産業懇談会【メールマガジン 産懇宅配便】  第133号 2013.6.28 発行

 メールマガジン■産懇宅配便■

平成25年6月度(第133号) 目次

【25年5月度産業懇談会(水曜第1G・木曜G合同)模様】 5月15日(水) 12時00分〜14時00分

【25年6月度産業懇談会(火曜G)模様】 6月11日(火) 12時00分〜14時00分

【25年6月度産業懇談会(水曜第2G)模様】 6月12日(水) 12時00分〜14時00分

【25年6月度産業懇談会(木曜G)模様】 6月13日(木) 12時00分〜14時00分

【名古屋いちばん物語】 No.47
【中部再発見コーナー】 名古屋城本丸御殿・復元公開編
【新会員自己紹介】
鳴川 基訓氏 エフピーサポート株式会社 主席コンサルタント
【7月度産業懇談会開催日程】
【懇親ゴルフ会開催のご案内】
【お知らせ】
【コラム】
コラム1 【保健師からの健康だより】 No.111
コラム2 【「ほん」のひとこと】 No.56
コラム3 【苗字随想】 No.133

【25年5月度産業懇談会(水曜第1G・木曜G合同)】

テーマ『 ピンチをチャンスにかえる−だっさいの挑戦− 』

日  時:平成25年5月15日(水) 12時00分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 2階 曙の間
参加者:39名

スピーカー:
櫻井 博志(さくらい ひろし)
旭酒造株式会社 代表取締役社長

モデレーター
佐藤 宣之
(さとう のぶゆき)
名古屋大学経済学部経済学研究科 教授
櫻井 博志氏 佐藤 宣之氏

1. 名古屋大学・佐藤教授からの講師紹介
 私は2006年から2009年にかけての3年間、フランスで勤務していた。フランスは世界の文化、ブランド発信の中心である。フランスで生活してみると、絵や音楽などいわゆる狭義の文化やもっと幅広いお酒や食など生活に根付いた文化が、日本においてはセクショナリズムによって分断されてしまっており、また、海外に向けての発信力も弱いと思った。ちょうど同じ頃、東京を中心に国内の市場で成功を収められ、明確な海外戦略を持ってフランス市場に進出を開始されたのが旭酒造の櫻井社長である。

2. この30年間で売り上げは約40倍
 1984年に父の死去により会社を受け継いだ当時の出荷は700石(同7万本)であり、普通酒しか造っていなかったが、9,700万円の売上であった。この年の出荷は前年比85%、最盛期の1973年と比べて約3分の1に落ち込んでおり、会社がどうなるかわからない状況にあった。しかも、社員には危機感がなく、売れない理由をセールスに聞くと「日本酒ではなく洋酒のブームであるから」「テレビコマーシャルを流していないから」「街の中にないから」「値引きが少ないから」などとマイナスの要素ばかりが返ってきた。
 しかし、私共では、4年前に新しい酒蔵が完成し、昨秋にもう一つの蔵ができた。生産能力は年産1万6千石(一升瓶に換算して160万本)であり、今年の出荷は1万1千石(同110万本)、 金額的には40億円弱の見込みである。1984年から今日まで約30年間で数量は20倍弱、金額は約40倍も伸びた。泥沼を足掻き、負け組から這い上がるまでには色々と考えた。

3. 大吟醸への取組み
 私が小学校6年生の時、日本酒は二級酒で1升が500円であり、大工の日当と同じであった。そうすると、たくさんのお酒を飲むことはできずに、酒を飲むことは善と捉えられていた。その後、今から30年程前に、大工の日当は2〜3万円になったが、日本酒はせいぜい1,200〜1,300円で遥かに差がついた。私はたくさん飲んでもらう酒よりも、美味く、価格が高くても納得してもらえる酒を造る必要があるという考えを持つようになった。そこで、社長になって2年目に大吟醸を造ったが、最初の年は香りも旨味もなく、酸っぱくて不味かった。
 なぜ、酷い大吟醸になったのかと杜氏に尋ねたら、「大吟醸造りは難しい。とにかく大変である」と言う。杜氏に任せていては駄目だと思い、私自身が技術情報などを集めて、杜氏がそれを実行するという生産体制にした。当時、静岡県の大吟醸の評判が高まっていた時期であり、そこから手にした技術情報が大変役立った。酒造りは技術とノウハウをなるべく早く手に入れることが大切であると知った。また、物流面でコンテナではなく小口の宅配便が広まったこと、情報発信面で白黒コピーが安価に使えるようになったことが追い風になった。
 原料の山田錦の調達では、地元の山口県の農業関係者にとって、私どもは重要でなかったので、売ってもらえなかった。それが今となっては幸いし、縛りがなく、全国どこからでも原料を買うことができる。

4. 東京での成功
 旭酒造は東京で成功したとよく紹介されているが、たまたまそうなったと思う。山口県出身で東京在住の人、新潟県出身で東京在住の人は、ともに何万人かで同じ位であると思う。一方、山口県は日本酒では有名でなく銘柄数が少ないが、新潟県のほうは遥かに多い。郷土の酒を飲もうという支援の輪が、私どもには一気に集まった。飲んでみたところ美味しかった。「新世紀エヴァンゲリオン」というアニメに当社の「獺祭」が登場するが、その監督である庵野秀明氏は山口県宇部市の出身である。実は、庵野氏とは今まで一度も会ったことも話したこともないが、シンパシーを感じてくれたのだろう。

5. 海外への展開
 私達は失敗、困難から立ち直ってきたので、常に戦っていなければ、上手くいかない。また、小さな市場でシェア競争をすると、お金を持ったところには勝てないと思った。東京市場にメドが付いた後、海外に目を向けた。私は英語もフランス語も中国語も全く駄目だが、10数年前から海外に本気で取り組みはじめた。やはり狙いを付けたところはニューヨークであった。日本に好意的な国で市場が大きい米国の中で、ニューヨークは東京に似ている。現在でも海外売り上げの半分は米国であり、そのまた半分はニューヨークである。
 ニューヨークのレストランで成功するには、フランス人がソムリエをするか、フランス訛りの英語を話さないといけない。ニューヨークといえども、食の世界ではフレンチコンプレックスがある。5〜6年前からはフランスを本格的に攻め始めた。フランスでの売り上げはまだまだ少ないが、食に対する感度が良く、将来性が大きい。ユニクロのパリオペラ店のオープン記念パーティーでは「獺祭」が用いられた。パリで手に入る日本酒が限られた為、私どもに声が掛かったのである。最初は値引き交渉もあり、一度は断ったが、結局は使うことになった。この後、タイ、ニューヨーク、サンフランシスコ、銀座の旗艦店のオープンなどでも「獺祭」で鏡引きが行われた。「獺祭」ならば、ユニクロが進出しているところに、配達する能力があるとも思われている。非常に私どもの強みであると思う。
 フランスに近いモナコはフェラーリがカローラのように見えるところで、「獺祭」にとっては狙いやすい土地柄である。海外では日本酒は高いが、麹でつくる日本酒の場合、どんなに安く作ろうとしても、発酵させてつくるワインよりもどうしてもコストが掛かる。したがって、海外戦略では高価格品を売り込むしかない。したがって、上位5%の所得層を顧客のターゲットと考えている。その所得層の方は、米国、フランス、中国のいずれの国の人々も味覚はほとんど一緒であるということも実感である。

>>目次へ

【25年6月度産業懇談会(火曜G)模様】

上映会:『名古屋城物語 尾張名古屋は城でもつ! 』(2012年度製作)
ご講演:『未来を支える名古屋の宝物 』

日  時:平成25年6月11日(火) 12時00分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間
参加者:25名

スピーカー:
森 零(もり ぜろ)
名古屋活動写真 代表/映画監督

森 零氏

1. 「名古屋活動写真」について
  「名古屋活動写真」は名古屋や東海地区の歴史文化を題材とした映画製作、書籍製作を軸にしている。取材、調査研究、編集作業等、製作にかかわる全ての行程を市民参加型にしており、地域活性化及びまちづくり活動を展開している。完成作品は、永続的な上映・講演活動及び配布、ライブラリーでの永久保存、市民の自由閲覧に行かされている。
 そして、こうした取り組みは、『知る』『愛する』『守る』『繋ぐ』をモットーにしており、消費期限のない名古屋の宝物を未来に残すことに貢献している。
(ホームページ)http://movie.geocities.jp/nagoyakaifu400/

2. 森零監督の上映挨拶
 私たちの「名古屋活動写真」は、次世代の人々に伝統、文化、歴史などを繋いでいくつもりで製作活動を行っている。
本日上映する「名古屋城物語 尾張名古屋は城でもつ!」では、「お城って何だろう。本丸って何だろう」と思っている若い人達にも、その本質的なところをわかり易く伝えられるようにしている。映画のなかには、歴史や文化に関わる活動をしている大勢の方が出てこられ、それぞれから大変面白く、深い話を沢山いただいた。インタビューは合計40時間に及んだが、その中から皆さんがなるほどと思われるようなところを抜粋して編集した。今回の作品では、料亭蔦茂の深田正雄社長や(株)ナゴヤキャッスルの大森邦彦相談役などに出演していただき、撮影場所もお借りした。これからも次世代に繋がるように、頑張っていくので、皆さんも応援して欲しい。

3. ドキュメンタリー映画「名古屋城物語 尾張名古屋は城でもつ!」
 名古屋城の高さは現在の18階建のビルに相当し、面積は姫路城の2倍規模である。徳川家康は江戸幕府を開いた後、天下泰平の世を長く続ける為、江戸と大坂の間に位置する名古屋にこのように大きな城を築いた。江戸幕府は260余年に亘る平和な時代を続けたが、これは人類が文明を起こして以来、最も長い平和な期間である。
 名古屋城は只々、大きな城として有名であるばかりでなく、日本の中心であり、日本の骨格を築くことになった城である。ドキュメンタリー映画「名古屋城物語 尾張名古屋は城でもつ!」は、こうした名古屋城にまつわる出演者の話や資料写真、映像などにより編集されている。清州越しによる築城からその後の雄姿、空襲による焼失、戦後の再建など今日に至るまでの歴史やエピソードを記録し、後世に残される貴重なものである。

4. 次は「堀川」や「城下町」をテーマに
 私は、ドキュメンタリー映画を通じて、情報ばかりでなく、出演者が熱く体験を語っている姿をも残したいと思っている。第1作目は、名古屋開府400年にあたる2010年度に製作した「開府四〇〇年名古屋の山車祭り」である。その作品には、東日本大震災の傷跡が一切なく、皆がお祭りに没頭している姿が映っている。名古屋の宝として、その映像が残っている。
 2011年度には、第2作目の「七間町橋弁慶車お囃子の復活」、第3作目の「名古屋空襲を語る 今を生きる人へ」の2本を製作した。第4作目が「名古屋城物語 尾張名古屋は城でもつ!」であった。
 名古屋城に関する映画を製作して、私はやっておかなければならないと思うことが2つあった。一つは堀川のことである。堀川は、私が子供の頃から汚れていたが、浄化を目指す活動団体がある。その活動の中心の人々は60歳を越えており、次世代にどのようにつながっていくのかが大切である。堀川を単にきれいにしようと思うだけでなく、堀川の重要性を若い世代の方たちがしっかりと認識しないと、その力につながらないと思う。そうした思いから、今年度は「堀川」に関連して映画を製作する。また、もう一つ、「城下町」をテーマに製作する。世界一の平和期間、江戸時代の華やかな尾張の町人文化と碁盤割を中心に名古屋の魅力や誇りを抽出し、今後のまちづくりの道標となる作品を目指す。

>>目次へ

【25年6月度産業懇談会(水曜第2G)模様】


テーマ『 おもてなしの心を表現するユニバーサルデザイン 』

日  時:平成25年6月12日(水) 12時00分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間
参加者:31名

スピーカー:
伊藤 清志いとう きよし)
株式会社丹青社 名古屋支店長

スピーカー:
山岡 礼やまおか れい)氏
経営企画統括部 経営企画室 
経営広報課 課長 
スピーカー:
建石 治弘たていし はるひろ)氏
文化空間事業部 デザイン統括部 
シニアプランニングディレクター 
伊藤 清志氏 山岡 礼氏 建石 治弘氏

1. 空間づくりのプロフェッショナル
 丹青社は1959年12月25日に設立された。はじめは松坂屋の上野店に事務所を置いた。ショーウィンドウのディスプレイを始めた後、百貨店の内装も手掛けるようになった。高度成長期において、百貨店に出店していた服飾会社が全国に路面店の展開をはじめ、当社もそれに帯同して急成長できた。また、大阪万博で幾つかのパビリオンに携わり、商業施設のほか、文化施設などにも展開した。モナ・リザが東京国立博物館に展示されたとき、モナ・リザを綺麗に見せるため、照明に工夫をし、良い評判を得ることができた。なお、社名の「丹青」は、丹(赤)と青の基本的な2色から“豊かな色彩”を示し、転じて絵画や画家、絵を描くことを広く指した中国に由来する語である。当社のマークもそれをもとにデザインされている。
  現在、私たちは商業空間、文化空間、ホスピタリティ空間、イベント空間、ビジネス空間、パブリック空間など、人と人とが交じり合う空間のすべてに関わっている。リニア・鉄道館、トヨタテクノミュージアム産業技術記念館、サンシャイン栄のSKE48劇場やカフェなども担当した。
 こうした空間には、子供、高齢者、障害者、外国人など様々な人が訪れ、利用している。私たちは、空間づくりのプロフェッショナルである。ユニバーサルデザインのコンセプトに基づき、誰にでも公平で優しい空間づくりに取り組んでいる。

2. ダイバーシティを学ぶ「ユニバーサルキャンプin八丈島」
(経営企画統括部 経営企画室 経営広報課 課長 山岡 礼 氏)
 当社の中で、「ハードやソフトのユニバーサルデザインに加えて、心のユニバーサルデザインによって何か別の新しいことができないものか」と考えていたところ、10年近く前、弊社役員のアイデアによって「ユニバーサルキャンプin八丈島」を始めることになった。
 これはダイバーシティ(多様性の尊重)の考え方のもと、多様な参加者とともに行われる2泊3日のキャンプイベントである。国籍や年齢、障害の有無などに関わらず、異なる価値観・社会的背景をもった参加者が毎年、100名以上集う交流の場となっている。NPOユニバーサルイベント協会の主催だが、丹青社の創業者がもともと八丈島に土地を持っていた縁により、当社は立ち上げ時から共催者となっている。
 この場は、多様性に満ちた参加者との交流・共同体験を通じて、今企業に必要とされるダイバーシティの視点と、多様な人材の力を引き出すリーダーシップのあり方を学ぶ、参加・体験・実践型研修の場になる。丹青社の社員も毎年5人程参加し、その経験を業務に活かしている。当初は協賛企業として、福祉車両や住設機器などの会社の方が参加していた。最近では、鉄道会社の人事部の方も参加し、社内教育プログラムの参考にしている。ものづくり、サービスなどに携わる方々が、ダイバーシティのなかの生活を経験し、各人がどう思っているのかを知り、そうした生の声を持ち帰っている。
 私たち自身として、第一に社員の人材育成、第二にデザイン力、ものづくり力という専門力の強化、第三に社会貢献と言う位置づけで続けている。しかし、これだけやっておけば大丈夫ということはなく、いつまでも課題を考え続けていきたい。一方で、協賛企業にとっての学ぶ場の提供を行っている。なお、今年度は6月1日より募集を開始している。

3. ミュージアムのディスプレイに強み
(文化空間事業部 デザイン統括部 シニアプランニングディレクター 建石 治弘 氏)
 リニア・鉄道館を担当し、その時にはディスプレイ産業大賞を受賞した。ディスプレイ業界には大手3社があるが、ミュージアムについては当社が強い。ミュージアムの定義はいろいろあるが、(1)資料と情報を収集し研究する、(2)資料と情報を展示し普及する、(3)集まって頂いたお客さんに発信する、(4)お客さんに楽しみを提供する、などの役割がある。
 ミュージアムにおいては、ディスプレイ業者は何をしているのか。建物の建築はもちろん行っておらず、その後のところで関係している。まずクライアントから、展示資料が支給される。それを宙に浮かしておくわけにはいかないので、資料の安全や見易さなどを考えて、いわゆる展示ケースに入れる。そして、その資料がどういう意味を持つのかという解説のため、映像等の企画設計を行い、製作する。また、それだけではなく、空間をどのように企画設計するのかも大切であり、最近は体験プログラムの企画を取り入れている。ミュージアムは人類の成果の共有、未来への継承、多様な視点を育むものである。資料を活かすため、展示空間全体を演出してシンボル性を高めている。

>>目次へ

【25年6月度産業懇談会(木曜G)模様】

テーマ『 「アベノミクス相場」は、終わったのか?
                 〜夏(第2期)の相場を考える 』

日  時:平成25年6月13日(木) 12時00分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 2階 曙西の間
参加者:36名

スピーカー:
中井 裕幸なかい ひろゆき)
株式会社東海東京調査センター 専務取締役
/チーフグローバルストラテジスト

中井 裕幸氏

1. 5月23日から株価が急落したが・・・
 
株式市場は、5月23日から一転して下落基調に転じている。今回の「アベノミクス相場」は、第1期のファーストステージ(日経平均)が安倍新政権による“3本の矢”(財政・金融・成長戦略)に対する期待で、昨年11月13日のボトム8,619円から今年3月21日の高値12,650円まで+4,031円上昇。セカンドステージが黒田日銀総裁による異次元緩和の期待で、4月2日のボトム11,805円から5月23日の高値15,942円まで+4,137円と、わずか1ヵ月半でほぼ同値幅の上昇を演じた。第1期の上昇相場は、わずか半年で85%という急ピッチの株価上昇をみた後だっただけに、一旦休養期があってもおかしくない、位置関係にあったといえる。

2. 米FRBの出口戦略は、秋以降か?
 今回の急落の背景となったのは、5月22日の米バーナンキFRB議長の議会証言での発言に伴う、「量的緩和(QE)の出口論」の浮上にある。同議長の議会証言では「(量的緩和を)早期に解除すれば、経済に悪影響が及ぶ」としたものの、質疑応答での「債券購入を終了することもあり得る」との言葉が、一気にFRBが近く量的緩和の減額に動くかもしれないという不安感をマーケットに与えたといえる。このため、この不安感の解消こそが、次の反発のキッカケとも言えよう。
 そもそも、バーナンキFRB議長の発言には「米経済が持続的な成長軌道にあることが証明された場合」という、前置きの仮定がある。このため、今後の経済指標は、その内容如何で心理が揺れ動くことになろう。しかし、その方向が確定するには、少なくとも秋口位までのデータ検証が必要だろう。となれば、QEの減額実施は、6月18・19日のFOMCはもちろんのこと、7月30・31日でも無理、最も早いケースで9月17・18日ではないか。そして可能性が高いのは、10月29・30日で出口に言及、バーナンキ議長が出席の最後(2014年1月末に退任)となる、12月17・18日に具体的な出口戦略の発表という流れになるのではなかろうか。となれば、ある意味で当初夏場に予想された懸念材料を早めに織り込んでゆくことは、悪くないともいえる。

3. 今は、第2期へ向かう「過渡期」
 こうした中の日本株は、アベノミクス相場・第1期の「理想(=期待)買い」が終わり、第2期の「現実買い」へ向かう“過渡期”と捉えたい。
 現在の調整局面は日柄的には、7月21日(予定)の参院選挙まで、あるいは秋口がメドとなろう。日経平均で12,500円以下は、ファンダメンタルズからも売られ過ぎの水準である。当面の戻りメドは、(1)13,500円、(2)14,500円か。戻り売りを消化すれば、第3期の上昇相場がその後に期待できよう。

>>目次へ

【名古屋いちばん物語】 No.47


テーマ『 「住吉の語り部となりたい」 シリーズ第27回 』

料亭蔦茂 主人
深田正雄

名古屋市登録地域建造物資産第100号に創業100周年の料亭蔦茂が認定

 名古屋市都市景観条例を改正(平成23年6月1日)し、まちの中で大切に使われてきた、身近な歴史ある建造物を地域の資産として「登録」または「認定」する新たな制度をすすめております。
 この度、住吉町二丁目・創業100年の料亭蔦茂が第100号登録され地域に残る歴史的建造物を多くの人に知ってもらい、それらを大切にしていく気運の醸成につなげ、歴史的建造物の保存・活用を推進していきます。
 蔦茂は現在地で大正2年創業、昭和20年の戦災で建物は全て消失しましたが、庭・池の石、清州越えからといわれる3本の井戸が残りました。戦後、いち早く現存する黒塀本館を昭和21年に市内で最初の旅館として開業。昭和27年岩城誠一郎氏設計の玄関ビル内に当時初めて和風料理屋を作るユニークさで話題、そして、本格数寄屋造りの別館、昭和33年には息子・岩城誠作氏と共に屋上にゴルフ練習場を併設・ユニークな宴会場ビルなどが名古屋の粋を守り料亭座敷として現在も活躍しております。
 また、地下10Mから汲みあげる豊かな井水は池の鯉、生け花、調理の下ごしらえに活用、400年の歴史を感じさせるとともに、かつての紫川の源流のひとつといわれております。
 一昨年より歴史的建造物保存活用の担い手となる専門家を養成する「名古屋歴史的建造物保存活用推進員(なごや歴まちびと)養成講座」がスタートし、今年で3期目を迎えました。歴史的建造物の保存活用に関心の高い建築士さんなどを中心に全科目を修了した合計77名が、景観整備機構公益財団法人名古屋まちづくり公社の"なごや歴まちびと"として登録されています。この方たちは、名古屋市内に現存する建築後50年以上を経過した歴史的に価値有る建造物に対して、保存・活用のための補修、改修、活用方法などについてアドバイスを行なっています。
 栄3丁目地区は1945年の大空襲にてほとんどの家屋が焼失しましたが、一部の土蔵が残ったほか、奇跡的に矢場町の勝鬘寺一帯北側の長屋と住吉3丁目角4軒の木造家屋が戦火を免れ現存しております。
 現存する土蔵は3つ、若宮八幡社北側の元住吉町の山車蔵(古出来町の河水車が残る)、住吉町3丁目花柳流の踊りの稽古場、そして、南大津通り安藤七宝店「七寳藏部」の土蔵(大正7年建造)があります。同蔵は保存改修され認定地域建造物資産第46号として評価されております。常設の尾張七宝焼き展示館だけでなく、栄ミナミ音楽祭では素敵なクラシック演奏会場として市民に憩いを提供しております。
 そして、名古屋市指定有形文化財の勝鬘寺(本堂・山門・太鼓楼)北にある明治以前築といわれる夫馬商店(栄3-28-23)は、名古屋市地域建造物資産第21号に登録され現在も店舗・住宅として活用、同じく第99号に登録された、住吉3(栄3-19-2)早川商店は大正末期建造といわれ文具店として営業されております。両地区では住宅建物が戦後も残存したため区画整理の遂行上道路の拡幅が難しく、現在も歩道のない狭い通りとなっています。

お問い合わせ:
なごや歴まちびとの会 事務局長:有限会社 野口良一設計事務所 野口和樹氏
           〒460-0012 名古屋市中区千代田3-18-16 mobile:090-2688-7260
           E-mail:k-noguchi@noguchi-sekkei.co.jp
           なごや歴まちネット:http://www.nagoya-rekimachinet.jp/

名古屋市住宅都市局都市計画部 歴史まちづくり推進室 調査企画係長 永原誠氏
           TEL:052-972-2779  E-mail:m.nagahara.00@city.nagoya.lg.jp

栄3丁目登録地域建造物資産
登録第21号 夫馬商店 明治以前築 店舗・住宅
中区栄三丁目28-23
登録第99号 早川商店 大正末期築 店舗  
中区栄三丁目19-2

中日新聞 6月14日金曜日 朝刊市民版にて「料亭蔦茂」紹介記事

昭和21年建設の蔦茂旅館前景、当時のままの「ヒノキとシバ材」粋な黒塀と7室の元旅館建物は栄ミナミ・住吉町「癒やし」のスポット。

>>目次へ

【中部再発見コーナー】 名古屋城本丸御殿・復元公開編

2013年5月27日
ステキ・小粋・まち歩き。名古屋城本丸御殿・復元公開編の報告

中部経済同友会・「文化のまちづくり委員会」主催

                    副委員長  夢童由里子 記

中部経済同友会の「文化のまちづくり委員会」では以前より、まち歩きを実施。

これは海外・県・市外から観光に訪れる人口の低迷、当地のアピール不足の解決策、
経済と文化は両方揃ってこそ「まち」と呼び、文化とはなんぞや、など等の思惑で始まったものです。
知っているようで知らない。足元を知らずして他所の人に「こんなにも良い所です」と、案内もできない。
さあ歩こう。
自分たちの住むまち 「イイとこ捜しウォーク」の出発です。

2013/5/27 まち歩き・特別編

名古屋城本丸御殿・復元の市民運動「名古屋城文化フォーラム(旧・本丸御殿フォーラム)を興して今年で20年目に入ります。その節目の年にいよいよ本丸御殿の一部ですが復元公開ができました。
一般公開より、5月23日、一足早く竣工式・内覧が催され、感激の第一歩を本丸御殿に刻みました。

*(本丸御殿は戦国末期の1615年に完成。尾張藩初代藩主、徳川義直の住居や将軍の宿舎に使われた。城郭御殿の最高傑作で、1930年に国宝第1号に指定されたが、1945年に戦災で焼失した。
2005年に本丸御殿の復元を決定。2006年に発掘調査、2007年に実施設計が行われた。2009年1月、本丸御殿は、復元費150億円を民間、国、市が負担する計画で着工された。尚、市長選で本丸御殿の復元事業見直しの考えを示した河村たかし氏が当選。紆余曲折の末、事業は継続され、今日の式典につながった。)


晴れてテープカット!! 河村たかし市長、大村秀章知事、徳川義崇22代当主、梅山和成整備局長、豊田章一郎・トヨタ会長、三田敏雄中経済連会長、高橋治朗商工会議所会頭、藤田和秀市会議長、盛田和昭・モリタエンタープライズ会長さん達他の方々と。20年目の市民運動です。暑い日だったけれど、本丸御殿との初対面なので、感謝をこめて、和服で式典に臨みました。


平成25年5月23日、「名古屋城本丸御殿玄関・表書院完成記念式典」が名古屋能楽堂で開催されました。


河村市長は主催者あいさつの中で、「昭和7年から正確な実測図を作成していたから復元することができました。皆様のこれまでのご協力に感謝します。」とスピーチ。


これぞ、本物!狩野派の御用絵師たちの渾身の竹林豹虎図。御殿内部「二之間」のすぐ脇に、オリジナルの400年前の絵が展示されています。
この絵の迫力は狩野派のオトコ絵師が描いたもの。男性的で武張った虎の眼つきが、周囲を圧倒します。この襖を400年前、実際に家康も春姫も義直も、観ていたのですね。息遣いさえも、感じられる「凛とした」本物の絵です。


最新技術でコピーするのは簡単だけれど、「復元」は気の遠くなる作業が。絵を創るというより、言葉は難しいけど、やはり根気と努力と情熱の「作業」かもです。継承、リレーがキーワードですね。


公式内覧会。思っていた以上に素晴らしいできばえ、ヒノキの香りと新しい畳のイグサの匂いが入館した者に感動を与えます。外は炎天下でも、内部に入ると誰もが暑いなあといいません。ひんやりとしたいい感じの空気感。さすが、これが日本古来の日本建築だと思い至ったことです。


「御殿復元の寄付」本丸御殿・内に貴方のお名前。名古屋城本丸御殿の民間寄付も24年3月で49億4千万円まできました。目標の50億円まであと少し。私もビンボー作家ながら、ドーンと何回か寄付をさせて頂いております。
寄付したその年は、お茶漬けサラサラの食生活?(笑)。でも、満足。こんな立派な日本の資産が出きるんだもの。少しでも関心のある方々、そしてダイエット中のみなさま(笑)、寄付して本丸御殿に名前を刻みましょう。竹林豹虎図の狩野派の描いたホンモノは、残念ながら6月9日までの展示です。是非、また、収蔵されている本物を見たいものですね。


5月27日、同友会の「ステキ・小粋・まち歩き」委員会で29日公開前の内覧会をさせて頂きました。まず、能楽堂で40分、本丸御殿復元の過程と建設意義を、レクチャーしたあと名古屋城と義直公正室・春姫の御霊屋がある名古屋東照宮まで解説・案内をいたしました。つたない解説ですが、メンバーからよく理解できたとお褒めの言葉。嬉しかったです。名古屋城のあっちこっちも見学案内。


この日は、名古屋東照宮にもご案内いたしました。1945年5月14日の空襲により、義直以来の本殿、主要建造物を焼失したが、1954年 建中寺より義直の正室春姫(高原院)の御霊屋を移築して社殿とした。この御霊屋は1651年に万松寺境内に建てられ、1914年(大正3年) に建中寺へ移築されたものです。1960年(昭和35年)に愛知県の有形文化財に、また1992年には名古屋市の都市景観重要建築物に指定されています。児玉憲司宮司様より、浅野家の鷹の羽の紋、徳川家の三つ葉葵の紋の話もまじえて、名古屋城と義直公、春姫のつながりなどお話を頂きました。


5月29日。いよいよ一般公開が実施されました。この日から、遠来のお客様も多く、特に、土曜・日曜日は写真のように長蛇の列です。2時間待ちはありえますね。でも、皆様のご興味が名古屋城に注がれ、嬉しい限りです。

 


5月27日、特別内覧会に参加された「ステキ・小粋・まち歩き」の同友会メンバー。

名古屋城文化フォーラム(会員約2500名。年会費3千円)に、ご賛同・ご入会希望の方は、y@mudou-art.comまで、メールにてお申し込みください。またはtel : 052-734-7701 mobile : 090-2610-5925 fax : 052-734-7006までお知らせください。

夢童由里子 記
〒464-0066 名古屋市千種区池下町2-15 ハクビ池下ビル2F
tel : 052-734-7701 fax : 052-734-7006 mail : y@mudou-art.com
夢童アートHP : http://mudou-art.com/
名古屋城文化フォーラムHP : http://honmaru.info/
ドリームコンプレックスHP:http://dreamcomplex.net/
夢童ブログ : http://goten.cocolog-nifty.com/blog/
夢童フェイスブック http://www.facebook.com/profile.php?id=100002972932895

>>目次へ

【新会員自己紹介】

鳴川 基訓氏
水曜第1グループ

鳴川 基訓(なるかわ もとくに)
エフピーサポート株式会社 主席コンサルタント

【エフピーサポート株式会社】
〒460-0002 名古屋市中区丸の内3-2-29 ヤガミビル7F
TEL:052-962-7760 FAX:052-962-7761
URL:http://www.fpsupport.com

  エフピーサポート株式会社の鳴川と申します。
  この度、産業懇談会水曜第一グループに参加させて頂く事になりました。
  何卒宜しくお願いいたします。弊社は保険の総合コンサルタント会社としてひとりひとりのお客様にとって最適かつ合理的な保障を提供する新しい保険のプロフェッショナル集団を目指しております。
が平たく言いますと、とかく保険は『よく分らない』という声が多いのですが本来保険とは、

  1. シンプルで分り易い。
  2. 合理的な金融商品。
  3. 個人( ex. 万が一ではなく1/1 二人に一人はガンになる)
    法人( ex.事業の保障 キャッシュフローを高める)

のリスクマネージメントその物であります。

  さて、生まれも育ちも大阪ですがすでに名古屋暮らしの方が長くなってしまいました。
  名古屋の半分都会、半分田舎の按配がすこぶる心地よく、大阪よりも好きになってしまいました。引続き名古屋での公私共の生活を楽しみたいと思っています。
  今回産業懇談会に参加させて頂く事になり、皆様のご指導ご鞭撻を賜ることができれば幸いです。

>>目次へ

【7月度産業懇談会開催日程】
名古屋観光ホテルでの開催です。
グループ名 世話人 開催日時 テーマ 場所
火曜グループ

岡部 聰
深田正雄

7月9日(火)
12:00〜14:00

シーエヌ建設(株)
取締役社長 寺島 優氏
「鉄道を通して経験した地域との付き合い方」
18階
伊吹の間
水曜第1グループ 落合 肇
飯田芳宏
7月17日(水)12:00〜14:00 富士ゼロックス愛知(株) 取締役社長
柴田憲志氏のご紹介
(株)富士ゼロックス総合教育研究所
代表取締役社長 芳澤宏明氏
「大転換時代の人材と組織変革の方向性」
2階
曙(西)の間
水曜第2グループ

片桐清志
見祐次

7月10日(水)12:00〜14:00 オリックス(株)名古屋支店
名古屋支店長 田中 信氏
「企業経営におけるコンプライアンス・
コストダウン・環境ビジネスのお手伝い」
18階
伊吹の間

木曜グループ

河村嘉男
倉藤金助

7月4日 (木)
12:00〜14:00

丸菱工業(株) 取締役会長 河村嘉男氏のご紹介
(株)双日総合研究所
防衛・安全保障チーム上席客員研究員 永岩俊道氏
「中国の軍事的台頭と日本の対応」
(対「接近阻止・領域拒否戦略」体制の構築)
2階
曙(西)の間

(ご参考)
7月4日(木)開催 産業懇談会 木曜グループ

ゲストスピーカー: 永岩 俊道(ながいわ としみち)氏
元 航空自衛隊航空支援集団司令官・空将
現在は、(株)双日総合研究所 防衛・安全保障チーム 上席客員研究員

<ご経歴>

1971年 防衛大学校卒業後、航空自衛隊入隊
F-15戦闘機パイロットとなり、88年に第203飛行隊長
1990年 スタンフォード大学客員研究員
1998年 航空幕僚監部監察官・防衛部長
2003年  空将に昇任
西部航空方面隊司令官、航空支援集団司令官(イラク派遣航空部隊指揮官)等を歴任
2006年  航空自衛隊退官
2006年 (株)双日総合研究所防衛・安全保障チーム上席客員研究員(現職)
2007年  ハーバード大学アジアセンター上席客員研究員(〜2009年)

<その他>

  • 国際安全保障学会理事
  • 中国政経懇談会理事長
  • 安全保障懇談会理事
  • 日米エアフォース友好協会理事長
  • 防衛協会理事
  • 防衛大学校同窓会会長

>>目次へ

【懇親ゴルフ会開催のご案内】

 産業懇談会では、恒例となっております4グループ合同の懇親ゴルフ会を下記のとおり開催いたしますので、ご案内申し上げます。 代表幹事、直前代表幹事、常任幹事、監事の皆様も、是非ご参加くださいますようお願い申し上げます。

日時

8月10日(土) 7時18分スタート
(アウトスタート7組、インスタート3組を予定しております)

場所 木曽駒高原カントリークラブ
長野県木曽郡木曽町日義4898-8
電話:0264-23-7001
 会費 別途ご請求申し上げます。
その他
  • 現地集合といたします。
    7時00分までにアウトスタートのティグラウンド前にお集まりください。(開会式・競技方法などを説明します)
  • プレー終了後クラブハウスにて表彰式を兼ねた懇親会を予定して おります。(懇親会終了予定時刻:15時頃)
  • 競技方法は、ダブルペリア方式を採用します。
出欠のご連絡
  • 出席のお申込みにつきましては、6月17日(月)を以て締切とさせていただきました。
    お申込みいただきました皆様には、随時詳細についてご連絡いたします。
お問合わせ先

中部経済同友会事務局 担当:加藤・山田
電話:052-221-8901

>>目次へ

【お知らせ】

産業懇談会メールマガジン配信について

メールマガジンの配信は無料です。配信をご希望でない方はお手数でも下記ボタンを押して、メールをご返信いただければ幸いです。ご意見などございましたら、そのメールにお書き下さい。

メールマガジンの配信を ○希望しない

>>目次へ

【コラム】

コラム1 【保健師からの健康だより】 No.111
花ちゃんからの健康だより

株式会社 スズケン
保健師 鳥巣 妃佳里

『 かくれ脱水に気付いていますか? 』

 日中の最高気温が30℃を超える日が増えてきました。雨の日には気温も湿度も高くなるため、気になるのが熱中症です。熱中症の前には脱水症がおこりますが、脱水症はある程度進行するまで気づきにくいと言われます。この症状が出る一歩手前の「かくれ脱水」の段階で気づいて熱中症を予防することを目指し、昨年6月に「かくれ脱水委員会」が発足しました。全国各地で様々なイベントや啓発活動が行われています。

 熱中症予防では以前にも、暑さに負けない身体づくり、水分補給とペットボトル症候群について、WATER BIZなどご紹介してきましたが、今回はこのかくれ脱水委員会副委員長である神奈川県立保健福祉大学 谷口英喜教授の推奨する「かくれ脱水を疑うポイント」「脱水予防の水分補給」「緊急時の簡易経口補水液の作り方」についてご紹介します。

◆かくれ脱水を疑うポイント

  • 暑いところにいるのに手足が冷たくなっている
  • 手の親指の爪を白くなるまでギュッと押し、もとの色に戻るまでに3秒以上かかる
  • 手の甲の皮膚を引っ張って、もとの状態に戻るまでに3秒以上かかる
  • 舌がザラザラしたり、赤黒い色をしている

◆脱水予防の水分補給
 脱水予防の補水はカフェインやアルコール以外の水分であればなんでもよい。スポーツやそれに準じる活動量の作業時には、水と電解質が一緒にとれるスポーツドリンクの中でも、成分表をみて100ml当たりにナトリウムが40mg以上含まれているものがよい。一度に大量に飲んでも尿で排泄されてしまうので、少しずつ飲む(30分おきにコップ1〜2杯程度)のが効果的。ただし、脱水になっている時には、薬局等で売っている経口補水液を摂取することが必要。

◆緊急時の簡易経口補水液の作り方

  • 沸騰させて冷ました水 1L
  • 砂糖 40g(大さじ4と2分の1)
  • 塩   3g(小さじ2分の1)
  • レモンなどの柑橘類の果汁 適宜

上記分量の水に砂糖、塩を入れて溶かす。果汁を加えると飲みやすくなる。

(注意点)

  • 分量はできるだけ正確にはかってつくる(補水液を腸で素早く吸収させるには塩分:ナトリウムイオンと糖分:ブドウ糖のバランスが重要)
  • 一度に飲まず、30分おきにコップ1〜2杯(100〜200ml)ずつ飲むようにする
  • 作った液はその日のうちに飲みきる(雑菌が繁殖する前に使い切る)
  • 簡易経口補水液は、市販の経口補水液と違ってカリウムの補給ができず、炭水化物の含有量が多くなっているため、あくまでも補水液がない場合の緊急用として使う

 脱水症は、炎天下の屋外だけでなく、夏の渋滞時の車中、風の流れのない屋内、気温は低くても湿度の高いところなどでも起こります。かくれ脱水のうちに気づいて対処できるのが一番ですが、進行した場合には病院で治療を受けることが命を守ることにつながります。めまい、立ちくらみ、頭痛、こむら返り、脱力感などの脱水症状が出ていて、涼しいところで休みながら経口補水液を摂っても症状が改善しない場合や、反応がおかしい場合にはすぐに病院へ運ぶことが大切です。

 梅雨時期は晴れると日中の最高気温が上がり、雨だと湿度が高くなるため熱中症にかかる人が多い時期でもあります。かくれ脱水や熱中症の正しい対応方法を覚えて元気に夏を乗り切りましょう。

かくれ脱水のサインに早く気付いて、熱中症を予防しましょう

>>目次へ

コラム2 【「ほん」のひとこと】 No.56
コラム【理念経営物語】

株式会社 正文館書店 取締役会長
谷口正明

『 五五五文字の巡礼−魏志倭人伝トーク地理篇 』
上野哲也著・講談社文庫

 ある日、図書館で日本古代史に関する書物を数冊借りた「ぼく」は、ひどく痩せ細った老人Aさんに後ろから声を掛けられた。Aさんは、残り少ない人生でやり残したこと、すなわち若い頃からアマチュアとして取り組んできた『魏志倭人伝』の研究成果を纏めておきたいのだが、ペンを握って文字を書く力は残っていないし今更ワープロも無理だ。そこで、対話形式で録音し文章に起こしてもらえばと考え、『魏志倭人伝』に関する書物を借りた「ぼく」に相棒を頼んだのだった。
 Aさんの『魏志倭人伝』へのアプローチの仕方は、実にユニークだった。それは、使われている漢字そのものの意味を徹底して追求し、漢字の意味だけで魏の使節団の行程を解読しようというものだった。
 Aさんと「ぼく」の、『魏志倭人伝』冒頭の五五五文字への二週間の巡礼が始まった。

 本書の最後に予告してある、Aさんが元気ならば出版される「魏志倭人伝トーク刺青篇」を早く読みたいものです。

>>目次へ

コラム3 【苗字随想】 No.133コラム【理念経営物語】

片桐清志

「瀬」と「渡」

  水シリーズの第5弾は「瀬」と「渡」に注目してみる。
 「瀬」で始まる姓は169種、「渡」で始まる姓はその半分の84種が見つかった。「瀬」は画数が19画と多いにもかかわらず種類数ではメジャーだ。
 一字姓は「瀬」も「渡」もあり、前者はセ・イワセ・イワタ・イワダの読み方があり、後者にはワタリ・ワタルの読み方がある。
 ランキング(佐久間 英)では「瀬」姓は、瀬川の569位を筆頭に、瀬戸の631位が1000番内に、瀬尾(1102位)、瀬田(1112位)が2000番内に、瀬戸口(2202位)、瀬野(2216位)、瀬古(2248位)、瀬口(2611位)、瀬谷(2637位)、瀬山(2669位)の6姓が3000番内に登場する。ランキングでもメジャーだ。「渡」姓では渡辺の5位をトップに渡部の169位が1000番内に、渡瀬(2265位)、渡(2290位)、渡会(2341位)が3000番内に登場する。種類が少ないため上位に登場する苗字も少ないが、渡辺は堂々の5位と健闘している。
 ユニークな苗字では「瀬」姓では瀬々(セセ・セゼ)、瀬分(セワケ)、瀬切(セギリ)、瀬嵐(セアラシ)、瀬立(セリュウ)、瀬来(セライ)、瀬越(セコシ・セゴシ・セゴエ)、瀬落(セオチ・セラク)、瀬名(セナ)、瀬那(セナ)、瀬味(セミ)、瀬見(セミ)、瀬和(セワ)、瀬良(セラ)、瀬羅(セラ)、瀬子(セコ)、瀬尾(セオ・セノオ)、瀬尻(セジリ)、瀬頭(セトウ)、瀬波(セナミ)、瀬屑(セクズ)、瀬底(セソコ・セゾコ)、瀬農(セノ)、瀬詰(セズメ)などが見つかった。
 「渡」姓では渡世(ワタセ)、渡来(トライ・ワタライ・ワタリ)、渡口(ワタリグチ・トグチ他)、渡場(ワタシバ・ワタリバ)、渡守(ワタシモリ・トモリ)、渡橋(ワタリハシ・オリハシ)、渡海(トカイ・トミ・ワタミ・ワタウミ)、渡縫(ワタヌイ・ワタアイ)、渡引(ワタヒキ)、渡延(ワタノベ)、渡貫(ワタヌキ)、渡鍋(ワタナベ他)などが見つかった。
 「瀬」と「渡」を組み合わせた瀬渡(セト・セド)も渡瀬(ワタセ・ワタラセ)もある。

>>目次へ




【平成25年6月号編集後記】

 地域活性化策のいくつかを過去にもこの欄で紹介してきた。今月もその一つを紹介したい。埼玉県秩父市の「みやのかわナイトバザール」は26年前にスタートし、現在も続いている。「ナイトバザール発祥の地」としてNHKのTV番組「ひるまえほっと」の「笑顔みつけ隊」(http://www.nhk.or.jp/shutoken/hirumae/egao/2013-05/0509.html)でも取り上げられ、全国に知られるようになった。
 誕生のきっかけは県指導の勉強会で、宮側町の「将来構想づくり」の検討だ。「みやのかわ商店振興組合」(http://www.chichibu-cci.or.jp/category.php?id=42)のメンバーが、住民の生活パターンが夜型にシフトしていることに着目した企画だ。とにかく続けることが大事だという認識で、当初は天候に関係なく毎月第3土曜日の夜7時から始めた。この日は商店も営業時間を9時まで延長している。企画は成功し客足が戻ったが、町の名物になってしまったため、今でも毎月開催を偶数月の第3土曜日に変更して定期的に開催している。「人が集まるところで商売したい」という若手の思いが見事に実った。
 主催者が当初から守っているルールが3つある。一つ目は「お金をかけずに知恵を出す」、二つ目は「ナイトバザールを主催者も楽しむ」、三つ目が「いい加減にやる」だ。そしてマンネリ化させないためにイベントの中身は毎回変えている。さらに子供からお年寄りまで参加できるようなイベントを工夫している。続けるためには二つ目と三つ目が大切だ。楽しくなければ続かないし、準備や手続きが複雑化すると負担が大きくなって続かなくなる。何事にも共通するルールだろうが、地域起こしの場合には特に長期的視点が必要だ。続けていれば、理解者や応援者が増えてくる。今では「将来構想」も現実へと変わりつつある。一過性のお祭り騒ぎに終わらせない「長期ビジョン」と「本気」の大切さを教えられる。
「継続は力なり」でこの活動は中小企業庁の「頑張る商店街77選」に選ばれているし、埼玉県庁のホームページ(http://www.pref.saitama.lg.jp/page/miyanokawa.html)「みんなの商店街」でも紹介されている。

 今月の「産懇宅配便」でもそうした活動の実例が紹介されている。「文化のまちづくり委員会」が実施している「まち歩き」を紹介する「中部再発見コーナー」では、5月29日から一般公開が始まった名古屋城本丸御殿・復元公開模様を寄稿してもらった。「まち歩き」の活動も人気が高まっているが、本丸復元も粘り強い市民の草の根運動の成果だ。是非、本文をご一読いただきたい。「住吉の語り部」シリーズも同様で、名古屋市登録地域建造物資産を紹介してくれた。地域起こし、まちづくりには市民を巻き込む仕掛けが欠かせないことを教えてくれる。

(片桐)