産業懇談会【メールマガジン 産懇宅配便】第67号 2007.12.20発行

 メールマガジン■産懇宅配便■

平成19年12月度(第67号) 目次

産懇宅配便
【19年11月度産業懇談会(火G)模様】 11月13日(火) 12時00分〜14時00分
【19年11月度産業懇談会(水曜1G)模様】 11月21日(水) 12時00分〜14時00分
【新会員自己紹介】
内藤 由治氏 株式会社ポッカコーポレーション 取締役会長
【4グループ合同新年懇親会 開催日程】
【お知らせ】
【コラム】
コラム1  『花ちゃんからの健康だより』
コラム2  『プログレスシリーズ』
コラム3
『苗字随想』
 

【19年11月度産業懇談会(火G)模様】


テーマ『 色彩の話あれこれ−化学で彩りと快適を提案する− 』

日  時:19年11月13日(火) 12時00分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 3階 楠の間
参加者:21名

 

スピーカー:
住田 和海(すみだ かずみ)氏
大日本インキ化学工業株式会社
名古屋支店 支店長

住田 和海氏

●会社概要
 当社は明治41年に創業、来年で創業百周年を迎える。本店、本社はいずれも東京で、資本金は824億円、従業員は連結で約2万5千人、単体では4千人強を有する。国内には1支社、9支店、15営業所、14工場の事業所があり、現在、名古屋支店は大阪支店に次ぐ規模で、年間200億円強の取引がある。関係会社は213社(国内50社、海外163社)、売上高は連結1兆円強、単体3,700億円強(2007年3月期)で、海外での売上比率が大変大きなウェイトを占める。印刷インキとその原料である有機顔料と合成樹脂の3つがコア事業で、現在は印刷材料、工業材料、機能性材料、電子情報材料の4つの事業部門と、この他に今後力を入れていきたいと考えているカラー&コンフォート本部を置く。
 当社は来年の創業百周年を機に社名をDIC(ディーアイシー)株式会社と改め、ロゴも一新し、新たなスタートを切る。また、新たな経営ビジョンとして「化学で彩りと快適を提案する(Color & Comfort by Chemistry)」を掲げ、色彩ビジネスと快適ビジネスの創出を目指していきたいと考えている。

●色彩に関する基礎知識
 光源からの光が物体(色材)に当たり、反射或いは透過して、その光が目の網膜上に分布する視細胞を刺激し、脳に伝達されることによって人は色を認識する。光は波長の異なる電磁波の集合であり、この内、人間が知覚できるのは、波長380nm〜780nmの範囲である。この可視光線をプリズムで分解すると、光は赤、橙、黄、緑、青、藍、青紫の7色の波長を含むことが分かる。可視光は赤側から順に青紫側に向かって長波長、中波長、短波長という3つの領域に区分され、可視光から離れた領域では、紫の外側が紫外線、赤の外側が赤外線、更にはx線やγ線と呼ばれる電磁波がある。
 可視光の内、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)を光の三原色と呼び、例えば、RとGを混ぜるとY(イエロー)、GとBを混ぜるとC(シアン)、BとRを混ぜるとM(マゼンタ)、三原色全てを混ぜるとW(ホワイト)となる。光の無い状態から三原色の光を加えて色を作る方法が加法混色で、これは色を重ねれば重ねるほど明るく白くなるという特徴を持つ。応用例としてはテレビのディスプレーなど挙げられる。
 この加法混色に対して、光の一部を吸収し、反射することによって光を変化させるのが減法混色である。反射色の三原色はC、M、Yで、加法混色とは逆に、これらの色が重なれば重なるほど黒く濁り、三原色が全て混ざると原理的にはK(ブラック)になる。この減法混色の理屈を応用したのがカラー印刷の世界である。カラー印刷は、反射色の三原色を重ねて刷ることにより色を表現し、濃淡は網点と呼ばれる点の面積の大小で表現する。しかし、顔料の特性によって実は三原色を全て混ぜても完全な黒というのは表現できない。そのため、顔料の持つ特性を補足するために、カラー印刷の世界ではもうひとつ墨版と呼ばれる黒のインクを活用して様々な色を再現している。
 色材が同じであっても光源が異なると違った色に見えることがある。例えば、洋服を買って帰り、改めて見ると自分が思っていた色と違って見えるということは誰しも経験されたことがあるだろう。このため、工業的に色を評価する際には、JIS規格などで特定の光源を使用することが定められている。また、例えばワインレッドという色はJIS規格でも慣用色名として登録されているが、ワインレッドと言われても人それぞれ思う浮かべる色は恐らく違うだろう。色を伝達する方法としては、現物指示が何よりも的確であるが、必ずしも現物を持ち運んだり、記録や保存することはできないため、色を定量化、記号化、数量化して客観的に表す工夫がされている。これにはJIS規格に定められた方法や色を色相(Hue)、明度(Value)、彩度(Chroma)で表現するマンセル表色系と呼ばれる方法などが広く普及している。当社でも古くからDICカラーガイドシリーズと呼ばれる擬似的な対応物(色見本帖)によって色を伝達する方法を考案してご提供してきた。当初は印刷業界のみで使われていたが、最近では一般の塗料や染色といった世界でも使われるようになり、現在では色見本の業界標準として日本では広く普及している。

●DICの色彩ビジネス
 色材は染料と顔料に大きく分類されるが、当社では主に顔料(有機顔料)の方に特化して色材ビジネスを展開してきた。また、通常の顔料だけに留まらず、当社の持つ顔料制御技術を活かして、インクジェットや液晶テレビのカラーフィルター用着色材といった高機能材料への展開も図っている。また、この世界から発展してカラーマネジメント(デジカメ、パソコン、プリンタといった異なるデバイス間の色再現を程よく合わせる考え方や仕組み)や高付加価値印刷(表面加工やコーティング、多色印刷など)といった各種ソリューションもご提供させていただいている。

●カラーユニバーサルデザイン
 人間の視細胞には錘体(すいたい)と杆体(かんたい)の2種類があり、錐体が色相を、杆体は明暗を区別するという機能を持つ。そして、そこで受けた光を電気信号に変えて大脳に伝えることによって人は色を感じ取っている。色の感じ方は各々一様ではなく、また色の見え方、感じ方が一般の人と異なる人も国内に500万人以上存在する。このような多様な視覚特性を持つ人を含め、できる限り多くの人に視覚情報、色情報が速やかに正確に伝わるよう配慮されたデザインをカラーユニバーサルデザインと呼び、最近では街の景観や公共施設などをデザインする際にもこうした考え方が取り入れられ始めている。

>>目次へ

【19年11月度産業懇談会(水1G)模様】


テーマ『地上デジタル放送について』

日  時:19年11月21日(水) 12時00分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間
参加者:38名

スピーカー:マスプロ電工株式会社
       取締役社長 瀬尾 英重(せお ひでしげ)氏
       常務取締役 牧野 与志雄(まきの よしお)氏

瀬尾 英重氏 牧野 与志雄氏

【瀬尾英重氏】
 マスプロという社名は「マスター・オブ・プロダクション」の略で、ここには創業者の「ものづくりのトップでありたい」という想いが込められている。更に、マスプロアンテナではなくマスプロ電工としているのにも、「単なるアンテナ屋ではなく、電気工事から一式やっていく。」という強い想いがある。お蔭様で当社は業界トップシェアを誇り、日本のアンテナの40%強は当社製である。アンテナ以外にもCATV会社が使う放送機器などを扱い、また社名の通り電気工事も行っている。また最近では、セキュリティ機器の分野にも新たに参入した。当社は全国45箇所の営業所で500名を超える営業マンが活躍しており、こうしたきめ細かい営業網を有することがトップシェアに繋がったと判断している。また、当社は最近注目されているファブレス企業でもあり、自社で組み立て工場などは一切持っていない。本社工場では製品の最終調整とプロ向けの放送機器を製造するのみで、一般機器は全て協力工場に委託している。近年は海外生産が増えており、全生産の40%強を中国、台湾、タイ、スリランカといった国々の協力工場が生産する。我々は150名を超える技術屋集団を有し、高周波に関する技術では大変自信を持っている。技術革新が大変なスピードで進んでいるが、当社の持つ技術力で皆様の様々なご要望にお応えしていきたい。

【牧野与志雄氏】
●テレビ放送をデジタル化する理由
 地上テレビ放送をデジタル化する理由は、以下の3点が挙げられる。
(1)高度情報インフラの整備
 これは、総務省が2004年に打ち出した「殆どの家庭に普及しているテレビを情報通信サービスの端末機器として利用し、誰もがいつでもどこでも情報通信技術の恩恵を受けられるような社会を実現する」という国の未来戦略プロジェクト(u-JAPAN構想)に基づく。
(2)電波の有効利用
 現在のテレビ放送は、VHF帯の1〜12チャンネルとUHF帯の13〜62チャンネルが使用されている。この内、この地域であれば名古屋テレビ塔から発信されているVHF帯をテレビ放送の帯域から外し、UHF帯の方にも圧縮をかけて、これによって浮いた分の周波数帯波を、今後増えてくると予想される様々な放送、通信、特に携帯電話や無線を使った事業などに有効利用しようというものである。
(3)世界的なデジタル化の流れ
 既に20ヶ国以上でデジタル放送化が進んでおり、中でも、日本、韓国、オーストラリア、アメリカ、カナダの5ヶ国はハイビジョン放送を採用している。また、今後、注目すべき国は大変な人口と受信世帯数を有する中国とブラジルである。特にブラジルでは日本方式の採用を決めており、多くの日本企業が積極的に進出を検討している。

●デジタル化のスケジュールと進行状況
 日本では、2011年7月24日までにアナログ放送は終了することが決まっている。地上デジタル放送は2003年12月から始まっていて、かれこれ4年が経過しているが、依然として普及には課題を残している。総務省の発表では2010年中に現在日本でアナログテレビ放送が受信できているエリアの99.5%はカバーしたいとしているが、この数字からも分かる通り、100%は現実的に厳しいと考えられている。残りの0.5%については、衛星放送やインターネットを利用した補完措置も検討されているが、いずれも容易には進まないと予想される。しかし、いずれはテレビ放送も衛星放送やインターネットと融合される時代がくると予想され、将来、国民の生活を一変させるような大きな変化が訪れる可能性もある。

●地上デジタル放送の特徴
 地上デジタル放送には、以下に挙げる8つの特徴がある。
(1)高画質であること。デジタル放送では解像度が従来の2倍以上になって、よりきめ細かい映像が再現できるようになった。
(2)ゴースト(電波の反射によって画像が二重、三重に映る現象のこと)のないクリアな映像が楽しめること。このため、アナログテレビでもデジタルチューナーを使ってデジタル放送を受信すれば、これまで以上にクリアな映像が再現できる。
(3)専用のアンプやスピーカーを設置すると5.1chサラウンドのまるで映画館にいるような臨場感のある音を再現できること。
(4)電子番組表の機能を持つこと。テレビ画面上に1週間分の番組表が表示され、DVDレコーダーと連動して番組の録画予約をボタン操作ひとつで行うことができる。
(5)データ放送を受信できること。テレビ番組と合わせてお住まいの地域の天気予報やニュース、交通渋滞といった情報を無料で得ることができる。
(6)携帯端末向けワンセグ放送。デジタル放送というのは周波数を圧縮してひとつのチャンネルを13にセグメントして、それぞれにデジタル信号を送っている。ワンセグというのは、その1/13チャンネルを利用した携帯電話向け地上デジタル放送のことである。最近では、地下街や地下鉄の中でも放送が受信できるようにインフラ整備することも検討されており、これによって将来は災害時の緊急放送などへの活用が期待されている。
(7)スポーツ中継が延長になった場合などでも定時番組を遅らせることなくどちらでも同時に視聴できること。
(8)字幕放送や解説放送、更には音声速度を変えられるサービスが可能となること。

●地上デジタル放送を視聴するには
 地上デジタル放送を視聴するには、それぞれ以下のようにご対応いただきたい。
(1)個別アンテナで受信する場合(一般のご家庭)
 まず、受信環境をチェックしていただきたい。お住まいの地域の受信環境は、デジタル放送推進協会(Dpa)のHP(http://www.dpa.or.jp/)で確認することができる。受信環境が整っていれば、アンテナとデジタルテレビかデジタルチューナーのいずれかがあれば地上デジタル放送を視聴することができる。
(2)ケーブルテレビで受信する場合
 局によってはデジタルテレビにそのまま配線を接続するだけで受信できる場合もあるが、専用チューナーが必要になる場合もあるため、ご加入のケーブルテレビ局に受信方法をご確認いただきたい。
(3)共同アンテナで受信する場合(アパート、マンションなどの集合住宅)
 個別で受信する場合と同様であるが、アンテナの設置が必要な場合は、アパートの管理組合などと相談していただく必要がある。
(4)受信障害対策で設けられた共同受信施設を利用している場合
 これまでの共同受信施設はあくまでアナログ放送の受信障害に対応した施設であるため、現在と同様のサポートが得られるかは定かでない。アナログ放送では受信障害があっても、デジタル放送で問題なく受信できるようなケースは、個別でアンテナを設置する必要も出てくるので、共同受信施設を管理する電力会社などに直接お問合せしていただきたい。

●普及動向
 地上デジタル放送は、今年末までには現在アナログ放送が受信できるエリアの92%が受信可能となる予定である。しかし、全国に普及しているテレビの台数は1億1千万台程度と言われており、1世帯辺りでは2.3台という計算になる。電子情報技術産業協会(JEITA)によると、今年9月までにデジタルチューナーなどを含む全てのデジタル放送受信機器は、累計で2,600万台が出荷されたということである。しかし、現在普及しているテレビが1億1千万台とすると、未だ8,500万台のアナログテレビが全国に存在することになる。総務省では来年の北京オリンピック開催までには約半数の世帯が受信機器を揃えるという青写真を描いていて、それに向けて色々なキャンペーンなどを行っているが、果たしてあと3年で全てデジタル化できるかが最大の課題である。1台は買い換えたとしても、寝室や書斎、子供部屋などにあるテレビはまだアナログテレビで十分というご家庭も多いだろう。こうしたアナログテレビもデジタルチューナーさえあれば引き続き利用ができる。当社も手のひらサイズの安価なデジタルチューナーを取り揃えているので、今のエコ時代に合わせて、アナログテレビもできるだけ長く使っていただきたい。

>>目次へ

【新会員自己紹介】

内藤 由治氏
水曜第2グループ

内藤 由治(ないとう よしはる)
株式会社ポッカコーポレーション 取締役会長

【株式会社ポッカコーポレーション】
〒460-8415 名古屋市中区栄4-2-29 名古屋広小路プレイス6階
TEL:052-249-5583  FAX:052-249-9691
URL:http://www.pokka.co.jp

 このほど、産業懇談会水曜第2グループに参加させていただくことになりましたポッカコーポレーションの内藤です。今後とも宜しく御願い申し上げます。
 
  私は三河の豊橋に生まれ、18歳までは田園風景の残る片田舎で過ごしていました。その後名古屋で大学生活をおくり、卒業後は東京・ヨーロッパでビジネスマンとしての旅を続け、四十歳のころブーメランのように名古屋に戻ってきました。それ以降、既に二十年以上名古屋で社会人生活をおくっていますが、異国、異文化を垣間見てきたということと、異業種で働いた経験があるということで、日本の仕組みとか中部での出来事に少し違和感を抱きながら過ごしています。
  中部は日本のへそ、日本は中部の縮図 と公言している方がいますが、正にその通りだと思います。我々日本人は創意工夫をしてコツコツと「ものづくり」に励むことが真髄です。「お金つくり」はまったくど下手くそと言わざるを得ません。しかし少子高齢化、低成長傾向の日本を今後も維持していくためには、コツコツとものづくりに励んで蓄えた1500兆円の蓄財を少しでも適正運用することが今後日本の低成長を助けるキーとなることは間違いありません。となるとこの仕事は、「お金づくり」の上手な外国人に全権委任したほうが良いと思うのは私だけでしょうか。

 新参者ですが、宜しく御願い申し上げます。

>>目次へ

【4グループ合同新年懇親会 開催日程】

産業懇談会「代表幹事のご講話」ならびに「新年合同懇親会」のご案内

日時

平成20年1月22日(火)17:30〜20:00
17:30〜18:30 岩崎代表幹事のご講話
18:30〜20:00 新年合同懇親会

場所 名古屋観光ホテル 電話:052−231−7711
講演会:2階 曙(西)の間/懇親会:3階 桂の間
ご講話演題 「多文化共生―和を以って貴しとなす―」
懇親会費 5,000円
※当日、講演会場受付で頂戴いたします。
※講演会のみご出席の場合は会費不要です。
本状ご案内先 代表幹事および産業懇談会メンバーの皆様
事務局連絡先 電話:052−221−8901 (担当:内田・藤原)
そ の 他 ◆食事の手配など準備の都合上、ご出席の場合は、ご案内状に同封しておりますFAX用紙で1月15日(火)までに必ずお知らせ願います。(代理出席はできませんのでご留意ください。)
◆懇親会のお取り消しにつきましては、1月18日(金)までにお知らせください。それ以降にご連絡いただいた場合は、会費を申し受けることになりますので、悪しからずご了承願います。

>>目次へ

【お知らせ】

産業懇談会メールマガジン配信について

メールマガジンの配信は無料です。配信をご希望でない方はお手数でも下記ボタンを押して、メールをご返信いただければ幸いです。ご意見などございましたら、そのメールにお書き下さい。

メールマガジンの配信を ○希望しない

>>目次へ


【コラム】

花ちゃんからの健康だより
〔花ちゃんからの健康だより〕 No.45

財団法人 愛知健康増進財団
保健師 佐藤 花子

『 支援のスタンス 』の話

 もう今年も終わりですね。中日ドラゴンズファンにとってはとても感激の記念すべき年になりました。落合監督の人間性が光って見えたのは私だけでしょうか。
 先月、アルコール依存症や薬物依存症などの「問題の周辺と本質」について、私的な勉強会に参加してきました。講師は長く精神病院勤務をした人で、豊富な臨床経験からの話は心にずしりと響きました。
 問題行動のひとつに「依存症」があります。依存症は昔からあり、嗜癖(しへき)と呼ばれていましたが、30年前より病気として扱われるようになりました。依存症になるものとしては、アルコール、ドラック、食べ物、買い物、ギャンブル・・・など。アルコールを例にすると、ストレス解消という目的のために手段としてアルコールを飲んでいたのに、習慣となり、飲むという行為そのものが目的になった状態がアルコール依存症です。つまり、手段と目的が入れ替わった状態が依存症です。
 家族や職場において、もし問題行動を起こす依存症の人がいると、問題を維持してしまう現象がおきます。問題行動が治るように支援しているつもりが、いつの間にか問題維持システムを構築してしまうという共依存」がおきます。共依存とは迷惑をかけられても、無意識にその人を支えてしまうこと。
 ある友人がこんなことを言いました。「自分は離婚して良かった。なぜならば離婚して貧乏になったために、息子はニートになるタイプだったのにニートにならずに済んだから」と。離婚は息子が一浪中の出来事で、貧乏なら仕方がないと、自らアルバイトを始めて、それから家を出て自活し、就職・結婚をしたそうです。(ニートとは遊びなどが楽しくて勉強も就職もしないで自活しない人をいいます。)
 やさしくて、余裕のある人ほど、依存症の人に関わって共依存を起こし、問題行動を続けさせてしまう可能性があることを、心のどこかにおいておく必要があります。したがって、依存症の人、依存傾向にある人と関わるときは、「あっ、そう。」「分かった、分かった。」とあっさり関わる。この簡単なことが意外に難しい。関わってしんどさが残るときはそれができていない。共依存にならないためには、冷静になって自分の都合を第1に優先しましょうというのが講師からのメッセージ。
 今年1年を振り返ると、様々な人との出会いがありました。元気や勇気を与えてくれた人やそうでない人もいましたね。ほめられ叱れ、愛され嫌われ、そんな中で私たちは自分を築いています。本当に1年間お疲れ様でした。健やかに良い年をお迎えくださいますようお祈り申し上げます。

健康メモ意外に人は自分の心の中をうまく言葉にできない。 「本当のところはどうなの?」と質問をしてみよう。
(おせっかいおばさんより)

>>目次へ

コラム【プログレスシリーズ】

株式会社リーダーズドメイン代表取締役会長
窪田経営塾塾主
窪田 貞三

『企業の進歩発展のヒント:No.33』

【 任せることと放任の違い 】

 「仕事を任せる」「管理を任せる」など、企業組織内では「任せる」という言葉が日常使われています。任せるとは権限を委譲するということでしょう。しかし、この任せるという言葉ほどいい加減な言葉はありません。任せる側の勝手な期待と、任せられた側の勝手な意志が働き、すれ違いが生まれ、結果的に「もう任せてはおけない」といった状況になり、権限を奪うことがあります。もちろん、任せた側と任せられた側の意思疎通が出来ている「ツーカー」の関係であればこのような状況にはならないかもしれませんが、例えば企業内で経営者が管理職社員に対して管理を任せ、管理された社員達から不平不満が出て仕事が捗らない等というケースがあり、その状況を知った経営者が直接社員から事情を聴き、管理職に対する不信感が生まれるということがあります。
任せる時に必要なことは「なんのために、なにを、どのように任せるか」と、「両者の責任と権限」を明確にするということです。任せるという言葉が実は放任になっていないか?常に考えてみることが必要です。

・・・・ <事例研究>  歴史人物シリーズ−16 「 徳川家治 」 ・・・・

 9代将軍家重が暗愚であったのに対し、10代将軍家治は聡明でした。そんな家治を8代将軍吉宗は大変期待し西の丸において直接指導しました。しかし、その後吉宗が亡くなり家重の下で御用人政治を行っていた大岡忠光も亡くなり、実力ナンバー2の田沼意次に引き継がれました。これが後に10代将軍家治の運命を決定付けたのです。家重が亡くなる時に「田沼に任せろ」という言葉を残し、その言葉を家治は忠実に守りました。家治は幕政を全て田沼に任せ、幕政の中枢から離れました。また、家治は側室おちほとの間に生まれた家基を世子と認め育てましたが18歳で亡くなってしまったため、家重の弟一橋治済(宗尹)の孫である家斉が11代将軍となりました。しかし、田沼と一橋が通じていたため、田沼が家基を毒殺したのではないかという噂があったようです。

事例へのコメント

 10代将軍家治が田沼意次に幕政を任せたことが良かったのか悪かったのか?それを考えることも重要ですが、任せ方が良かったのか悪かったのか?を考えることも重要です。少なくとも家治の任せ方は放任であり、リーダーとしての立場を放棄したと言えます。最近マスコミを騒がせている(騒いでいる?)企業の不祥事を見ていると、経営トップの責任を問う声が目立ちますし、確かに経営トップには最大の責任があるでしょうが、現場を預かる管理職のあり方について大変疑問を感じます。現場にいなければ分からないことを現場にいないトップが判断決断するためには、任せられた現場の管理職のシッカリとした責任感が必要で、その権限の行使理念に基づいて行うべきです。

現場を預かる管理職には責任感と理念に基づいた権限の行使が求められる

●プログレスとは

 プログレスとは、『新時代経営コンサルティング手法』として、私の会社である株式会社リーダーズドメインにおいて企業経営ご指導法として用いているもので、日々多くの企業と関わらせていただいています。同じように努力していても「潰さないための経営」より「進歩発展のための経営」のほうが企業組織は生き生きとするでしょうし、企業におけるマイナス面の分析でも、「成り立たせるための分析」よりも「進歩発展させるための分析」のほうがより良い組織創りに繋がる---と言う考えを土台に持ったものが、このプログレスです。

>>目次へ 

コラム【苗字随想】
〔苗字アラカルト〕 No 67

片桐清志

『  ネズミあれこれ 』

 今号は年末恒例となった「干支」シリーズのネズミにまつわる苗字を紹介する。
 「鼠」で始まる苗字も少ないがある。さすがに一字姓の「鼠」は無いが「鼠入(ネズイリ・ソイリ・ソニュウ)」「鼠山(ネズミヤマ)」の2種類が見つかった。
 しかし「子」で始まる苗字は42種で、今年の「亥」の9種よりずっと多い。ただしその多くは「コ」という発音が主流で「ネ」という発音を含む苗字は13種しかない。干支で使う「子」と子供を表現する「子」は漢字誕生のルーツが違うようだ。十二支の「子」は、こどもの頭の髪の毛がドンドン伸びる様子の象形文字で、「ふえる・しげる・のびる」意を込めた文字とのことだ。
 「子」には一字姓がある。読み方は「ネ」は残念ながら見つからないが「コ・シ・シゲル」がある。以下に「ネ」の読み方を含む13種の苗字を列挙しておく。「子上(ネガミ・コガミ)」「子々津(ネネツ)」「子出藤(ネデフジ)」「子吉(ネヨシ・コヨシ)」「子地上(ネチガミ・コチカミ等)」「子子(ネコ・ネゴ・ネノコ・ココ)」「子島(ネジマ・コジマ)」「子川(ネガワ・コガワ)」「子師(ネジ・シシ)」「子日(ネビ)」「子松(ネマツ・コマツ)」「子林(ネバヤシ)」「子此木(ネコギ)」だ。
 「子」姓でユニークな苗字では「子守(コモリ)」「子安(コヤス)」「子宝(コダカラ)」「子宮(コミヤ)」「子玉(コダマ)」「子産坂(コウミザカ)」「子等(コラ)」「子養(コカイ)」「子鶴(コツル)」が見つかった。
十二支またぎでは「亥子」は見つからなかったが「猪子(イノコ)」が見つかった。

>>目次へ


【平成19年12月号編集後記】

 今年も最終便をお届けする時期になった。例年のことだがこの時期は十大ニュースが紙面を賑わす。しかし今年ほど絞り込みに苦しむ年も珍しい。安倍総理の突然の辞任、守屋事件、原油高騰、サブプライム問題、食品表示の偽装問題続発、銃による事件多発、角界騒動、異常気象等「まさか」が連日のように報じられた。今年の漢字が「偽」というのもうなずけるが、なんとも情けない。来年は軌道修正の年にしたいものだ。
 さて当会の活動は、12月は各グループとも懇親会なので先月号に間に合わなかった11月の例会模様2編の掲載になった。住田氏(大日本インキ化学工業)には「色彩学」の基礎を学ばせてもらった。まさに百年企業のノウハウの一端を垣間見る思いだ。しかも色の世界でもユニバーサルデザインが導入されつつあるという。関係者の今後の取組みに注目したい。
 瀬尾氏(マスプロ電工)には「地デジ」のあれこれをご紹介いただいた。すでに地デジの筋の良さを享受している会員も多いと思うが、動向や背景を専門家の見地から体系的に解説いただいくと納得できる事が多い。従来のアナログに比べ地デジ画質の良さは目を見張る。年末のボーナス商戦でも薄型TVが牽引していると聞く。技術革新が早く、次々に新機種が登場するためどのタイミングにしようかと躊躇しがちだ。しかし毎日利用することを考えると早めの切り替えが得策だろう。まさに「百聞は一見に如かず」、「百見は一験に如かず」だ。早めの体験をお奨めする。
 来月は4グループ合同で岩崎代表幹事の「多文化共生―和を以って貴しとなすー」をお聴きする。これからの中部に関するヒントがたくさん伺えそうで今から楽しみだ。
この1年間「産懇宅配便」をご愛読戴きありがとうございました。来年もよろしくお願いします。

(片桐)