第36号 2005.5.25発行



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平成17年5月度(第36号) 目次
【17年4月度産業懇談会(火曜G)模様】 4月19日(火) 12時30分〜14時00分
【17年4月度産業懇談会(水曜1G)模様】 4月20日(水) 12時30分〜14時00分
【17年4月度産業懇談会(水曜2G)模様】 4月27日(水) 12時30分〜14時00分
【17年4月度産業懇談会(木曜G)模様】 4月28日(木) 12時30分〜14時00分
【17年5月度産業懇談会(火曜G)模様】 5月10日(火) 12時30分〜14時00分
【17年5月度産業懇談会(水曜1G)模様】 5月18日(水) 12時30分〜14時00分
【17年5月度産業懇談会(水曜2G)模様】 5月11日(水) 12時30分〜14時00分
【17年5月度産業懇談会(木曜G)模様】 5月12日(木) 12時30分〜14時00分
【新会員自己紹介】
トヨタ自動車株式会社 常務役員
山崎 輝彦 氏
エス・ビー・エム株式会社 取締役社長
矢島 典明 氏 住友生命保険相互会社 常務執行役員中部営業局長
杉野 修 氏 太平工業株式会社 名古屋支店 執行役員支店長
【6,7月度産業懇談会開催日程】
【お知らせ】
【コラム】
コラム1  『愛・地球博の魅力』
      「JR東海 超電導リニア館」のご紹介
コラム2 
『花ちゃんからの健康だより』
コラム3 『プログレスシリーズ』
コラム4  『苗字随想』

17年4月度産業懇談会(火曜G)模様

 テーマ:『 ダムの話 』

日 時: 4月19日(火) 12時30分〜14時00分
場 所: 名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間
参加者: 23名

スピーカー:
    宮口 友延(みやぐち とものぶ)氏
    株式会社永楽開発 取締役社長

1 奥美濃水力発電所について
 中部電力奥美濃水力発電所は、揚水式発電所としては全国二番目の規模を誇る。1975年調査を開始し1994年に完成した。総工事費は2,150億円、最高出力150万kwの能力をもつ。揚水発電所には、高さが違うダムがあり、夜間の電力を有効に使って下ダムから上ダムに水をくみ上げ、それを需要の多い昼に放流して発電する。特性として、kw当りの建設費が安いこと、需要に瞬時に対応できること、基幹給電所から運転ができることなどが上げられる。構造の異なる3つのダム(アーチダム・重力ダム・ロックフィルダム)があり、それぞれ特徴をもつ。ダムの初期たん水試験には、最も気を使って安全性の確認をしている。


2 ダムの機能
 ダムには、治水・利水・航運といった機能があるが、日本のダムは総貯水量は204億立方メートルで、治水と利水が目的。 アメリカの連邦管理ダムの1/15以下の貯水量に過ぎない。
 ヨーロッパ大陸では、ライン川とドナウ川を結ぶ欧州マインドナウ運河(黒海と北海6,000qを数千トンの船が運航)があり、船の航行のために、両川には数多くのダムがある。オーストリアのドナウでは300qにダムが10個所あり航運と発電を行い、ビオトープに対する配慮も徹底している。アメリカのフーバダムは、20世紀の土木技術の金字塔ともいわれ、この設計法は現在でも世界のスタンダードとなっている。大恐慌のさなかルーズベルトの提唱により建設(1931〜1936)、アメリカ最大の貯水池(352億立方メートル)をもち、西海岸に繁栄をもたらした。建設費1億7,500万ドルは国庫から50年契約で借金、水と電力を売る事で、利息を含む2億6,000万ドルを1987年に完済。また中国の三峡ダムは、重力式ダムで、堤長2,309m、堤高175m、堤体積1,486万立方メートル、貯水量393億立方メートル、発電1,800万kwという巨大なもの。1993年に着工、2009年に完成予定。重慶まで1万トンの船が航行できる。総工事費は2,000億元(3兆円)で、1,500億元が中国政府資金で、順調に建設されている。


3 ダムの事故
 20世紀になって人命が失われる事故が多発した。フランスのマルパッセダムは、カンヌ地方リビエラ川にあるアーチダムだが、世界一薄いダムとしてアンドレ・コインによって設計された。初期貯水中の1959年12月2日、数日前からの激しい雨により水位が急激に上昇し、右岸の基礎岩盤が連続性のシームに沿って滑動、突然崩壊した。フランス政府は今も破壊状態をそのまま保存している。この教訓から浸透水流の作用などを明らかにする「岩盤力学」が誕生した。(日本の黒四ダムの現地岩盤試験はこの岩盤力学を大きく発展させた)。またイタリアベーネト地方のバイオントダムは、薄肉アーチダムで世界最高の高さ265mを誇る。1963年10月9日、左岸の巨大な岩塊が貯水池に秒速30mで滑落、岩石はダム上流1.8qにわたって貯水池を埋め尽くした。それにより貯水は、ダム天端を100mの高さで一瞬にして越え、洪水波は70m以上の高さで下流の町を飲み、2,600名が犠牲となる惨事になった。ここからは、貯水池周辺の地すべり調査が地点選定に重要であるという教訓が残された。ただダム自体は400万トンの過剰な力を受けたにもかかわらず、損傷はなかった。
 いずれにしてもダムは、洪水調節や水資源の開発の最も有効な手段であり、国際協力を行いながら、その安全性、経済性、合理性を追求していくことが求められる。

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17年4月度産業懇談会(水曜1G)模様

 テーマ:『 最近の建築の動向と非加熱による有害化合物の分解技術について 』

日 時: 4月20日(水) 12時30分〜14時00分
場 所: 名古屋観光ホテル 18階 オリオンの間
参加者: 19名

スピーカー:
    岩部 一好(いわべ かずよし)氏
    岩部建設株式会社 取締役社長


1 免震建築について
 新潟中越地震の時に、免震工法で建てられた病院の入院患者が地震に気づかないくらい揺れを感じなかったというケースがある。免震工法では、震度8の地震を2.5くらいまで低減できる。この構造は、建物と基礎を切り離し、そこにクッションとなるゴムの積層板を入れ、地震の揺れをダイレクトに建物へ伝えない仕組み。建物をジャッキアップしておいて、基礎の間にゴムを入れることにより、既存の建物を免震構造に改造することも可能。従来の施工方法では10階以上は鉄骨鉄筋コンクリート構造だったが、免震構造にすれば15階でも鉄筋コンクリート構造でよいため、コストが下がる部分もある。そのためコスト的には10%ほどのアップで建築ができる。


2 リファイン建築について
 リファイン建築とは、耐震性・耐久性・安全性・デザイン性など建物に関わる様々な要素を総合的に向上させ、古い建物を再生する手法。基礎工事や建て替えが不要なため、工期が短くて済み、半分くらいのコストで古い建物を新築のようにすることができる。少子高齢化社会の中で、保育園を老人施設にリファインするなどの需要が見込まれる。


3 非加熱による有害化合物の分解技術について
 この技術は、ラジカルプラネット機構の真目社長が開発したもの。2004年4月の「官報」で「機械化学分解方法」として告示された。仕組みは、外容器の中に、砲丸投げの砲丸のような鉄の玉の入った複数の内容器があり、それぞれを逆方向に回転させる。PCBやダイオキシンのような汚染物質を内容器に入れておき、その回転で有害物質を構成する原子や分子の結合を切断し無害化する。特長は、処理過程で加熱しないため排水や排ガスが発生しないこと、移動が制限されている危険物保管場所へ処理装置を運び込み、そこで汚染された土壌などが処理できることなど。現在、沖縄に処理プラントを計画中。今後、更に用途の拡大を図るとともに、事業化へ向けての取り組みをしていきたい。

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17年4月度産業懇談会(水曜2G)模様

 テーマ:『鉄鋼流通について』

日 時: 4月27日(水) 12時30分〜14時00分
場 所: 名古屋観光ホテル 18階 オリオンの間
参加者: 23名

スピーカー:
    山崎達之(やまさき たつゆき)氏
    阪和興業株式会社名古屋支社 
    常務取締役支社長 



1  阪和興業について
 創業は、昭和22年(1947年)。東証・大証一部上場の専門商社で、扱っているものは、鉄鋼・非鉄・食品・燃料・木材・機械など(鉄鋼が55%程度を占める)。2004年度の売上げ予想は、約9,000億円。独立系商社としての特色をもつ。 


2 鉄と人類
 地球は「鉄の惑星」。鉄の元素は宇宙で最も安定しているが故に、地球上で最も多く存在する。その鉄がなければ生命の起源はなかった。その理由は3つ。
 1つ目は、適度な重力で大気を保てたこと。
 2つ目は、地磁気により宇宙線や太陽風から保護したこと。
 3つ目が、鉄イオンが海水を中和し、生物の源の、現在の海を産み出したこと。
 又その結果、海底に大量に溜まった酸化鉄が隆起により地上に現れ、鉄鉱石として使われるようになった。
 鉄の可採埋蔵量は他の元素に比べて非常に多い(鉄鉱石2,320億tに対しボーキサイトは280億t、銅6.1億tなど)。宇宙という錬金術師が地球を「鉄の惑星」に仕立て上げたから、人類が誕生し、又その鉄が人類に高度な文明をもたらした。
 より良い道具を求め、旧石器時代から新石器時代、そして鉄器時代と文明が発達していった。鉄を作るのには高温が必要(銅の融点が1048℃、鉄が1536℃)であり、熱源と還元剤としての木炭の大量消費による森林破壊から石炭が利用されたが、石炭では不純物が多く、良質な鉄ができなかった。産業革命により現在のような良質な鉄ができるようになり、「新鉄器時代」を迎え今日の文明社会が誕生した。


3 鉄鋼業界の現状 
 日本の粗鋼生産量は、復興とともに戦後60万tからスタートし、1973年には1億tの大台までに急激に増加した。戦後、粗鋼生産量の面で拡大期が4つあった。1つめが高度成長期の1973年。建設・造船・自動車の設備投資がすべて活況を呈し国内需要が拡大、供給力が不足していた。輸出も好調で、鉄鋼メーカーは相次いで製鐵設備を増強した。第一次石油危機により狂乱物価となり、鋼材市況は需給タイトな中で主要品種が10万円を突破した。2つめは内需安定成長期1979年。高度成長から第一次石油危機を脱し、緩やかに上昇した。建設は公共投資の抑制を民需が補い、造船は大幅回復、自動車は初の1千万台超えとなった。輸出は中東向けが急拡大、アジア向けは通貨危機で減少した。
 鋼材市況は高いながらも73年のような高騰にはならなかった。3つめはバブル景気の1990年。85年のプラザ合意以降、急激な円高から大規模経済対策を機に構造転換が進行した。内需主導で住宅投資や公共投資を皮切りにバブルの様相を呈した。建設、自動車・電機などが堅調な個人消費により急拡大した。一方で輸出は減少、価格は高水準のところで横ばいに推移した。その後バブル崩壊とともに鉄鋼業の暗黒期1998年を迎える。ゴーンショックにより、メーカー、商社それぞれ再編成が進んだ。そして今回2004年、中国経済の急拡大で輸出は高水準。素材ブームが起こった。しかし、高炉メーカーは新設備投資には慎重、その結果能力一杯フル生産。市況は原材料価格の高騰により、ものによっては2倍3倍と急上昇した。


4 鉄鋼流通の特殊性 
  鉄鋼は重くかさばるため、その物流は容易ではない。装置産業なので、作り手は大量生産するも、ユーザーは少量ずつしか使用しない。そのためダム機能が必要となり、中継拠点、加工基地でかなりの在庫を持たざるを得なくなる。また104年前の官営八幡製鉄所の創立以来、限定された窓口商社制度のため流通は閉鎖的である。鉄は金属材料の95%を占めるが故に、「産業の米」と言われる。その分景気動向に変動を受けやすく、価格変動巾も大きい。またトン当り単価で取引されるため、取扱いには膨大な資金が必要とされる。

5 鉄鋼商社の生きる道 
 戦後、雨後の筍のように創業された鋼材問屋も、相場の上り下りの激しい波をかぶり、独立系一次窓口商社として、戦後創業された中では最終的に我が社一社のみが生き残った。
 今現在、古い体質の鉄鋼流通業界にも、新しい時代の波が押し寄せてきている。IT化が進み、単なる中継業の商社は不要。我が社も生き残るために、グローバルな展開力(現在海外40ヶ所の拠点あり)とユーザーの立場に立ったサービスの提供、物流の充実(物流を制するものは商売を制する)、資源開発への投資(クロム鉱石確保のためサマンコール社(南ア)への出資など)等、鋭意努力している。日本の鉄鋼業の未来は決して暗いものではない。そしてその流通に関しても、鉄の持つ特殊性を生かすことにより、よりダイナミックな商売展開が出来ると確信している。大いに面白みがあり、やりがいのある仕事である。

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17年4月度産業懇談会(木曜G)模様

 テーマ:『グローバルスタンダードにおける健康観 〜長寿の格差〜』

日 時: 4月28日(木) 12時30分〜14時00分
場 所: 名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間
参加者: 19名

スピーカー:
    江崎 柳節(えさき りゅうせつ)氏
    医療法人柳雪会 江崎外科内科
    理事長兼名誉院長


1 日本人の寿命の変化と考え方の変化

 紀元前2000年(縄文時代)には18才だった寿命が、1945年終戦の年には49.8才、1957年には50.2歳となり、寿命は4000年で30才伸びたことになる。そして2003年には男性78才、女性85才となり、ここわずか50年で寿命が更に30才伸びている。人類の歴史は、400万年前に猿人、10〜20万年前に原生人、200年前に現代人という過程をとる。生活習慣病が発生したのは、肉をたくさん食べるようになった200年前頃からで、人類を24時間で考えるとたった4秒前。人類はもともと飢餓には強いが飽食には弱く、こうした飽食の悪い習慣は、現代の健康において大問題である。
 森内閣の頃、堺屋太一経済企画庁長官が閣議で以下のことを決めた。「平等とは、機会均等にチャンスを与えて、あとは人々の努力で生ずる格差を容認する事」。何でも国が守ってくれるという時代ではない、自分たちの責任になる、ということが国民に伝えられた。


2 生活習慣病の理解

 生活習慣病とは、体の負担になる生活習慣を続けることによって生ずる病気。数年前までは「成人病」と言われていたが、成人のすべてが罹患するわけではなく、その人の生活習慣に起因するもの。糖尿病などはまったくのわがまま病である。
 高血圧、高脂血しょう、糖尿病から最後にくるのは動脈硬化。血液循環が止まったときが人の死なので、血管を弱めない、循環状況を悪くしないことが生命にとって非常に大切。
 がん。早期に発見した直径1pくらいのがん細胞であれば、手術などで必ず完治する。しかしこの怖さは、細胞が倍々ゲームで増える、細胞が転移する、細胞が猛毒(全身を衰弱させるに十分な毒素)を出す、などがある。胃がんはどんどん減少しているが、前立腺がんは増加傾向にある。これは血液検査PSAで発見が可能。前立腺がんと前立腺肥大症は間違いやすいので注意が必要である。


3 生活習慣病の予防

 太りすぎに注意。1日30食品目を取る。塩分は10g/日以下に。バターよりマーガリン。砂糖は50g/日以下。まず歩こう、1万歩/日。飛んでけストレス、お酒は自分のペースで。絶対禁煙。年に一度は健康診断。加えて、がんに対しては、熱いものはさましてから。こげたもの、カビの生えたものは食べない、など。
 長寿のための食事療法として、おかずはそのまま、ごはんを7分めにする。間食は一切しない。そうすればほどよいカロリー摂取になる。動物の脂より植物の脂を。コレステロールの多い食事は控える。青魚はよい。青野菜、食物繊維をしっかりとる。味付けはなるべく薄く。ブレスロー(UCLA教授)の長生きの7カ条とは、適正な睡眠時間・適正な体重維持・定期的な激しい運動・毎朝食の摂取・禁煙・過度な飲酒なし・間食なし。この項目を5,000人に対して調査し、70%の人に長生き効果があることが確認された。


4 グローバルスタンダードの健康

 WHOは、人間の健康の定義を変えてきており、「肉体的・精神的・社会的・奉仕性・福祉性」これらすべての面において健康でないとグローバルスタンダードの健康とはいえない。
 最も幸せな人生、成功した人生とは、主観的な満足感のある人生で、健康な日常、精神的な充実、過不足なき経済、他人への奉仕から得られる尊敬、これだけのものが揃う必要があるとされる。人生哲学であるサンスクリットの教えの中に、幸福の三角形がある。「周囲から得られる愛と尊敬」、「自ずから進んで行う良心・奉仕」、「適当で過不足なき富」、これだけ揃うと幸福で心が満足される。事業でいえば、正しい質のものを正しい量だけ提供して、正しい様態で世間に心配りする、これが満足感のある事業活動。人生の黄金律としてジョゼフ・マーフィーはいう。「あなたの人生は、あなたが心に思い描いた通りになる」と。念ずれば花開く。成功、失敗を分けるものは決して偶然や運命ではなく、すべての人に生まれつき備わっている潜在意識をどれだけ活用できるかにかかっている。
 現代の退職者の満足度をみると、予想以上に満足というのが最も多い。長寿時代の意識改革として、長寿は自己責任という意識をもつこと。自分の意識次第で長寿を妨げる要素をかなり予防できるということを見直すこと。長寿に耐えうる生き甲斐の開発も必要だろう。自分が60〜85才にすることを、今から仕込んでおいて、この年代を本当の意味でのゴールデンエイジとしていっていただきたい。

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17年5月度産業懇談会(火曜G)模様

 テーマ:『欧州事情』

日 時: 5月10日(火) 12時30分〜14時00分
場 所: 名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間
参加者: 18名

スピーカー:
    足立 邦彦(あだち くにひこ)氏
    株式会社NTTドコモ東海 特別参与



1 EUは進化する組織
 理想的なヨーロッパ人ということで、ユーモアあふれるドイツ人、料理のうまいイギリス人、慎重な運転のフランス人、などと皮肉を込めたユーモアで表現される。このようないろんな人が集まってEUという1つの組織を作ろうとしている。EUの共通理念とは何であろうか。安全保障的なもの、日米の市場経済に対極するもの、神聖ローマ帝国など洗練された文化へのあこがれなど、いくつかのバックボーンがやわらかに結びついたもの。それゆえ、その時々の環境に適合し進化する組織になっている。
 EUは、これまで大きな共通市場を作るため「ヒト」「モノ」「カネ」「サービス」の自由な移動を目指してきた。そのため国家的側面を整備しようとしているが、国家には成りきれない現実と矛盾(EU憲法・EU大統領)がある。また加盟国は現在25カ国まで増え、そうした巨大化による国際影響力の向上と求心力の維持が課題になっている。公用語をとってみても、国連は6つに対してEUには20もの公用語がある。
 歴史的に見ると、1950年独仏の採掘争い調停のための石炭鉄鋼共同体に端を発し、1958年にはEEC(欧州経済共同体)結成、1967年EC(欧州共同体)として発足。1989年ベルリンの壁崩壊、1991年にはソ連が崩壊、そうした冷戦の終結とともに、1993年EU(欧州連合)が発足した。2002年1月には共同通貨(EURO)が導入され12カ国で使用されている。EUすべての共通通貨とするには、イギリスがポンドを捨てられるかが大きな課題。2004年5月には新たに10カ国を加え、加盟国は25カ国という大所帯になった。これらの国の間では経済格差が大きいなどの問題が出てきており、ややEUの性格が変わってきている。NATO(加盟26カ国)との関係では、EUと両方加盟している国が19カ国にのぼっている。


2 際立つスイスの特異性
 スイスは、自分たちで努力しながら、知恵を出しながら、勝ち得てきた特異性を持つ。26の州からなり、九州とほぼ同じ面積で、人口は約700万人。2002年国連へ190番めの国として加盟した。永世中立国であるが、国民皆兵制をとっている。2002年に国民投票を実施したが投票率は58%とものすごく高く、国への高い関心がうかがわれる。またコミュニティ、州、国という順序で、下から積み上げる意識も高い。州単位の投票もあり、何を公用語にするかなど州で決めている。
 日本でも憲法改正などの問題に対し、国民投票という制度があってもいいのではないかと思う。


3 日・米・欧 関係は不等辺三角形
 日本とアメリカの関係は近いが、それに比べEUとはやや遠い。神との距離はどうか、アメリカは非常に近い。大統領の演説の中には必ず神が出てくる。EUでは政教分離が進んでおり、政治に神は出てこない。
 欧州とアメリカは、政治で多少ちぐはぐしても、経済では強く結びついており相互依存している。しかし欧州は、欧州としての独立性、欧州として独自のものを作っていこうという考えを強く持っている。例えばGPS、日本ではアメリカにすべて頼っているが、欧州では更に進んだGPSの開発に向け、盛んに研究活動を行っている。欧州は国の数が多いため、数の影響力がある。国連でも、アメリカ・日本は1票だが、EUは25票もある。そうした数の論理が有効に作用することがある。将来あるかもしれないリスクをヘッジするにも有効だろう。

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17年5月度産業懇談会(水曜2G)模様

 テーマ:『本屋という仕事』

日 時: 5月11日(水) 12時30分〜14時00分
場 所: 名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間
参加者: 24名

スピーカー:
    谷口 正明(たにぐち まさあき)氏
    株式会社正文館書店 取締役会長




1 出版業界について
 出版販売の流通経路は、4,5千社ほどの出版社から30社ほどの取次販売店を経由し、22千社ほどの書店で販売される。このルートが最もポピュラーで、全体の6割以上を占めている。出版業界の市場規模は、2兆2千億円程度でありここ数年縮小してきている。新刊の発行点数は、日当り280点にのぼり増加しているが、出回り部数は減少している。この業界の2つの特殊な柱は、再販売価格維持制度(=定価販売)と委託販売制度(実態は返品条件付買切り)。制度によって定価が守られており、再販が外れたときにどうなるのか、また委託販売のため一体どこで売上げを確定できるのか、など問題が指摘される。またポイントカードによる顧客獲得が再販制度に抵触するなどの問題もある。
 本屋を取り巻く環境は、非常に厳しいものがあり四面楚歌、八方塞の状況である。少子化、消費低迷に加え、本が供給される場所が変わってきた(コンビニ・新古書店・漫画喫茶・図書館など)。図書館は、家庭で買えない本を買い支えるのが本来の主旨だと思うが、最近は利用率向上が主眼となり、同一地域の図書館が同じ話題本を大量に仕入れ無料貸出するなど、本屋の競合的な存在となっている。また本以外のもので時間が費やされ、読書離れが進んでいる。(インターネット、携帯電話、電子辞書、ゲーム、フリーペーパーなど)インターネットは、これを通じ本が買えるし、あらゆる情報もそこから得られる。携帯電話を使ったデジタル万引きも最近の問題で、携帯電話のカメラを使って本の内容を写していってしまう。ただ最近いい傾向として、学校での朝の10分間読書などもある。


2 本屋という仕事の特長
 本屋にはすばらしいことがいくつもあり、私は祖父が87年前に本屋を始めてくれたことを感謝している。
 (1) プラスの職業である=マイナスの職業は、その人たちが忙しいと世の中があまりよくない職業、例えば警察、医者、弁護士など。これらは社会的には本当に大事な仕事ではあるが。本屋は森羅万象のことを伝えられる。(2) お薦めできる=あらゆるものの中から本当に好きなものをお薦めでき、喜んでもらえる。(3) 出会いの場=人間の考えたおおよそすべてのことが本に書いてあるので、そうしたものとの出会い、老若男女、多くの人との出会いがある。(4) 文化の担い手=本を扱うということは、文化を担っているという感覚を感じやすいし、そういう自負を持っていたい。


3 正文館書店の考え方
 (1) この指とまれ=ニーズやウォンツより先に、自分の考え、夢や希望がある。それを伝え、共感を持ってくれる人に集まってもらいたい。「利潤の追求」はあくまで手段。(2) 企業は出会いの場=人との出会い、やりがいとの出会いの場。社員が誇りを持てる会社、満足感を味わえる会社にしたい。会社の基本理念は「あの正文館さんにお勤めですか、といわれる会社にしよう」「ウチの会社いい会社だよ、といえる会社にしよう」というもの。(3) 日本文化伝承のために=本は言語である。言語として日本語は欠かせない。日本文化を忘れてはいけない。言語はコミュニケーションの道具であるだけでなく、人格形成に必要なもの。自分の思想や概念を形作っていくもの。この重要性を忘れてはいけない。

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17年5月度産業懇談会(木曜G)模様

 テーマ:『私の経営観』

日 時: 5月12日(木) 12時30分〜14時00分
場 所: 名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間
参加者:21名

スピーカー:
    栢森 新治(かやもり しんじ)氏
    ダイコク電機株式会社 相談役




1 仕事も遊びも人間関係
 
 同友会へのご縁はお世話になっている方々の関係から、またパチンコ業界へ参入したのも紹介していただいた人がいたおかげ。現在「だるまの会」という8人のグループで活動し、それぞれいい影響を与え合っているが、ここのメンバーはいずれも一代で東証一部上場規模の会社を作り上げた創業者。倒産もしくは倒産間際から見事に会社を復興させている。仕事も遊びもみんないい人間関係から生まれると考えている。

2 成長はハングリー精神から
  私は、24歳の時、金なし、コネなし、知識なしで、やる気だけを持って独立した。当時は仕事が無く、仕事を求めて東奔西走していた。ある商社の担当者を通じ、バッティングセンターのシステムに関わった。ここで他にないシステムが作り上げられたのはハングリー精神があったから。高1の時に人生計画表を書いた。自分は絶対社長になり、40歳からは社会奉仕をする、というもの。どうして社会奉仕をしようと思ったかというと、戦死した父の遺言の一番目に「自分は国のために死んでいくが、子どもたちも国のために役立つように育ててくれ」と書かれていた。母親もそれを誇りに思っていたし、自分も人々のためにほんの少しでもいいから役立つ人間になりたいと思った。ちょうど40歳の時にライオンズクラブに誘っていただいたので、入会させていただいた。幼なじみの2人から学生時代影響を受けたが、彼らもハングリー精神を持ち続けていた。やる気があれば親からびた一文もらわなくても大学を出て司法試験までもパスできる。今、子どもに自分は人生計画図を書いたと話しても「ふぅん」というだけで、自分もやろうとは言い出さない。昔とは社会環境も家庭環境も違うから仕方ないが、今はハングリー精神を持ちづらい環境になっている。ハングリー精神がないと夢も持ちづらい。

3 重要な業界のポジショニング
 どんな商売でも、創生期、発展期、衰退期までひとつのカーブがある。大事なのは、その業界がどういう位置にあるのかという見極め。今は相手に打ち勝って商売する時代ではなく、相手のいないところで商売するのが先である。誰もやってない時は、どんな未熟な技術でも入りやすいが、完成された市場には入りにくい。私がパチンコ業界に入った頃、ホール制御のコンピューターを扱っている業者は1,2社しかなく、これからという市場であった。創生期であったことが、会社を伸ばす1つの要因であった。会社は人材ではない。10人の会社には10人規模の人材しか集まらない。ひとつの軌道に乗れば、会社は大きくなり人材も集まる。これからの事業は、ライバルのいない業界や、自分の製品で新しいファンができるような業界を狙うことが肝要であろう。

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17年5月度産業懇談会(水曜1G)模様

 テーマ:『私立大学 戦国時代』

日 時: 5月18日(水) 12時30分〜14時00分
場 所: 名古屋観光ホテル 18階 オリオンの間
参加者: 25名

スピーカー:
    小林 素文(こばやし もとふみ)氏
    学校法人愛知淑徳学園 理事長・学長




1 私立大学の規模
 全国には708の大学があり、そのうち544(77%)が私立大学。また学生数でも同様に私立大学が77%ほどを占めており、私は私立大学が日本の高等教育を支えていると自負している。私立大学は、授業料、補助金、事業収入等合わせて約5兆円の市場規模を持つ。


2 私立大学の経営環境
 少子化の進行とともに、18才人口が減少しており、これが今最も私立大学を悩ませている。入学定員の充足状況は30%の大学が定員割れを起こし、単年度赤字の大学も30%にのぼるという、非常に厳しい状況。これまでの内部留保でなんとか食い繋いでいる状況。文科省は、経営困難な学校法人への対応として「私学の自主性の尊重」を掲げ、自らの責任で経営基盤の強化を行うべき、としている。学校はこれまで規制に守られてきたので、一般の私企業並みになったと考えるべきであろう。


3 私立大学と経常費補助金
 国家予算から国立大学の補助金として1兆38百億円、私立大学へ32百億円が計上されている。8割の学生がいる私立へ、国立の1/4程度の補助金しか出されていない。高等教育に対する公財政支出の対GDP比国際比較では、日本はOECD各国平均の半分程度と非常に少ない。先進国はほとんど国立(州立)で大学を運営しているため。日本は大学民営化のモデルケース?ともいえる。私学にとって補助の比率は、経常経費の12%程度。文系の大学ではわずか5%程度。そのうち特別補助(社会人、留学生、障害者の受入に対する補助、コンピューター教育への補助等)が31%を占め、経営が苦しく新しいことができない大学にとっては更に補助金は少なくなる。

4 規制緩和
 学校を取り巻く様々な規制が緩和されてきている。工業等制限区域からの除外、校地基準の緩和、設置の原則抑制解除、分野による抑制緩和、株式会社立大学の認可など。規制緩和により、更に自己責任が求められ、新たな競争も生まれるだろう。

5 評価と情報開示
 設置審査の認可を緩めた代わりに、評価をしっかりするというのが国の流れ。7年に1回は評価機構を受けるよう指導される。評価機構では、学生による教授評価をしているか、という項目もある。これは教員の意識も変わりいいことだと思う。決算関係、入学状況などできたらインターネットで開示するよう文科省が指導している。数字のいい学校はいいが、2極化する下のほうの大学にとっては更に悪い影響を及ぼすだろう。

6 新しい流れ
 法科大学院に代表される専門職大学院は、会計・教員専門職大学院など、あらゆる私学が注目している。法科大学院も10年くらい持ち堪えていけば、定着してくるだろう。しかしこれも経営の苦しい学校では手が出せない。大学の先生はこれまで、教授/助教授/講師/助手という流れだったが、平成19年から、教授/准教授/助教という流れになる。助教は、社会の流動化でよその大学へ行けるよう期限契約にするなど、私立も大いにこれを活用すべき。

7 むすびに
 大学の2極化が進み、下のほうへ入るとどんどん落ちていくという、非常に厳しい私立大学の戦国時代が始まっている。しかし産業界と一緒で工夫次第である。補助金はわずか5%程度なので自分たちでやっていくしかない。社会人、留学生の受け入れなど工夫の余地はたくさんある。文科省もそれを薦め、自己責任を求める時代である。
 今年、愛知淑徳学園は100周年、大学創立30周年、共学10周年を迎えた。現在9,000人の学生・生徒を抱えている。これもひとえに地域社会の皆さまに支えられてのことと感謝申し上げ、また引き続きのご支援をいただきたい。

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【新会員自己紹介】


(いぢち たかひこ)

トヨタ自動車株式会社 常務役員


【トヨタ自動車株式会社】

〒471-8571 豊田市トヨタ町1
Tel:0565-28-2121 Fax:0565-23-0316
URL:http://www.toyota.co.jp

 
 トヨタ自動車の伊地知でございます。 この度、産業懇談会水曜第2グループに参加させて頂くことになりました。 よろしくお願い致します。

 昭和12年、弊社の先達が、日本人による国産乗用車の開発・生産を目指してから、今年で68年になります。御蔭様で、現在では世界51ヶ所の生産拠点で年間約750万台の車両を生産し、170以上の国や地域で販売するところまで成長することができました。これもひとえにお客様をはじめ、関係先の皆様方のご支援とご協力の賜と心から感謝申し上げます。

 私は、故郷鹿児島を出て昭和51年に入社以来、主に経理・財務と人事・労務の分野を経験してまいりましたが、会社がグローバルに業容を拡大してきたのに対し、残念ながらいまだ海外経験もなく、三河地方にしっかりと根をはやしている次第です。

 さて今年は、セントレアの開港や愛地球博の開催、あるいは高速道路網の整備等、この地方に身をおく私共にとりましては、大変晴れがましい年になりそうです。
21世紀に入りまして、この地域の様々なプロジェクトに、ここ4、5年だけでも3兆円近い公的な資金が投入されたと伺っております。産業インフラの充実は、目を瞠るほどでありますが、この恵まれた環境に甘えることなく、我々の知恵と工夫でこれを上手に生かし、この地域の更なる発展をはかることこそが、私共の責務であるとともに、これまでこの地域の為にご尽力頂いた関係者の皆様方の御恩に報いることにもなると思います。
後年、あの2005年が、この中部地方にとって、最後の晩餐だったなあと振り返ることがないよう、私も本会の会員のひとりとして、先輩の皆様方のご指導を仰ぎながら、中部の発展の為に微力を尽くしたいと思っておりますので、どうかよろしくお願い致します。



山崎 輝彦(やまざき てるひこ)

エス・ビー・エム株式会社  取締役社長


【エス・ビーエム株式会社】

〒454-0013 名古屋市中川区八熊一丁目10番16号
Tel:052-324-3241  Fax:052-324-3244
URL:http://www.sbm.co.jp
E-mail:t-yamazaki@sbm.co.jp

 
 この度水曜第1グループに参加させていただくことになりました。よろしくお願い申し上げます。
弊社は平成2年創業いたしましてより15年、マルチファンクションプリンタ(デジタル複合複写機)を軸としてネットワーク機器 事務所でご使用になられる日常の風景にある機械の販売、保守を20数名の社員とともに営まさせていただいております。
 スタートにあたりシャープ(株)の応援を受けたこともありシャープビジネスマシーンズを略してエス・ビー・エム(株)と称しております。 ただ今ではシャープ製品のみならず”京セラ”を始めとしてユーザー様に提案させていただくべき他社製品も取扱わせていただいております。
 応援を受けたと申しましても私にとって未知未経験の世界で零からのスタートであります。平成2年は採用のもっともむつかしい時期ではなかったかと存じますが結果相当の混乱も経験いたしました。 当時、自身に対し曲芸における”下手な皿廻し”たった数枚であるにもかかわらずの ・・・・・ 背負うべきは”賽の河原の石積み” ・・・・・ といった感想をも記憶しております。

 創業いたしましたのはシャープのすすめによりますが、動機は20年余勤務いたしました経験を他山の石とし、従業員と会社の自己実現が共にある従業員の参加意識のある会社々会をつくってみたい・みせたいところにありました、がそれはともかく応援していただいた方々にご迷惑・ご心配をかけないこと、存続することが優先でありました。
 そんな時がたつ中、頑張ってくれた何人かが結婚し自宅を購入するにつれ状況は改善されるようになりました。ほぼ10ヵ年余を要してしまいましたが直近には名古屋地域におけるシェアで % を獲得することができるようになりました。従業員の筆頭は34才であります。勉学、努力はこれからでもありますが意欲は充分、可能性を強く感じております。
 私どもの業務はメーカーの影響の強い市場でのことでありますので世の仕組みのエンジンの1つにはなりえず独自での急速拡大は望むものではありませんがエンジンを支えることでの寄与貢献で存在が認められうる企業にはぜひ成長させたいと思っております。
 一方小規模会社を長く営んでおりますと偏りがちな傾向は避けがたいとの思いのかねがねから ”放電”に気づく事でパワーの低下を自身承知しているところです。 幸いこの度入会させていただくことで皆様の”力”を頂戴することができればと願っております。
 ご支援、ご鞭撻賜りますようお願い申し上げます。



矢島典明(やじま のりあき)

住友生命保険相互会社 常務執行役員中部営業局長


【住友生命保険相互会社】

〒461-0004 名古屋市東区葵3−15−31
         住友生命千種ニュータワービル5F
Tel:052-936-1510
URL:http://www.sumitomolife.co.jp/

 
 住友生命の矢島典明でございます。この度、片桐様とのご縁で産業懇談会水曜第2グループに参加させていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。
 
 弊社の前身会社である日之出生命は、多くの学者の出資を集めて、明治40年(1907年)5月に設立されました。そして大正15年(1926年)に住友の経営に引き継がれることで「住友生命保険株式会社」となりました。即ち、当社は再来年2007年に創業100周年を迎えます。本年度は「創業100周年」の扉を開く、98年目の飛躍の年と位置づけ、様々な事に取り組んでおります。一例としては「千客万頼」という、健康に不安がある方も加入でき、ご加入時の病気が悪化して入院や手術をされた場合でも給付金がもらえる、50歳以上の中高齢の方々を対象とした保険の発売、また、中国最大手の損保グループであるPICCと提携し、中国生保市場へ進出計画等があります。
 
 私自身は昭和47年の入社以来、支社、本社勤務を通じ、中部地区の勤務は初めてです。新鮮な気持ちで明るく元気に、愛知、岐阜、三重、静岡、長野県のホール及びリテールマーケットを担当致しています。
 本会を通じて皆様の貴重な経験をお伺いしたり、アドバイスをいただきながら頑張ってまいりたいと存じますので、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。


杉野 修(すぎの おさむ)

太平工業株式会社 名古屋支店 執行役員支店長


【太平工業株式会社名古屋支店】

〒450-0003 名古屋市中村区名駅南1-4-12 ガーデンビル8階
Tel:052-581-6431 Fax:052-551-0670
E-mail:sugino.osamu@taiheikogyo.co.jp

 
 太平工業の杉野でございます。この度、前任の大谷に代わりまして「産業懇談会 木曜グループ」に参加させて頂くことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。

 弊社は東証一部に上場の土木建築事業を主体とした総合エンジニアリング企業です。土木・建築事業に加えてプラント建設、プラントエンジニアリング、システムソリューション、プラント操業等の各事業を営んでおります。各専門分野技術を組み合わせた重合力によって、お客様の課題解決のためにトータルに対応、企画から設計・製作・工事・整備までの一貫したサービス体制を確立しています。

 本社を東京に置き、全国12ヶ所に支店を設置しており、建設事業支店としては、東京・名古屋・大阪・九州に各支店があります。当名古屋支店では土木事業として社会基盤整備の各工事(道路、橋梁、トンネル、下水、造成、舗装等)を、また建築事業としては住宅、事務所、工場、倉庫、及び医療・福祉施設の建設に注力しています。『Technology with Heart』を旗印に、『お客様に信頼される企業』を目指し、お客様からの相談の機会を、又お客様への提案の機会をお待ちしております。

 私自身は名古屋出身の根っからの土木屋で、名古屋地区に26年間、東京地区に8年間勤務し、住み良い国土と快適な住環境づくりに尽力して参りました。今回当懇談会に参加させていただくことになり、皆様との貴重な交流の場を得ましたことは有り難いことだと感じています。どうぞよろしくお願いいたします。

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【6,7月度産業懇談会開催日程】
【6月度産業懇談会】(場所は名古屋観光ホテルです)
グループ名 世話人 開催日時 テーマ・スピーカー 場所
火曜グループ 各務芳樹
深田正雄
6月14日(火)
12:00〜14:00

中部電力(株) 取締役副社長 
山内拓男(やまうちたくお)氏
「美しいまちづくりを目指して」

18階
伊吹の間
水曜第1グループ 飯田芳宏
落合 肇
6月15日(水)
12:00〜14:00
(株)UFJ総合研究所 専務取締役 
門野史明(かどのふみあき)氏
「時代の潮流とシンクタンクの役割」
18階
オリオンの間
水曜第2グループ 片桐清志
谷田利景
6月8日(水)
12:00〜14:00
(有)システムデザインラボラトリー 取締役所長 長澤保雄(ながさわやすお)氏
「ユーザの目から見たIT技術最前線」
 −デジタルライフスタイルを考える−
18階
オリオンの間
木曜グループ 河村嘉男
倉藤金助
6月2日(木)
12:00〜14:00
(株)国際観光ホテルナゴヤキャッスル 取締役社長 大森邦彦(おおもりくにひこ)氏
「ホテル歳時記」
18階
オリオンの間

【7月度産業懇談会】(7月20日を除き、場所は名古屋観光ホテルです)
グループ名 世話人 開催日時 テーマ・スピーカー 場所
火曜グループ 各務芳樹
深田正雄
7月12日(火)
12:00〜14:00
エムアンドエム社 M&M出版  
代表 高田真由美(たかだまゆみ)氏
「歴史に学ぶ
     −名古屋のまちづくり、人づくり」
3階
楠の間
水曜第1グループ 飯田芳宏
落合 肇
7月20日(水)
16:00〜19:00
キリンビール(株)名古屋工場
見学および夕食懇親会 ※ご出席の方には後日、詳細案内をお送りします。
西春日井郡
水曜第2グループ 片桐清志
谷田利景
7月13日(水)
12:00〜14:00
エヌ・ティ・ティ都市開発(株)東海支店
取締役支店長 佐鹿康夫(さじかやすお)氏
「弊社のご紹介など」

18階
伊吹の間
木曜グループ 河村嘉男
倉藤金助
7月7日(木)
12:00〜14:00
エクジット(株)
代表取締役 丹羽春景(にわしゅんけい)氏
「空巣からテロ対策まで〜世界初!イスラエルの軍事技術によるホームランドセキュリティのデモをお見せします〜」
18階
伊吹の間

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【お知らせ】

産業懇談会メールマガジン配信について

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【コラム】


〔愛・地球博の魅力〕 No.5

東海旅客鉄道株式会社
執行役員 小野 高史 

「JR東海 超電導リニア館」のご紹介

 「愛・地球博」が始まり、早いもので2ヶ月が経ちました。この間、日々の入場者数は10万人を超える日も珍しくなくなりました。また、累計入場者数は500万人を超え、目標とされる1500万人を達成するであろうと思われます。

 さて、私どもJR東海(東海旅客鉄道)では、この「愛・地球博」に当社単独パビリオンとして「JR東海 超電導リニア館」を出展しております。これは、日本が世界に誇る先端技術であるとともに、今までの陸上交通システムの限界を超えた「超電導リニア」の完成度の高さをご体感いただくことを目的に、知的エンターテイメントとしてご紹介しているものです。

 博覧会開幕以来、すでに非常に多くの方にご来館いただき、先日来館者数が200万人を達成いたしました。
 まだ、「超電導リニア」をご体感いただいていない方は、是非、ご来館いただき、時速581kmを記録した実物の超電導リニアをご覧いただくともに、3Dの800インチ大型スクリーンにて時速500km以上のスピードをご体感ください。あわせて、超電導ラボの展示や実験もご覧いただき、超電導技術の仕組みをより身近に感じていただきたいと思います。


【館 名】
「JR東海 超電導リニア館」
JR Central Pavilion : Invitation to the Ultimate Surface Transit System

【テーマ】
「超電導リニア、発進! −陸上交通システムの限界を超えて−」
Superconducting Maglev takes off !
- Beyond the threshold of existing surface transit systems -

【パビリオン紹介】
1 超電導リニアMLX01−1

2 超電導リニア3Dシアター

3 超電導ラボ

 


1 超電導リニアMLX01−1

 2003年12月、超電導リニアは山梨リニア実験線において、鉄道の世界最高速度である時速581kmを達成しました。
 その実物車両である、ダブルカスプ形状の先頭車「MLX01−1」を展示しています。
 超電導リニア走行の原動力である超電導磁石が装着された台車や空気抵抗を徹底的に低減した軽量車体など、実物のみが醸し出す本物の迫力を感じることができます。
 なお、車内もご覧いただけますので、超電導リニアの「現実感」をご体験ください。

 

2 超電導リニア3Dシアター

 800インチ(縦10m×横18m)の大画面に、ハイビジョンによる鮮明な3D映像で、山梨リニア実験線における超電導リニアの走行シーンを再現しています。

 時速500kmを越えるそのスピードだけでなく、超電導リニアの浮上する瞬間や頭上を通り抜けるシーンなど、多彩なアングルと臨場感あふれる音響で、超電導リニアの迫力ある走行を体験していただけます。
 また、本編前のプレショーでは、超電導リニアに至るまでの鉄道の歴史や社会的な背景、技術革新の数々を映像でわかりやすく紹介しております。

 

 

3 超電導ラボ

 すでに技術的には完成の域にある超電導リニア。その日本が世界に誇る最先端技術のパワーや仕組みをわかりやすくご紹介いたします。
 世界最高性能の高温超電導磁石による宇宙船模型の発射実演や超電導現象を利用した浮上実演などを通じて、超電導磁石の強力なパワーや超電導の不思議さを楽しみながら実感していただけます。
 さらに、実際に使用された試験装置の実物も展示、開発の足跡も知ることができます。


 このように、私ども「JR東海 超電導リニア館」は盛り沢山な内容であり、残念ながら、その魅力の全てを言葉でご説明することは大変困難であります。ですから、是非、皆様にご来館いただき、ご自身でご確認、ご体感いただくことが何よりだと考えております。
 そして、「超電導リニア」にご関心を持っていただければ、これほど嬉しいことはございません。

 皆様のご来館を心よりお待ちしております。


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〔花ちゃんからの健康だより〕 No.14

財団法人 愛知健康増進財団 保健師
佐藤 花子

笑顔の話

5月の花 蕎麦(そば)
 青い空に、新緑がまぶしい季節になりましたね。この季節は心もスカッと晴れやかでありたいものですが、それとは裏腹に、4月からの疲れがたまって、体調や気分が下降気味の方もいらっしゃるのではないでしょうか。なかには、毎年この時期になるとスランプに陥るという方もあるようです。
そんな時にお勧めなのが、『笑顔』です。落ち込んでいるときに笑顔なんてできないといわれるかもしれませんが、とにかく笑顔になるためには、楽しいことやうれしいことがなくては・・・という考えを捨てましょう。
  • 辛い時にこそ、つくり笑顔をすすめるというスマイルセラピー笑顔教室が有料で開催されています。そこで、つくり笑顔を習得して営業成績がトップになり、人生が好転した実例は後をたちません。うれしい時に出る笑顔にはかないませんが、つくり笑顔(表情筋)は、脳へプラス思考の刺激を送ります。その結果、下降気味だった体調や気分を上昇させるという素晴らしいメカニズムをつくってくれるのです。つまり、つくり笑顔が自分の脳をだますわけですね。
  • 笑顔は、心だけでなく身体に対しては血糖値や血圧を下げるほか、がん予防のキラー細胞の活性化や、がんの進行を阻止する力があることはご存知のとおりです。笑顔は人間に与えられたとても素晴らしい能力の1つではないでしょうか。
  • 笑顔で応対すれば、笑顔が返ってきます。「ありがとう。」「感謝しています。」のつぶやきを笑顔に添えると効果がアップし、人間関係もさらに良くなることでしょう。つくり笑顔は、いつしか本物の笑顔に変わります。
    笑い皺(じわ)が気になるところですが、それでも笑顔の達人になりたいものです。
【メモ帳】

 蕎麦の花は、茶人に欠かすことのできない花。細かい花が、ちょうど美人の白い歯(?)のようで、風情があるからだそうです。また、山里で群生している様子は爽やかな気分にさせてくれます。
 やせた土地でよく育ち、手入れも楽ということで、最近では都会の屋上で育てているとか。蕎麦には食物繊維の含有率が白米の2.5倍ですので、おなかの調子を整えてがん予防になります。

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株式会社リーダーズドメイン代表取締役会長
窪田経営塾塾主
窪田 貞三

〜企業の進歩発展のヒント:2〜
『否定を無くせば成長する』

 企業の進歩発展のためにも、前向きな意見が出やすい組織であることが理想的であると言えます。では前向きな意見が出やすい組織とはどういう組織でしょうか?それは前向きな意見を否定しない組織であるということです。よく、企業内での会議において、誰かが出した意見や提案に対して、「それは無理だ。」などとハナから否定する言葉を聞くことがあります。それも部下が一生懸命考えてまとめてきた提案をハナから否定するケースを見ることがあります。確かに経験豊富な上司から見て、部下が考えてきた意見や提案を「甘い」と感じたり、「考え方が浅い」「現実離れしている」等々‥と感じることがあるかもしれません。しかし、前向きな良くするための意見や提案をハナから否定すれば、その部下は次から意見や提案を出すことを躊躇するようになるものです。せっかく出て来た意見や提案がすぐに実践できるものでないとしても、それをキッカケにもっと「シッカリとした」「考え方の深い」もっと「現実的」提案が出る可能性の芽を摘んでしまっていることが多いようです。つまり、まずは、出来ないと考える前に、どうしたら出来るかを考える肯定的な考えを持った組織が進歩発展出来る組織であると、私は思います。

・・・・・<事例研究> 教育シリーズ−1「ある幼児教育者」・・・・・

 以前お会いしたある幼児教育者の話に「幼児の教育で大切なことは、受け入れてあげること。例えば幼児が興味を持ったことを一生懸命伝えようとした時に、固定観念を持たずに聴いてあげること」という話がありました。興味や関心を持ったことを言葉にし、それを聴いてくれるという喜びを覚えた幼児は、新たな興味関心を持ち、一生懸命それを伝えようとします。しかし、興味関心を持った時に、それを聴いてあげなかったり、受け入れてあげないと、その後興味関心を持たない、つまり「無関心な子になる」のです。また、聞いてあげても、固定観念で、「それは普通のこと」「それは当たり前のこと」などといった固定観念で答えたり、無関心な対応をすることも良くないことでしょう。


 物事に対して、「疑問に思う」ということは良いことです。疑問は改善や解決のキッカケとなります。しかし、否定は、その時点で前向きな考えや行動を阻害することがあります。幼児教育と社員教育を一緒に考えるべきではないでしょうが、人間の基本的な感じ方は、大人も子供も同じようなものだと思います。考えてみれば分かることかもしれませんが、我々はいつのまにか経験という固定観念で対応し、新たな芽を摘んでしまっていることはないでしょうか?忙しさを言い訳に、提案を潰してしまっていることはないでしょうか?
●プログレスとは

 プログレスとは、『新時代経営コンサルティング手法』として、私の会社である株式会社リーダーズドメインにおいて企業経営ご指導法として用いているもので、日々多くの企業と関わらせていただいています。同じように努力していても「潰さないための経営」より「進歩発展のための経営」のほうが企業組織は生き生きとするでしょうし、企業におけるマイナス面の分析でも、「成り立たせるための分析」よりも「進歩発展させるための分析」のほうがより良い組織創りに繋がる---と言う考えを土台に持ったものが、このプログレスです。

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〔苗字アラカルト〕 No 36

片桐清志

『青葉の季節』

 花の季節が終わると若葉の季節だ。山の緑も街路樹も青葉が気持ちいい。 今回は木と苗字の関係に注目してみた。
 花も楽しめる梅(楳)・桃・桜(櫻)や橘・杏・橙(残念ながらダイダイの読みでなくサカ)などがある。果実を楽しめる柿・梨(これもナシの読みは嫌われたのかミズキ・サワラギとお読みするようだ)・栗・棗(ナツメ)・柚・李(これもリでスモモの読みはない)などがある。
 緑の代表は柳・楊(ヤナギ)・楠・樟・柏・梧(キリ)・槙・榊だろう。紅葉を楽しむ楓・椎・朴(ホウ)・桐・樺などもある。家具・建材でおなじみの松・杉(椙)・檜(桧)・桂・楢(ナラ)・欅(ケヤキ)・樅(モミ)もある。櫛なら柘(ツゲ)が、彫り物では櫟(イチイ・クヌギ)が、碁盤では榧(カヤ)・栢(カヤ)が珍重される。そのほか生活に役立てているものでは桑・楮(コウゾ)・櫨(ハゼ)・栃・椒(ハジカミ)などもある。
 唄でおなじみの梔(クチナシ)・梓・楡(ニレ)・椰(ヤシ)もある。壇は作家や女優でおなじみだがもともと紫檀、白檀(びゃくだん)などの香木だ。
 普段はなじみがないため読み方に苦労しそうな苗字もいくつかある。杠(ユズリハ)は名前のとおり新葉が成長すると古い葉が落ちるため新旧交代の象徴として正月飾りにも使われる。柞(イチイ・ナラ)、栂(トガ・オヤユビ)、椋(ムク・オグラ等)・椛(カバ・コウジ等)、槐(カイ・エンジュ等)・樗(オウチ・トチキ等)もちょっと厄介だ。
 セットものでは椿・榎・楸・柊と四季が揃う。柊はヒイラギ・ヒラキと読めばよい。楸はあまり見かけないが、これでヒサギと読む。ノウゼンカズラの仲間だ。とりあえず一字姓だけ見たがまるで漢字教室みたいになった。木が生活に深く関ってきたこともあるが、木の生命力や繁栄にあやかりたいという気持ちの現れだろう。松さん梅さん両家の結婚式を竹さん夫妻が媒酌人で行うことになればおめでた三重奏だ。

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【17年5月号編集後記】


  愛・地球博の入場者が500万人を超えた。連日10万人規模の来場者で賑わっている。小中学生の見学も目立つ。万博の感動体験を自分たちの未来の夢につなげてもらいたい。
 感動体験といえば、万博にも実物が展示されている超電導リニアモーターカーに試乗してきた。JR東海の松本代表幹事のお世話で4グループ合同の山梨リニア実験線試乗会が実現した。時速500kmの高速走行は文字通り飛行機並だが振動も騒音もない。つかの間の夢体験だったが万博会場の「JR東海 超電導リニア館」の見学と共に未来旅行をした気分だ。
 現実に戻ってみると、万博会場に展示されているリニアカーが万博後どうなるのか気になる。東京には神田の交通博物館、大阪には弁天町の交通科学博物館、京都には梅小路蒸気機関車館など子供や鉄道ファンが楽しめる博物館があるが名古屋にはこれに相当する博物館がない。超高速鉄道実現のためにも万博終了後も超電導リニアに名古屋に残ってもらい、子供たちに夢を与え続けてもらいたいものだ。鉄道がこれからも愛され続けるためにも市民が手軽に親しめる交通博物館が名古屋に誕生することを願っている。
 先月は全国同友会セミナーとの関係で産業懇談会の開催が少し変則的になった。このため今月号は2か月分の内容となり話題満載だ。電気や水道、ビルや鉄、本や大学、いずれも日常生活では身近でお世話になっているのに改めてお聞きすると「目からうろこ」ものばかりだ。中でも谷口さんの「利潤の追求はあくまで手段」と言い切る経営哲学には心を動かされる。IT化で厳しい経営環境と拝察するが「本は文化の担い手」として頑張ってもらいたい。また栢森さんの「ハングリー精神がないと夢も持ちづらい」も名言だ。
 交代入会を含め4名の新会員にもご登壇いただいた。今後いろんなお話が伺えるのを楽しみにしている。

(片桐)