンフィクション作家・評論家



1  はじめに −時代認識−
 ノンフィクション作家は、「現代とはどういう時代なのか?」ということに強い関心がある。様々な事象が同時並行的に進む渦の中にいる我々には現代を定義することは相当困難であるが、どうしてもやってみたいというのは作家の「性(さが)」であろう。
  日本の政治は現在3回目の歴史的転換点にある。1回目は議会が開設されてから政党政治が根付くまで、2回目は敗戦後から55年体制が確立するまで、3回目は自民党が下野し、小選挙区や政党交付金の導入から今日までである。
  また、日本経済はバブル崩壊後3回目の景気拡大期にある。その要因は(1)設備、雇用、債務の過剰を解消したことによる民間部門の復活、(2)デジタル特需および中国、アメリカの好景気による下支え、(3)不良債権処理の順調な進展、が考えられる。ただ、小泉改革による景気回復は(3)の金融部門以外にはなく、景気回復と小泉改革を直接結びつけることは困難である。


2  小泉政権の特徴
 小泉純一郎氏は、現在の内閣総理大臣として適当か、という極めて素朴かつ本質的な問題がある。
  日本は、国際化、情報化、成熟化、少子高齢化という未知の社会に入っており、従来型の政治では立ち行かないという彼の時代認識は正しい。それ故、様々な面で自民党がこれまで行ってきた手法を採用しなかった点も評価できる。ただし、この時代認識を持ちながら、未来に対する政策となると、道路公団改革、年金改革に見られるように腰砕けであり、省庁再編を果たした橋本政権の実績にも及ばない。
  では、何故、小泉政権が続いているのか? その理由は、(1)自民党との対決姿勢および自らの挑戦姿勢が国民に人気がある、(2)「運」が良い、(3)政局運営能力が抜群である、という点だと考えられる。特に(3)は当初、弱点だと考えられていただけに思いもかけない「政治力」に戸惑っている人も多かったに違いない。


3  今後の展望
 昨日(9/27)、第3次小泉内閣が発足したが、経済財政諮問会議のメンバーとなる閣僚は全員留任となっており、小泉色を強め、「郵政改革シフト」を敷いたといってもよく、その実現のために「腹を括った」と考えてもよいであろう。
  郵政改革の行方が最大の注目点である。政府は年内の法案決定および年明けからの通常国会での審議を予定しているが、大きな波乱が起きそうである。特に来年度予算可決後から会期末にかけて、具体的には来年4月から6月までが最大の山場となる。可能性は低いにしても「郵政破れかぶれ解散」もあるかもしれないし、「郵政花道論」のもと小泉首相が退陣することも考えられる。となるとポスト小泉は誰かという話になる。解散のない状況では自民党内から次期首相を選ぶことになるが、従前のやり方を否定し、正しい時代認識を持つ「変人」でなければ、選挙にも勝利できないことがこの数年で証明されてしまった以上、次も「変人」が首相となる。ところが、自民党内に「変人」であると断言できる人材は見当たらず、具体的な名前を挙げられないのが現状である。

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16年度10月度産業懇談会4グループ合同懇親会模様

日 時: 10月7日(木) 18時00分〜20時30分
場 所: 名古屋東急ホテル 4階 雅の間
演奏者: 中国琵琶: (と ぜんしょう)氏
ソプラノ: 矢野 留美(やの るみ)氏
シンセサイザー: 海老原 真二(えびはら しんじ)氏
参加者: 58名

中国琵琶:
ソプラノ:
矢野 留美氏
シンセサイザー:
海老原 真二氏

 世界的に大活躍されている中国琵琶演奏家の 氏とともに、ソプラノ歌手の矢野留美氏、シンセサイザー奏者の海老原真二氏をお招きし、『中国琵琶の調べを聴く夕べ』を10月7日に開催した。岡谷、松本、石川各代表幹事にもご出席いただいた。
  今回は水曜第2グループが企画を担当し、火曜グループ世話人代表の竹田印刷(株)各務会長のご紹介で 氏をお招きすることができた。
  当日は、 氏による美しくも力強い中国琵琶の調べもさることながら、ソプラノの美しい歌声やシンセサイザーの多彩な音色に参加者全員がうっとりと聴き入り、素晴らしい音楽の夕べを送ることができた。

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【新会員自己紹介】


土森 道雄
 (ともり みちお) 


株式会社ノリタケカンパニーリミテド 常務取締役

【株式会社ノリタケカンパニーリミテド】

〒451−8501 名古屋市西区則武新町3−1−36
TEL:052−561−7123
URL:http://www.noritake.co.jp
 
 このたび木曜グループに参加させていただく事になりました土森道雄でございます。よろしくお願いいたします。
ノリタケカンパニーは約130年前に創業者の森村市佐衛門がニューヨークにMorimura Brothers という日本から米国への輸入販売業を開設して以来、蓄積した資本で1904年に西区則武新町に日本陶器(現ノリタケカンパニー)を創業以来今年で創業100年を迎えました。この間、TOTO,日本ガイシ、日本特殊陶業などなどあらゆるセラミック関連事業に多様化展開し、現在いわゆる「森村グループ」と言われるセラミック素材を中心とした企業集団を形成してきています。

 ノリタケも創業時からの陶磁器家庭用品主体の事業から、工業用研削材(砥石)、各種のセラミック材料、電子機器や部品&材料、熱処理の必要な製造工程に使われる熱設備装置関連などに事業を多様化しております。創業事業の家庭用品は2割ほどの事業構成比となっております。

 今後とも、医療機器に使われるセラミック部品、電子、自動車など世界の重要産業のためのいわゆる「縁の下の力持ち」的な商品部品の信頼されるサプライヤーとして発展を目指して参りたいと考えております。
私自身は過去35年余の当社での経歴の半分以上を 欧州、米加、東南アジア、南アジアなどの国々で当社の海外事業所に駐在し、ノリタケの事業を市場の先端で支える仕事をしてまいりました。またバブル絶頂期の90年―93年の3年間中部経済同友会で事務局にも出向し同友会活動の企画に参画いたしておりましたので、その頃からの同友会会員の皆様とも改めてお近付きいただければと思っております。

 現在当社のセラミックマテリアル事業本部にて、電子、自動車、医療機器などのセラミック部品やセラミック産業関連材料の製造販売を担当しております。
異業種交流の場である産懇の場で、皆様との交流を深めさせていただきたいと考えます。
よろしくお願いいたします。

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早田 千加子
 (はやた ちかこ) 


株式会社エムジーホーム 取締役社長

【株式会社エムジーホーム】

〒450-0002 名古屋市中村区名駅3−22−8
Tel:052−551−3811
URL:http://www.mghome.co.jp
 
 株式会社エムジーホームの早田千加子でございます。
このたび、産業懇談会水曜第2グループに参加させていただくことになりました。
よろしくお願い申し上げます。

 当社は1986年の設立で、「モアグレース」をブランド名とした分譲マンションのディベロッパーでございます。ご家族の健康な毎日を支え、憩いと安らぎある「暮らしのステージ」をご提供しております。
現在 愛知・岐阜県下に5支店を有し、それを拠点に「地域密着型」の営業展開をすることにより、これまでに約110棟2,600戸を供給させていただきました。
これからもお客様の多様なニーズにお応えし、安心・安全な住まいをご提案するとともに、ご購入後のアフターフォローを充実させることにより、地域に根差した着実な発展を目指していきたいと考えております。

 会社設立時からの一員ではありますが、社長業を引き継いで1年3ヶ月。経営者としての経験は浅く、学ぶことばかりの毎日を過ごしています。
最近注目の「女性企業家」の皆さん同様、何事にもチャレンジしていきたいと思っておりますので、どうかご指導・ご鞭撻賜りますようお願い申し上げます。

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【11,12月度産業懇談会開催日程】


【11月度産業懇談会】(場所は名古屋観光ホテルです)

グループ名 世話人 開催日時 テーマ・スピーカー 場所
火曜グループ 各務芳樹
深田正雄

11月9日(火)12:00〜14:00

(株)ビーハーフ 代表取締役
古田弘(ふるたひろし)氏
「目標設定と新規事業の起業」

18階
伊吹の間
水曜第1グループ 飯田芳宏
落合 肇

11月17日(水)12:00〜14:00

キリンビール(株) 名古屋工場
工場長 桂総一郎(かつらそういちろう)氏
「ビールのお話」

18階
伊吹の間
水曜第2グループ 片桐清志
谷田利景

11月24日(水)12:00〜14:00

徳倉建設(株) 取締役専務執行役員
徳倉哲夫(とくらてつお)氏
「昨今の建設業」

18階
オリオンの間

木曜グループ 河村嘉男
倉藤金助

11月4日(木)12:00〜14:00

東レ(株)名古屋支店 支店長
輿石邦豊(こしいしくにとよ)氏
「21世紀の主役『炭素繊維』
〜スポーツから航空宇宙まで〜」

18階
伊吹の間

【12月度産業懇談会】

グループ名 世話人 開催日時 場所
火曜グループ 各務芳樹
深田正雄

12月14日(火)
18:00〜20:00

料亭 蔦茂 Tel.052−241−3666
名古屋市中区栄3−9−27
URL:http://www.tsutamo.com/1.htm
水曜第1グループ 飯田芳宏
落合 肇

12月1日(水)
18:00〜20:00

木曽路 錦店 Tel.052−951−3755
名古屋市中区錦3−30−15
URL:http://www.kisoji.co.jp/
水曜第2グループ 片桐清志
谷田利景

12月22日(水)
18:00〜20:00

札幌かに本家 金山店 Tel.052−321−7890
名古屋市中区金山2−16−21

URL:http://www.kani-honke.co.jp/kani/index.htm
木曜グループ 河村嘉男
倉藤金助

12月9日(木)
18:00〜20:00

桃園 ホテルキャッスルプラザ店
Tel.052−586−1590
名古屋市中村区名駅4-3-25
ホテルキャッスルプラザ゙2F
URL:http://www.maing.co.jp/PLAZA/PLAZA_shop/1Q02F001.html

※それぞれの会場の地図がご入用の場合は、事務局までご連絡ください。

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【お知らせ】

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【コラム】


〔いきいき健康だより〕 No.7

財団法人 愛知健康増進財団 保健師
佐藤 花子

『涙の話』

  今日、長時間のパソコン作業や携帯のメール使用が多くなり、まばたきが減ることが原因で、ドライアイ(目の乾燥)に悩む人が増えています。日本においては、800万人を超えるそうです。そこで今回は大切な涙についてお話をしたいと思います。

★急増するドライアイ★

私たちの眼は常に涙が分泌され、目を潤しています。その涙の分泌量は1日におよそ3cc。眼球の全面を潤し、角膜の保護や栄養補給など、大切な役割を担っています。濡れると青く染まる試験紙で、涙の量を測定します。正常な分泌量だと10ミリのラインまで染まります。ところが、ほとんどの人が、正常の半分以下。つまりドライアイの人が多いのです。ドライアイになると、暗い場所で、極端に見えにくくなります。さらに動いている物を見る動体視力も低下します。それは右下図のようなドライスポットができた状態になるからです。この状態はすりガラスに似ています。疲れたままの目で、夜の車の運転は極めて危険といえます。

★ ドライアイ対策★                

・涙は血液からつくられる。血液のサラサラ度を保つと涙が多くなる
・3秒に1回のまばたきを心がけ、意識して涙を分泌する
・目薬を利用して、眼のドライスポットを早く補修する


健康の豆知識
コルチゾールの量(ストレス物質)  


エレベーターに2時間閉じ込められて、脱出後に泣いた人と泣かなかった人の体内のコルチゾール量を測定したところ、泣かなかった人は、泣いた人の2倍もコルチゾールが残っていました。つまり、涙を流した人は、涙の中にコルチゾールを含んで、体外に出すことができたのです。泣くことの少ない人は、日々かかるストレスが溜まっていく一方なのです。

(あるある大辞典より)

眼を守る以外にストレス軽減に関係ある涙でしたね。最近、流された涙はどんな涙だったでしょうか。嬉し涙、悔し涙、不安や悲しみの涙など、心が強く揺れ動くと・・・・人は涙を流します。そっと涙ぐむ秋の夜長。涙もろいほうが、目の角膜を守り、ストレス発散にもよろしいようです。「♪涙君こんにちは、こんにちは涙君」で、今回はしめくくりです。

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株式会社リーダーズドメイン代表取締役会長
窪田経営塾塾主
窪田 貞三

〜社員の感度向上のヒント:7〜
『経営者の考えを翻訳してくれる社員の育成』

<感度を向上させれば言いたいことを伝えてくれる社員が生まれる>

* 今回のキーワード=“語感”

語感とは、「物事のもつ中心的な意味の他に、その言葉からくみ取られる、きれい・きたないなどの感じや、相手にどのように受け取られるかという響きなどを含めたデリケートな用法(*新明解国語辞典より)」

 経営トップ→役員→幹部→管理職→社員というように、順番に指示や連絡事項を伝えても伝言ゲームのようになかなか伝わらないものです。伝わらない理由には経営トップの伝えたことに対して次に伝える人達が、1.伝える側が伝える内容を充分理解していない。2.伝える側が伝えられる側の立場に立っていない。3.伝える側が伝えられる側の価値観や考え方を理解していない。4.伝えられる側が伝える側の立場に立っていない。5.伝えられる側が伝える側の価値観や考え方を理解していない。などが上げられますが、一番重要なのは、理念・ビジョンの共有ができているかどうか?なのです。特に、役員や幹部が経営トップと理念・ビジョンを共有していないと、社員に経営トップの考えを翻訳(伝える)することは難しいでしょう。
今回のキーワードは“語感”です。

<事例研究> U社(住宅メーカー)

  U社のT社長は理念を持った、大変感度の強い社長で、常に新たな発想が湧き出てくる、とても想像力豊かな社長でした。しかし、社員にとっては時には突拍子もない指示や理解に苦しむような指示が多いという評判でした。ある日T社長は経営コンサルタントのS先生に出会いました。T社長は「社員がなかなか私の話を理解してくれない。サラリーマン意識では理解できないのでしょうか?」とS先生に投げかけると、S先生は言いました「理念が共有されていないと社員は理解できないでしょうね」と。今現在やっていること、目の前にあることの処理をするような仕事や、流れ作業のような悪い意味でのサラリーマン的仕事の仕方をしていれば、新たな発想など理解できないのです。そこで、T社長はS先生の力を借りて「T社長の考えを理解する社員の育成」に取り組みました。S先生が導入した方法は『理念浸透法』というコンサルティングでした。簡単に言えば「なんのために経営しているのか?」「なんのために仕事をするのか?」「U社はなんのために社会に存在するのか?」「なんのための商品・サービス・技術なのか?」といったことを社員に考えてもらう指導法で、特に役員や幹部社員には、T社長の考え方を社員に翻訳する(伝える)ことが出来るような理念教育をしました。その後役員や幹部社員はT社長の発想の仕方を徐々に理解しはじめ、U社は飛躍的に業績をアップしていきました。

〜事例へのコメント〜
  理念発想は、感度を向上させ、柔軟な発想が生まれます。逆に言えば、日々目先の戦略や戦術に心を奪われ、根本からジックリ考えて発想し、行動することを怠っている企業が多いのです。しかし、このU社は将来のために今ジックリと考える必要性を痛感し、本腰を入れて取り組んだ結果、大きな成果を勝ち取ったということです。

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〔苗字アラカルト〕 No 29

片桐清志

『「右」と「左」』

 スポーツの世界では右利きが主流だ。左利きはサウスポーと呼ばれ、ゴルフなどでは左利き用の道具の種類が少ない。道具はまだ利き手に合わせて選ぶことができるが、コースは右利きを前提に設計されているという。自然界でも植物の蔓は右巻き派と左巻き派に分かれている。

 さて苗字の世界の右と左はどうだろうか。意外にも種類の多さでは左が主流だ。例えば右で始まる苗字は47種類だが左で始まる苗字は105種類と2倍以上だ。おそらく「左」が「佐」の代わりに使われているものが多いことが要因と思われる。もちろん右京と左京、右田と左田、右山と左山のように左右で対になっている苗字も22種ある。「右(ミギ・ウ)」という一字姓も「左(ヒダリ・サ)」という一字姓も共にある。

 変わったところでは「左右」さんもいるし「右左」さんもいる。左右さんは普通にサユウのほかにサウ・ソウ・アテラがあるのに対して右左はウサの読み方だけだ。右と左の両方を組み込んだ苗字は結構たくさん有る。左右木(ソウキ)、左右田(ソウダ)、左右馬(ソウマ)、などは比較的ポピュラーだが、左右衛門三郎という珍しい苗字もある。苗字としても珍しいが六文字姓は長さでも稀少だが印鑑屋泣かせだ。

 やっかいなのは左右口と右左口で、ともにウバグチという共通の読み方がある。文字通り右か左かわからなくなる。右と左を同時に使うとは欲張りな苗字だが、「右右(ウスケ)」や「左々(ササ)」という苗字まで有るから驚きだ。

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〔鉄道の歴史と切手の世界シリーズ〕 No.2


世界初の鉄道誕生

― ロコモーション号とロケット号  ―

藤井  浩(名工建設株式会社 取締役会長)

 蒸気機関車を使用した世界最初の公共鉄道はペニー・ダーレン号の登場から20年余経った1825年9月イギリスのストックトン・ダーリントン間に開通した。このときに登場したのが蒸気機関車の代名詞的存在になっている「ロコモーション号」で、ジョージ・スティーブンソンが設計、製作した。動輪二軸の機関車で動輪の直径は1219mm、全長7.3m、重量6.7tである。開通式ではジョージ・スティーブンソンが運転し、38両の貨車を牽引し最高速度24kmを記録した。しかしロコモーション号は蒸気発生量が少なかったため運転中に動けなくなるトラブルが多発した。1828年にはボイラーが破裂する大事故を起こしている。しかし世界最初の実用蒸気機関車は故障続きだったが大修理を加えながらも1840年まで使用され、現在はダーリントン市旧ノースロード駅にある鉄道博物館に展示されている。ロコモーション号の切手はストックトン・ダーリントン鉄道開通150周年を記念して1975年にイギリスで発行されている。(写真1)

 1829年にはリバプール・マンチェスター間に使用される機関車の選考競争が行われた。この競争には500ポンドの賞金が出された。20tの重量を牽引して128km以上の距離を平均時速16km以上が条件だった。スティーブンソンはロコモーション号に改良を加えた「ロケット」号で参加し、平均時速22.5kmで走行し賞金を獲得した。ロケット号はリバプール・マンチェスター鉄道用に8両製造され、そのうちの一両は現在ロンドン科学博物館に保存されている。

写真1:
ロコモーション号(1975年発行 イギリス)
写真2:
ロケット号(1976年発行 ポーランド)

 

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【16年10月号編集後記】

 おれ流のドラゴンズ旋風は地元ファンにとってはありがたいが、ありがたくない台風が今年は10個も上陸し記録更新となった。とりわけ台風23号は死者、行方不明者の総数90名という大きな人的被害を出した。その傷も癒えぬうちに今度は中越地方を震度6強の地震が襲った。土砂崩れ等で道路が寸断され、新幹線史上初の脱線事故も起こった。新幹線は奇跡的にも人的被害を免れたが、家屋の損壊等で多くの死者が出た。突然の被災にお見舞いの言葉も失う。

 被災地の映像を見るにつけ、便利さや快適さを追い求めるあまり災害への備えをおろそかにしているぞという警鐘にも思える。平時はついつい便利さを優先してしまうが、やはり安心や安全とのバランスが大切だ。インフラ、ライフラインの役割をしっかり考えたい。また非常時には近隣(自治体レベルでも)や官民の連携が重要だ。そのためにも日ごろからの交流が大切だ。

 さて今月の産懇宅配便では9月の例会模様2件を紹介した。舌古氏にはドラッグストア業界の動向を、また作家の塩田先生には誕生直後の第三次小泉内閣の課題と展望をお聞かせいただいた。また、新入会員紹介は今月も2名紹介できた。ノリタケカンパニーの土森氏は90年度から3年間中部経済同友会事務局に出向の経験もお持ちで、本会にとって心強いメンバーだ。東南アジア、欧米の海外勤務も長く貴重な経験をお聞きできるのを楽しみにしたい。早田さんは分譲マンションを手がけるエムジーホームの社長だ。女性の視点から「暮らしのステージ」の提供を目指しておられる。当会での新風を期待している。

(片桐)